満足度★★★★
「隠し事」の大小は人によって様々
前科のある者複数が働く新聞配達店での物語。
2人の前科者だけでなく、登場人物の殆どが大なり小なり「隠し事」をしていて、その重さ・大小などの基準は受けとり手によって異なるというのがミソ。
性感マッサージ嬢だった過去を隠していた恋人を幼女いたずらの過去を持つ男が許せない、なんてところは可笑しいし、テーマがワカり易く表現されていて巧いよなぁ。
なお、tsumazuki no ishi作品に一脈通ずる昭和っぽい装置も印象的。
満足度★★★★★
芝居の力
前回もよかったが、今回もよかった。
前作を見た劇場関係者?の方が、再演の声かけをしてくれての再演の運びとなった、という話を聞いた。
いい芝居を作るとちゃんと評価されるという当たり前のようでなかなかないことだと思う。
極端な言い方をすると「小劇場の神話」がひとつ増えた、ともいえるんじゃないか。
前回の役者さんたちもとてもよかったけど、今回もしっかり伝わってくる芝居をしてくれた。
いろいろな感想があふれてしまって、「観てきた!」を書くまでえらく時間がかかってしまった。
感じたことを言語化するのがうまくできないので、よい作品を作ったスタッフや役者さんたちにうまく伝えられないのはちょっと悔しい。
やっぱり、意識を触発される芝居(映画でもいいんだが)はいつまでも心に残るなあ。
満足度★★★★★
罪と罰
犯した罪は消えない。どんなに償おうとも、謝ろうとも、消えない。その罰を背負って生きていくしかない。そこに神はいない。あるのは罪と罰だけ。
年初からヘビーでしたが、良い舞台でした。
演出の都合上、1階と2階を隣り合わせることで、この様な小さな劇場ではうまく出来ましたが、もう少し大きくなるとどうするのかな。シアタートラムとか幅広いところ。再演希望ですが、少し場所は選ぶのかな。。
満足度★★★★★
観に来てよかった!
前回公演で気にはなっていたが、都合つかず今回初見。
小さい新聞販売店の作業場と事務所、2階には六畳一間?の和室。
ほとんど初めてみる役者さんばかりなので、出だし、どういった役割か探りながら見ていたが、男の日常を取り巻く環境と心情の揺れ動くさまに次第に重い気持ちになったり、他愛ない話で一瞬表情が崩れる時もあったけど、その後の展開にやるせなくなったり。
彼と周囲の人の関わり方、揺れ動く感情につい舞台の世界に入り込んでしまった。
彼等90年代のアイドルはやっぱりあの人たちだよな、選曲ですぐにその時代背景がわかってしまう。
出演者にそれぞれ出番があったけど、笑いの要素を入れようとしたバイト面接のやり取りは特に必要とは感じなかったかな。
定時制だったかな、あの学校の先生はどこまで彼の事を知っていたのだろう。
隣のバイト君の笑わせ方が、早口、がなる、リフレイン、で、いかにも関西のノリの笑わせ方だなーと思った。
役者陣、全員素晴らしかったけど、新聞屋店長と元担任教諭の千葉さんが特に良かった。
明るい話ではない。
彼は全部受け入れて、誰にでも謝って、それでも生きて行かなきゃ行けない。罪の十字架を背負ったまま、彼の赦しの時間は果てしなく長い。あんなに重苦しい歓喜の唄を聞いたのも初めてだ。
あり得ない話でもない所にまた気が重くなったが、熱のこもった素晴らしい舞台に惹き込まれた。約2時間。
満足度★★★★★
圧巻でした!
普段観るエンタテインメントと全く違う感動と想いが心に残った舞台だった。
感じたことは人それぞれだとは思うが…
冒頭の宗教のくだりからすっかり取り込まれた。
あれだけのセリフをあの迫力で観られる舞台はなかなかないかも。
凄い!の一言。
役者さんのレベルが高いのもこの舞台のポイント。
満足度★★★★
世間
昨年9月に新宿ゴールデン街劇場でアフリカン寺越企画によって上演された脚本を
リニューアルしてスケールを大きくしたというもの。
主演のアフリカン寺越は相変わらずの熱量で隙のないなりきりぶり。
新聞店に住込みで働く男の部屋を舞台にした前回の閉鎖的な設定から
一階店舗部分と二階居室部分に分かれた舞台、
登場人物も5人から11人に増え、確かに規模は大きくなった。
増えたのは“世間”の人数である。
個人的な好みと、前回公演を観ているという事情もあるのだが、
あの極小空間での濃密な“行き場の無さ”が拡散してしまったように感じた。
例えるなら、前回公演は岸を削るような急流だったが
今回は川幅が広くなった分流れが緩やかになった印象。
しかしこの重いテーマを、直球ストレートでど真ん中めがけて来る感じが素晴らしい。