Jack moment. 公演情報 Jack moment.」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.1
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  • 満足度★★★★

    惜しい
    椅子と机と照明と音、そのシンプルさゆえに人間の欲や業や愛が生々しく浮き上がるようなそんな印象。間違いなく舞台のうえで登場人物たちは「生きて」いました。人間て愚かしい、でもなんて愛おしいんだろう、そんなことを感じました。しかし、惜しくらむは、この劇団の個性のひとつでもあろうと思われる場面転換の所作にいままでのような統一感や機敏さを感じられなかったこと。とくにこの作品は場面転換が多いので、そこを「魅せ」られないと観ている側の集中力がきれて、長さを感じさせてしまうのではと思いました。明朗快活な芝居を好む方には不向きかと思いますが、人の感情を思考しながら雰囲気や余韻を楽しむ方にはオススメ。残念な部分もありましたが、わたしは好きです。ステキなセリフ、表情、しぐさ、声音、照明、音、そして物語をありがとうございました。観て、聴いて、空間に浸る、心に沁みるステキな作品でした。辛めに☆3つ、とも思いましたがメインキャスト陣の熱演素晴らしかったので4つに。

  • 満足度★★★★

    濃密な時間でした
    前半、映像的な見せ方で舞台で見るにはちょっと展開が細かいかなと感じる部分はあったが、役者陣が物語のキャラと一体となっており、まさに舞台の設定場所シカゴでした。濃密な時間を過ごすことが出来ました。面白かったです。

  • 満足度★★★

    代表作という部分に甘えを感じました。
    演出や見せ方が合いませんでした。舞台セットが簡素なのはこの劇団の持ち味ですが、そのシーンごとの情景を観客は各々で想像しなければいけない訳で、今回は場面転換が多く、場面ごとの時間軸もわかりにくかったです。加えて登場人物が多いし、作品タイトルにもなっているジャックという人物の表現が曖昧なため、どこに集中していいのか捉えられないまま、観客を置いてきぼりに勝手に話しは山も無く谷も無く終わっていったという印象です。何度か観劇する中でジャックヘの違和感をはっきりと自覚しましたが、それが効果的か意味を持ったものとして示唆されてるのか最後まで曖昧。ストーリー自体は面白いし、パンフでの細川さんの言葉からやりたいことは何となく察しますが、今回は全てにおいて見せ方が上手くいってないとしか思えませんでした。あと他の方の感想でよく見かけた、昔の洋画のような舞台って個人的にはあまり褒め言葉じゃないと思います。退屈ってことでもあるように思えるので。演出上フロッグに1番感情移入出来るし、目線が行くと思いますが、それを踏まえてもフロッグ役の土屋さんの演技は素晴らしかったです。役柄は気弱でおどおどした人物なのに役の印象を壊すこと無く、語り部としての役割も果たしていて劇場後方の席でも聞き入ることの出来る良いお声でした。前回のc,c,c.を観ていたので今回の役はギャップがありましたが、しっかりセクシーで悪い女を演じてらしたレベッカの山本さんも目を引きました。他にもそれぞれ役者さんの良さを感じる部分はありました。前回も書きましたがパンフレット、今回も多々気になる箇所があります…。一部、白抜き文字の級数が小さすぎて(フォントが特殊なのを選ばれてるので余計に)潰れてしまって読めません。メインキャストではないにしても演者にも失礼だと思います。

  • 満足度★★★★★

    4回観て
    それぞれの生き方の重みをが描かれていて、どっぷり浸ってみることができた。まるで、自分がこのシカゴの住人になった気がしたくらいに。薄暗い照明と哀愁のある音楽、余計なものはいっさいないセット。それらの静かな空間に響き渡る銃声や叫びが、より一層世界に浸らせた。「世界」を作るのがとってもうまいところなんだと思った。

    フロッグ役の土屋さんが、とっても良かった。
    語り手?もやってらっしゃるんだけど、声音の使い分け、表情や動きの変え方が鮮やかすぎる。どんな表情で゙語り手からフロッグになってるんだろうって、彼を見たくて前のほうの席に行った。
    彼と父親のシーン、最後のセリフは、毎回涙を我慢できなかった。

