女優を観る楽しみが満載
加納幸和さんの品の良さが光った演出。何かヘンテコな山場などは作らないんですね。台本がしっかりしているからいいではないか!とそれだけで。見た直後はその良さに気がつかなかった。しかし、あとからじわりと来る舞台。王道なコメディ。正統な話。こういうお芝居は役者さんのものすごい集中力とアンサンブルの妙みたいなものが大切です。3人の女優も2人の男優もやはりプロの仕事。レベルは高いし、作品と俳優の良さを大切にする加納さんの演出も派手ではないけど見事なんです。こういうのって、実はヘタクソな著名な演出家っていますよね?
秋吉久美子さんの自由奔放さ、浅丘ルリ子さんがいろんなことを背負って演じ、渡辺えりさんがメチャクチャ可愛い。可愛いんです。天使だなあの方は!そういう素晴らしい女優3人のおかげで、男優二人はのびのびと美味しいところを取りまくり。
浅丘さんは帝国劇場で座長公演を何本もされた方だと思うと、9800円というチケ代も高くないと考えなくてはならないのか。これだけのキャストでガラガラの客席はやはりチケ代を受け入れてもらえなかったのか。劇場をPARCOでやったらもっと良かったのになと思いました。
満足度★★★
ルリ子とえりと久美子のホスト遊び
芝居なんて、どうでもいいのであろう。
有閑マダムの浅丘ルリ子と渡辺えりと秋吉久美子が、
可愛いジャニーズの男の子と、昔可愛かったであろう、
なんだかクッシャクシャでシワだらけになっちゃった石井さんを、
そばにおいて、かまってもらう。
男性陣が必要以上に衣装替えして、女性陣の目を潤す。
プライベートやセクハラだけど、芝居なら堂々と出来るとばかりに
素敵な男性が、みな自分達に気持ちを持ち、
ベタベタ・イチャイチャしながら、優しい甘い言葉を、かけてくれる。
なんともゴージャスなホスト遊びである。
内容は、ベッタベッタな、ドリフも真っ青な位のコメディである。
ルリ子は、大地真央のようなダじゃれを連発し、空回りをし続けるし、
えりは、明らかに自虐的なアクションでの笑いに走る。
秋吉久美子は、おどおどしながら目が泳ぎながら芝居をしており
見ているほうがハラハラするし、
石井さんは、劇場スペック関係なく帝劇や地方会館などの大劇場を
相手にしたような大げさな芝居で、一人熱演している。
どいつもこいつも、
台詞はしょっちゅう詰まっているし、時々芝居はちぐはぐになるし、
稽古不足が目に余るほどの、まとまりがない。
それでも、2時間、舞台を見続けてしまうのが、さすがは大女優のオーラ
でしょう。浅丘ルリ子、魅力の桁が違うのである。
やっぱり、お金を取れる役者って選ばれた人なんだなぁ。
ジャニーズの子は、風間俊介、彼は一昨年、蒲田行進曲の
「ヤス」で見ていたのだが、今回は打って変わって、
絵に描いたような可愛い子犬のような男の子にハマっていた。
東京公演より地方公演が長いようである。
前回の「おかしな二人」で地方公演バス旅行の様子を楽しげに話していた
浅丘ルリ子をTVで以前見たことがある。
実力のある大女優が、バスで地方会館周りも、
いやはや、せつない話ではありますが、
(そういば、ここ5年くらいで、めっきり看板役者の
座長芝居ってなくなっちゃいましたねぇ)
可愛いジャニを従えながら、ドサ周りをするのも、
女優冥利というか、余生にはいいのかもしれませんねぇ。
(ルリ子の次回作はAAAと競演とか)。