満足度★★★★★
川口ケレア。
川口覚くんのケレアが素晴らしすぎて、色々思うものの彼のおかげで☆5つ。もう毎日でも観たい。あの広い舞台を隅々まで支配する存在感のクールさ。瞬き一つで空気が凍り、マントを翻して巻き上がる風でさえもがケレアの色に染まるよう。貴族に相応しい立ち居振る舞いは彼の演劇界における覇者の未来を想像させるに難くなく、揺れるピアスに色気さえ感じて、ああもう一瞬たりとも見逃したくない、素敵な素敵な役者さん・・・。彼がカリギュラを演じれば、一昨年のハムレット同様「勝ち」は明白なのですが、そこに内田くんを配して脇に覚くんや小久保くんを置くあたり、蜷川さんの『育てる』という目的が明示されていて、やはりこの劇団の志は高い、と唸らされます。周本さんのセゾニアもやはり絶品でカリギュラの残虐性に説得力を与えていて流石。彼女も大好きなのですけれど、今回オーディションで合格した安川まりちゃんも個人的には応援したい。
満足度★★★
緊張感ある舞台だった
自分が見た時のコクーン版は勝地涼さんと長谷川博己さんが良く、小栗さんは少しお疲れ気味だったのかな、と朧げな記憶。
今回の内田健司さん演じる皇帝は、ギラつきと横暴さと狂気と悲哀の加減のバランスが絶妙に凄かった。二幕の芝居で油断して笑ってたら首はねられちゃうw。この作品に玉ねぎは必須アイテムなのね。
コクーンやさい芸大ホールの舞台公演の演出だと、格調さや優雅、みたいな印象を感じる事がたまにあるが、著名人が出演していないネクストやゴールドシアターには若さや艶っぽさ、過激さが舞台の至る所から溢れて見え迫力あって良い。最後のまとめの部分はやっぱり蜷川さんだけど。
観劇日の日替り配役→セゾニア周本さん、シピオン砂原さん、ミュシュス妻田中さん。でした。
満足度★★
演技力を見せるストレートな演出
蜷川さんの得意技であるケレン味を効かせた表現は控え目で、役者達の演技をストレートに見せる演出となっていましたが、物語としては理解も共感もしにくかったです。
妹を亡くしたのを機に暴君と化していく皇帝カリギュラの孤独な心境を描いた物語で、残虐でありながらどこかしら純粋さを感じさせるカリギュラの姿が印象的でした。
前半は終始シリアスな雰囲気で進行し、休憩後の場面は雰囲気が変わってコミカルになっていましたが、中途半端であまり笑える表現になっていなくて、異化効果としてもあまり機能していない様に感じました。最後のシーンは蜷川さんが他の作品でも良く使っている手法で、その効果よりも既視感を強く感じてしまいました。
若い役者ばかりの劇団ですが、叫ぶ台詞も聞き取り易く、老け役を演じていても違和感が無く、実力を感じました。カリギュラを演じた内田健司さんの繊細な存在感が魅力的でした。
三方囲み舞台で、上空には大きなシャンデリア、奥の壁は鏡張りの黒い空間に、カリギュラは白、他の人は赤で、年齢に応じて皺加工が施された衣装が映えていました。
効果音と音楽の使い方が説明的で、好みではありませんでした。
満足度★★★★★
蜷川さんは、役者の身体が発する声に、きちん耳を傾けて演出すべきだったのではないのか
と勝手に思ってしまった。
蜷川幸雄+さいたまネクストシアターの『カリギュラ』。
カリギュラは、ローマの皇帝、そして独裁者である。
しかし、その前に若者だ。
とても面白かった!