    ダニー役の福地さんが大きな体躯に冷たい目で、暴力的な役柄もあって、怖かった。殺し屋の二人よりダニーの方が私は怖かった。でも、ベティへの愛情に、男ってしょうがない生き物だなぁ!と笑い、切なくなった。また違った役柄も見てみたいです。

  • 満足度★★★

    終わり方がよかった
    ジャックの性格が腑に落ちなかったので物語世界にのめりこめませんでした。
    時計屋のフロッグと父親とのシーンはよかったです。最後にまだ若いころの日々の生活に時計屋の仕事に力を注いでいたころの親子二人のシーンは心がぎゅっとなりました。
    舞台装置がシンプルで、蛍光灯の演出ニはハッとしました。

    ネタバレBOX

    ジャックがなぜそう行動するのか全然しっくりきませんでした。真面目な会計士が犯罪に手を染める理由、ボスになること承諾する理由、犯罪を犯してまで手に入れた代金をあっさり渡す理由。大きな決断をしたってセリフも表情も切り替わりもなくて???でした。
    フロッグの立場の移り変わりと、映画館での心の動きと父親とのシーンはしっくりきてとても心の迫りました。
  • 満足度★★★★★

    瞬きする瞬間さえ惜しい
    再演との事でしたが、今回初めて観ました。
    役者さんが沢山出てきて、それぞれに命があり人生がありました。
    なので、それぞれが主人公でした。
    今回、事前情報を何も入れずに観ましたが、当時の時代背景や庶民の生活環境、流行りの歌、文学等を調べたら、また違う楽しさがあったのかなぁと思います。
    フロッグ役の土屋さんの気弱な感じや、マイキー役の早田さんの情けない感じが凄く良かったです。

    終演後、アンケート書いてたら席の位置的に物販の邪魔になってるような気がして、ゆっくり書けなかったのが残念。

  • 満足度★★★★

    なるほど代表作
    今までに拝見したバンタムクラスステージ公演の中では、自分の好みから少し外れる作品だった。なぜなのかと考えてみてもこれだという答えは見出せないのだが、おそらくは大河ドラマを二時間強におさめることは不可能だということなのだろう。
    自分の好みからはやや外れる作品だったが、それでもバンタムクラスステージの個性を充分に堪能した。男性キャストはとことんかっこよく、女性キャストは美しくかつ個性が際立つ。場面転換では見事に舞台上の人間の顔が見えない照明。整然と動くあの場面転換が、今回は多かったか。
    この劇団の個性、スタイル、こういうことをやりたい、そんなことをガツンと知らしめるような公演だったという意味で、代表作であることに間違い無かった。
    土屋兼久さんが全編通し素晴らしかった。ガラかつとしさん、出番はあまり無かったけれど同じ人間が変貌するさまがまざまざと表現された演技。山本光さん、自分の部屋でのシーン、人生の主役である自信に満ち満ちた圧巻の演技。徳永健治さん、小者感を失わずに王者へと突っ走る熱量が素晴らしく観客を圧倒、見応え満点!

    ネタバレBOX

    どうにもさらりとしているのは「ジャックとは何者か」がまるで見えてこないから。そこで生身の人間が演じているのに。
    それがこの芝居の狙いだと言われて、よくできていたと思うのは思うけれど、そこを感じとった上で感想として「素晴らしい」と言える観客がどれだけいるか。

    演劇のどこに面白さを感じるか、は十人十色でいい。
    いろんなスタイルを見て自分の好みを知っていけばいいと思う。

    話がそれました、、
    いつもながら、おちぶれていく人間、実力を発揮してうまくいく人間、逃亡し消えていく人間などなど、人生を作り上げていく細川さんの手腕が見事だったのは間違い無い。
    理不尽な暴力に不満を感じて会計士があちらの世界に足を踏み入れてしまうのはなんとも不思議な展開だが、彼が誠実さを持ち合わせていないことを知ればさもありなんという感じ。徳川慶喜につかわれた「百才あって一誠なし」のような…ジャックも慶喜と同様に最後は逃げて舞台から去っているわけで。それも、なんとも幸せそうに。
    ひらめきと運だけでは、野心と暴力の世界を渡れない。ジャックはプライドよりも別のものを大事にし、プライドが大事だった者は破綻する。

