19:00。
サンプル特有の、観ていると自分がとんでもない場所に迷い込んでしまった感。けれどその場所は我々の近くにいつもあって、目を閉じようとしているだけ。観劇というより、再確認をさせてくれる。
満足度★★★★
「彼ら」の存在感
帰ってきて感想を書こうとしてタイトルを打って、「あー、そうかー、そうだったそうだった、今日観た芝居のタイトル、『シフト』だったよなあー、うんうん」ってなんか改めて思っちゃったっていう。
「ものがたり」がシフトしていく過程の領土戦争のはなしだったなあ、っていう。
この作品のキモはあれだよなあ、劇場を静かに見つめるように客席に配置されてた「彼ら」、ああいうものの存在。
「ものがたり対ものがたり」の領土戦争を何も言わず静かに見つめ続ける「彼ら」、って構図。
そこら辺、観終わってからじわじわ効いてきて面白かった。
あの「彼ら」の存在があるのとないのとじゃだいぶ芝居の印象変わってたんだろうなと思う。
舞台上で広がる各々のものがたりがあの存在によって相対化される、その宇宙規模のスケール感。
あんなに「気持ち悪い」物語なのに観終わって不思議と清々しかったのはそのためかも。
・・・にしてもあれなの?芸劇シアターイーストに自転車を吊るす、ってのはもうなにかトレンドだったりするの?
今月頭に見たニッポンの河川に引き続き、でそれだったからちょっと笑っちゃったw
満足度★★★★
反芻して味わえる
会場に入った瞬間から何かに憑りつかれた!ぐるりと後方客席に陣取っていた方々にも圧倒された。自分が分身になってあらゆるところからこの舞台を観ていたような錯覚?にも…。なんか面白い。おおぅ…
満足度★★★★
サンプルの原点にして帰還点
2007年に、「青年団リンク サンプル」として初演された作品の
再演。当劇団にとっては事実上の処女作に当たります。近年の
作品に比べると、物語の組み立てかたがしっかりしており、筋も
見えやすい分、この劇団が一貫して追求しているものがはっきり
分かりやすい内容になっています。正直、近作より面白かった。
満足度★★★
禍々しく滑稽な人達
チラシの晴れやかなビジュアルとは正反対の禍々しい雰囲気が濃厚な作品で、気持ち悪さのあまり逆に笑える内容でした。
結婚して妻の出身地である村に移り住んだ男が、その土地ならではの奇妙な風習に巻き込まれていく物語で、伝統に固執する人達の滑稽さがシュールな性的表現を多く盛り込みながら描かれていました。
様々な日用品や家電製品をビニールで包み天井から吊った美術が異界的雰囲気を生み出していて良かったです。対面式になっている客席の後方に横一列に並べられた人形の存在が、物語の中で語られる悲しい存在を象徴している様で不気味でかつ切なかったです。家の出入り口の表現も宗教的なものと性的なものを連想させて興味深かったです。
どの役者も良い意味で気持ち悪いキャラクターを怪演していて楽しかったです。特に男性陣の変人っぷりが強烈で、本人がシリアスになる程に奇妙さが際立つのが可笑しかったです。
演技や台詞が魅力的な場面が多かったのですが、全体に繋がっていく感覚が弱く、面白いディテールを並べている様に見えたのが勿体なく思いました。
近年の断片的な作風に比べると一貫した筋があって分かり易い内容でしたが、その分こじんまりとしていて独特の拡がりが感じられませんでした。