満足度★★★★
異文化のミクスチャーを浴びる
黒人出演者によるマリンバとスティールパンの生演奏と、野性的なダンスと歌声で、プッチーニ版とは全く違う音楽体験ができました。イタリアのオペラを黒人が英語で歌い、日本人の私がそれを理解して楽しんでいること自体に、感動をおぼえました。
満足度★★★★
力強い歌声
19世紀のパリを舞台にした『ラ・ボエーム』を現代の南アフリカに置き換えた作品で、設定や物語だけでなく音楽もアフリカンなアレンジが施されていましたが、過度に軽薄な感じにはならずに芸術性と娯楽性のバランスが良くて楽しめました。
アパルトヘイトについて触れる演出もありましたが、政治的な面に重点を置き過ぎず、また小手先の演出にも頼らずに歌手達の歌と演技で求心力を生み出していたのが良かったです。音楽の終わり方が原典とは異なっていて、少し明るさが感じられる響きだったのが、このプロダクションの雰囲気に適していたとは思うものの、中途半端に感じました。
当日パンフレットに記載された文章によると、南アフリカでは結核で亡くなる人が未だに多いとのことで、ヒロインが結核で死んでしまう物語がただの悲しいお話ではなく、リアリティーのあるものとして感じられるものとして演じられているということが印象的でした。
音楽的にはオーケストラ部分を舞台の両サイドに位置するマリンバ+スティールパン+合唱に置き換え、リズミカルな伴奏音形となっていましたが、歌のパートは原典通りで本格的なクラシックの歌唱法に則っていて聴き応えがあり、合唱もパワフルで魅力的でした。
冒頭を含め、所々でプッチーニとは関係がないアフリカ音楽が演奏される箇所があり、ノリの良さが楽しかったです。
途中に印象的なダンスシーンが何度かありましたが、それ以外の場面でも歌手も器楽奏者も演技ではなく自然に音楽に合わせて動いている感じが見ていて気持良かったです。
満足度★★★★
20日マチネ観劇
声のグルーブが気持ちよかったなあ。
時に主旋律を食っちゃうほどパワフルなオブリガードのコーラスが好き。
普通のオペラでの『ラ・ボエーム』上演は観たことがなく作品自体はあまり知らなかったんだけど、こういう「フィクションの可能性を信じてる」っていう力強さのある作品だったんだなあ、と。
元の編曲を知ったうえで観てたら、もっと楽しめた部分もありそう。
ただこれは仕方ないことなのかもだけど、「あっさり終わりすぎ・・・」ってなことは若干思わなくもなかったかも。
テーマとして重点を置きたかったであろう「結核」もお話の中でそこまでビビッドには感じなかったし、もうちょっとこの集団の味が活きる演目ってのもあったんじゃないかなと。
あと音響はもうちょっとどうにかできなかったのかなーと。
特にパーカッション、サウンド的に美味しい部分が全部上の空間に逃げちゃってた気がする。音響反射板吊るすなりなんなりの工夫で、もう少し音を近くに感じたかった。