    公演から一ヶ月以上経ってしまいましたが、こうして書き出してみて、やはりJack moment.も濃厚だったなと思います。ありがとうございました。次の公演、楽しみにしています。
  • 満足度★★★★★

    血の物語
    【演劇ノワール】

    を謳う劇団には、おあつらえむきの作品だ。
    東京キャスト版 というコトだが、
    それは僕の中で拮抗している。
    過去公演 大阪のキャストが素晴らしかったし、
    だが今回のキャストで光る人は本当に光った!

    走り去る走馬灯。
    生は、
    死は、一瞬だ!

  • 満足度★★★★

    もう一回観たかった。
    2時間10分と長いようで意外とちょうどよく感じた舞台。
    途中、ここで終わるんじゃないかと思ったけれどそれからも二転三転と物語は進み終演を迎えた。
    再演だったけれど初見だったため新鮮な感じを受けました。
    全体を通してシリアスだけれど所々笑いもあり、飽きさせない演出。
    時間の都合で一回しか観れませんでしたが、観に行けてよかったです。
    ただ、チケットの発送をもう少し早めていただけると助かります。
    遠方から行くので、届くのが遅いと不安になります。

    ネタバレBOX

    親子や姉弟、家族愛に弱い私はそのシーンがくるたびグッときました。
    とくに、姉が撃たれ泣き崩れるゲッコー。姉に支えられてきた弟が姉を守るために生きてきた…切なくてだけど愛しくて好きな場面でした。
    あと、ベティの存在が自分の中で一番深く残りました。
    ダニーとの二人で銃を構えるシーンはかっこよかったし、 ピアスに撃たれるときの「顔はやめて」の一言は凄く印象深いです。
    ただ、座った席が少し悪くてベティの表情がピアスの背に隠れて見れなかったシーンがあったのが残念でした…。
    なので別の角度からもう一度観てみたかったです。
  • 満足度★★★★★

    ザッと感想とかその他色々
    *もしかすると、編集しちゃうかもですが感想をば


    ストーリーの内容は他の方々がネタバレBOXに書いているので、省きます。

    今回、初演の時と違ってほとんどのキャストさんが変わってしまった訳ですが
    特に、この作品の本当の意味での主人公のフロッグの土屋さんの声がすごく良かった。
    以前、6番シードのDear Frendsという作品で土屋さんは、だるだるなホストを演じていたのですが、今回真面目だけど気弱な時計屋とのギャップがもうね

    あと、早田さん演じるマイキーは、この方情けない男性を演じさせると上手いというか
    スーツ姿のマイキーを見てなんだか、ベティーが言っていたように「大丈夫なのかしら?」と思いつつも、なんか可愛いと思いつつ見てました。(失礼があったら、ごめんなさい)

    信國さん演じるジャックは本当に丁寧にジャックを演じていたと思います。
    初演のほうの畠中さんのジャックも好きなんですが、甲乙つけがたしです。

    そして、教光さんが演じるダニー
    麻薬に溺れてボロボロになっていきながらも、一途にベティを想っている姿が切ない。




    作品は凄く好きだし、生で役者の皆さんの素晴らしい演技が見れて満足だったのですが、ちょいっと残念だなと思う事があったので書かせてください。


    他の方も書いているのですが、物販と面会がわちゃわちゃしすぎだなぁと

    販売用の写真の種類は多いのに、各種類毎の枚数が非常に少なすぎます。
    1種類(4枚セット 1枚の台紙に4枚写真が貼ってある)につき2枚しか用意されないだなんて・・・
    そして価格が高い。
    種類を減らしてもいいから、枚数は多めに用意して欲しかったかな。
    前回CCCの時の物販でLサイズの写真4枚セットで1200円もしたかなぁ
    あれ???私の記憶違い


    折角、遠方から来たのに買えない人からしたら、えっ2枚ずつしか用意されてないの?ってなっちゃいます。
    私は、物販列に一緒に並んでた女性が可愛そうになって1枚写真譲ってしまいましたよ。
    しかも、写真の販売が開始されたのって公演3日目らしいとの事だそうで
    前日しか来れなかった人からしたら残念だと思うのです。
    稽古期間中にでも、衣装着て写真撮影してプリントして用意しておけばいいのになぁと思ったり
    もっと楽な方法としては、折角役者さん毎に販売窓口があるなら役者さん毎の特典として衣装を着た写真を1枚あるいは2枚(全身と上半身アップであれば良し)付けたりするだけで客からの印象もだいぶ違ってくるだろうし、面会時のわちゃわちゃも少しくらいはマシになったかもしれない。
    役者さんの何人かは、そうされてた方もいたようですが


    大判(A4サイズ)の写真もあればよかったんだけどな
    メインの登場人物の大判写真が販売されなかったのが残念
    前回、CCCの時、大判写真売ってたのに


    人物相関図のプリント
    非常に分かりやすくて、見やすいし、親切で良いのですが、みんな白いシャツなのが残念。
    前回のCCCの人物相関図のように舞台衣装で撮影して作成してほしかったかな。と
    撮影日に衣装が間に合わなかったとか?
    こういうプリント1枚とっても、劇団、役者のファンは大切に保存するので


    使用楽曲一覧も配っているフライヤーの束の中にあればなぁって毎回思います。
    だって、家に帰ってからも余韻に浸りたいじゃないですか


    あと、そろそろバンタムTシャツ出してください。
    って枚数やお金の問題で今回用意できなかったのかな。と
    憧れのバンタムTシャツが着れるのはいつの日なのかなぁと

    物販全体に関してはもっと余裕もって早めから用意しておきましょうよ 本当に。

    そして、Twitterと公式サイトのほうで物販で何がいくらで出るのかちゃんと情報を前もって出しましょう。
    情報をきちんと出すことによって好感度って上がってくるかと

    作品も役者さんの演技もすばらしかったのに、こういう作品以外の面で残念な点がちらほら出てきて印象を落としちゃうのが悲しいかな。
    や、バンタムさん大好きなのでついていくけど
    でも、改善して欲しいな。と

    ネタバレBOX

    バンタムクラスステージ(通称 バンタム)の作品って登場人物が他の作品に出てきたりして、繋がる部分がちょくちょくあるのですが、「ジャック・モーメント~宴のあと」を見た方は、バンタムさんから過去作品のDVDを購入して、短編集「Bantam3+3 短編集:几帳面独白道化師」から、オクラホマ・スタンピード、ジャガーノート
    あと「CCC」も合わせて見るとよりいっそう楽しいかもしれません特に、オクラホマ・スタンピードのほうは、ギャグのスピンオフっぽくて面白いです。


    オクラホマ・スタンピードはベティとコットン
    ジャガーノートのほうは、ダニー
    CCCはコットン
    がそれぞれ、登場しているので、ジャックモーメントでこれらの登場人物が気になった人は是非


  • 満足度★★

    好みじゃなかった
    役者さん、特に男性はとても魅力的な方が多い。
    しかしながら脚本演出構成が完全に好みじゃなかった。
    あらすじでわくわくして観に行ったぶんがっかりが大きかった。
    吹き替えの映画を垂れ流されている感じがした。のっぺりとしていて演劇のよさが全く感じられない。舞台で映画もどきをやっても映画には絶対に勝てないのだから。長くて苦痛。
    フロッグと父親のシーンが素晴らしかった。
    使い捨ての役者が多く、残念。
    ☆二つは役者さんの素晴らしさに。

  • 満足度★★★★

    かっこいい
    ギャングとか出てきちゃう西洋映画のような世界観。カッコイイ演出とオシャレなセリフ回しが印象的でした。この劇団にハマる人はどっぷりハマっちゃうかも!
    照明の使い方が好きです。抽象舞台を照明によってその場面の世界を作り出す点がすごく感動しました。
    また、基本的に暗転は少なく転換は基本ブル転。しかし、ただの転換だけではなくてキビキとした動きや演出が光っていました。幕間もお客さんを離さないという印象でした。ただ、お話が少し長かったなという印象。。。ハッピーエンドまでとそこからのバッドエンド(?)のどちらかを割愛していただいた方が私は見やすかったです。個人的な意見ですが・・・。
    総評としては見に行ってよかったです、また伺いたいです!

  • 満足度★★★★★

    安定の
    バンタム節が炸裂。姉弟愛、仲間愛、絆。誰が味方で誰が敵か、いろんな伏線があり、それぞれの思いの中その人を守ろうとみんな必死。それが結果として悲劇を生む事もあるが。初演と演出が変わったりシーンが増えたりしていたのがいい感じだった。今回の舞台で沢山の方に『バンタムクラスステージ』の名前が広まったのは間違いないと。これからの活躍に期待したい。次回作はどんなものとなるのか楽しみ。

  • 満足度★★★★

    観てきました
    パイプ椅子とテーブルというシンプルな舞台で、演技と照明と音響で様々な景色をみることが出来ました。映画のような雰囲気。フロッグの語り口調がとても耳触りがよくて役柄とあわせて印象的でした。変わっていくそれぞれの関係性もうまく表現されていて面白かったです

  • 満足度★★★★

    ギャング物としては・・
    こちらは「C.C.C.」.に次いで二度目の鑑賞。
    シンプルな舞台装置ながら想像力を掻き立てる演出と世界観はさすが。
    ただ、ストーリーとしては目新しさに欠ける。

  • 満足度★★★★

    ハードボイルドには・・・
    ハードボルドというにはちょっと足りない気がするが,1960年代のシカゴが見事に描かれていたと思います。2時間超の芝居ですが,ストーリーには一片の澱みもなく,最後まで一気に突っ走ります。面白かったなぁ。音響もスゲェ芝居にマッチしていて,雰囲気が出ています。この劇団,東京進出2本目とのこと。今後,どんな芝居を繰り広げていくのか。期待しています。

  • 満足度★★★

    やせ我慢
    熟年組の味のある芝居は良かったのですが、ハードボイルドというわりに“やせ我慢”のない“分相応”な生き方に逃げた主人公に腹がたちます。

  • 満足度★★★★★

    行く川の流れ
    シカゴを舞台に思いがけなくギャングになってしまった会計士の男と熾烈な抗争を描く。
    物静かな時計屋の男が物語の進行役を務め、
    バンタム特有の整然とした場転(舞台には折りたたみ椅子とテーブルだけ)により
    スピーディーながら一つひとつが腑に落ちる展開で脚本の巧さが際立つ。
    登場人物が人間臭く魅力的で、キャスティングの妙を存分に味わった。
    Jackと Frogのキャラが素晴らしく、スピンオフが観たくなる。
    それにしてもバンタムの銃声は音質・音量・タイミング全てが素晴らしい。
    照明に工夫があり、シンプルな舞台が劇的に変貌するのも見事だった。

    ネタバレBOX

    ちょっと映画の吹き替えみたいな台詞も時代と場所を感じさせて雰囲気がある。
    「スティング」や「オーシャンズ11」みたいな痛快犯罪劇かと思いきや
    後半事態はどんどん悪い方へと転がって行く。
    シカゴのボスが入れ替わる度、時計屋によって繰り返される台詞が
    どうしようもない無常感を醸し出して効果的だ。
    フライヤーにある「方丈記」の精神が色濃く漂い始める。

    丁寧な人物相関図が配布されて判り易く、よくこの人間関係をまとめたと感心する。
    時流に乗ってのし上がろうとするギャングたちと
    多くを持たなくても幸せになれると考えるジャックは対照的だ。
    反撃に転じたジャックの選択眼で声をかけられた“落ちぶれ軍団”が集まって
    チームを作り大仕事をやり遂げるプロセスが面白く、ここをもっと見ていたかった。
    ここが充実すればするほど、ラストの二転三転が口惜しく、爽快で、
    且つ“生きる場所を見出すために生きる”人の哀愁が浮き彫りになる。

    ジャックを演じる信國輝彦さん、誠実な風貌がこの役にはまって実にリアル。
    苦学して会計士になった堅実な男が知識を生かしてギャングに立ち向かう
    痛快な役にぴったりで、ラストの潔い身の処し方も説得力があった。

    フロッグ役の土屋兼久さん、自信なさげな時計屋の息子が
    巻き込まれた果てにギャングの一味となり次第に立場が変わって行く様が
    声や視線まで繊細に演じていて素晴らしい。
    ジャックの婚約者マリーに不器用ながら心を寄せるシーンなど切なさ全開。
    土屋さんはマジでポニーテールが一番似合う(と勝手にそう思う)。

    ダニー役の福地教光さん、今回も今すぐ金が必要な理由は“女”という
    どうしようもなく純で、立場に溺れやすく、虚勢を張りたがる男(しかも振られる)を
    生き生きと演じていて、またそういうダメ場面で色気があるから面白い。
    バンタムは、二枚目看板役者に“スーパー完璧主役”ではなく
    こういう“情けな系ダメ男”を当てるところが本当に巧いと思う。
    もったいないようでいて、実は次が楽しみになるのはこの意外性のためだ。

    久しぶりに身体に響く銃声とエンタメ精神に大変満足。
    次のバンタムはどんな作風だろう?
    シリアスかコメディか、ダークなサスペンスか、銃声かナイフか、猟奇的か変質的か…
    ってもう私の個人的期待が渦巻いて、今から楽しみでならない。
    萬劇場、JR大塚駅まで行きさえすれば、そこからは近いと知った。
  • 満足度★★★★★

    分相応の人生を!
    音楽や銃声などの効果がとてもリアル加えて照明の技術が素晴らしい!
    ストーリーの組み立て良く、しかも深みがあり面白かったです。
    シカゴの利権をめぐってギャング内抗争は息をのむほど迫力がありました。
    一瞬は輝いても、時期が来たら元の木阿弥。
    死んだら何にも残らない、人生は儚い!

  • 満足度★★★

    見応えはありますが
    バンタムクラスステージさんは前作のCCCに続いて2作目。そして『Jack moment』の初演は特に観ていないため、この物語は初見です。
    確かにハードボイルドでかっこよく、見応えはあったのですが、詰め込みすぎかなぁという感じは否めませんでした。
    照明の使い方や、音響に関してはとても好みです。

    ネタバレBOX

    物語の中での場面の切り替わりが凄く多かったように思えました。
    登場人物が多いため、描かなくてはならないことが多くいのでしょうか。しかし、その割に結局あまり目立つわけでもなく死んでしまうキャラも多い気がします。
    個人的に、ボクサー周りの三人が少し使い捨てのように感じられて残念。
    場面の切り替わりが多い故に場転で暗転しないのかなぁ。
    この物語は、いっそそれこそ映画にしたほうが良くなるのでは…なんてと思ったりもしてしまいました。演劇ならではの良さをそこまで感じることが出来なかったです。

    それと、これは私の知識不足でも有りますが、事前の予備知識が必要だなぁと…。
    映画監督名だったり役者名だったり、既存の戯曲の内容だったり(今回は「ゴドーを待ちながら」とか)…。
    知らなくても物語にはあまり差し支えないですが、ピンと来ないのはなんだか寂しいですね。観る側としても、もっと勉強します。

    良かったところもありました。
    特に、フロッグ(土屋兼久さん)と彼の父親(ガラかつとしさん)二人のシーンが三回位合ったのですが、そこは素晴らしかったです。グッと来ました。
    ☆2にしようかとも思ったのですが、ひとつは土屋さんに。
    ちなみにマッデン(徳永健治さん)が個人的に凄く好き。

    銃器はやっぱり素晴らしいです。
    それと、蛍光灯のような照明などを使い、場面に合わせていろいろと使い分けていたのはとても好みです。

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