満足度★★★
高級すぎるパフォーマンス
アンデルセンの「絵のない絵本」を下敷きとしたダンスパフォーマンス。
予備知識がなく、こうしたダンス中心の舞台も初体験。
女性9人が砂地を動きまわる。
もぎりでマスクを渡され、砂が舞うかもしれませんと言われたのかなあ。
マスクいるかもしれませんと、言ったのかなあ。
実際は、客席が上のほうだったのでマスクを使うまでのことはなかったが。
そんなこの舞台に直接関係ないエピソードしか書くことができない。
そもそも、ダンスを見ながら1時間半踊るもの大変だろうなあと、素朴な感想しか思いつかない。
途中、居眠りも出てきたり。
でも、若い女性たちが一生懸命踊っているのだから、居眠りなんて失礼と思ったり。
子供たちも何人か見かける。
子供たちの感想はどうだったのだろう。予備知識がないという条件では同じと考えてしまう。
人の感想を気にしてもしょうがない。そこらが、貧困さをさらけ出している。
意味もないことを書いてしまっている。
舞台を観てどうだったと聞かれたら、「うーん、なんだかわからなかった」というのが正直な感想。
「じゃー、おもしろかった?」との問に、「退屈だったかなあ」と答えてしまう。
言葉がないぶん、思考停止状態になっている。
ダンスだけで表現する試みについていけないだけの話しかもしれない。
なんか、筋とか意味を考えてしまっている。それがないと不安。なんでこんなに動きまわっているだけなのかと考えている。
あと、動きが真面目すぎたと言うことはないか。
主宰者が観客に対するお願いとして行ったパフォーマンスが抜群におもしろかった。
あんな感じがあれば、私自身もっと食いついたのでないか。わざとらしいことを徹底してやればおもしろくなる。
時々、コミカルな動きもいれたパフォーマンスでわかりやすいものにしたら、意図と異なってくるか。
素人にとっは、わかりやすさを求めている。それがないと、伝わってこない。
私には高級すぎるパフォーマンスだった。
満足度★★★
無国籍感が漂う幻想的なダンス
アンデルセンの童話に基づく作品で、白神さんが主宰するモモンガ・コンプレックスの作風に比べて笑いを取ろうとする場面が少ないながらも親しみ易さは失われていなくて、幻想的な表現が美しかったです。
海岸あるいは月面の様に床全面に砂が敷かれていて、上空には窓枠、さらにその上に三日月が吊られたステージの中で、それぞれデザインの異なる白い衣装を着た9人のダンサーがそれぞれの個性を活かした振付で、ソロ、デュオから全員の群舞まで様々なムーヴメントとフォーメーションが繰り広げられ、あまり動きのないシーンも何回もあるメリハリのある構成でした。
最後は衣装の一部を床に置き、ダンサー達が中央に集まり、皆で本を読んでいる様な雰囲気で静かな終わり方が印象的でした。
当日パンフレットにそれぞれのシーンに対応する原作のワンフレーズが書いてあったものの、具象的にテクストをなぞるのではなく、文章から自由にイメージを展開している様に見えました。
ヨーロッパのみならず、南米、アフリカ、アジアの様々な国の音楽が使われていて無国籍感が漂っていました。特に『ラ・フォリア』が3回それぞれ異なる編曲の版で使われていて、印象に残りました。
クラシックバレエ的な動きやポーズが多かったのですが、床が砂で足場が安定しないせいもあってか、ダンスの精度としては物足りなさを感じました。横一列に並んで客席に向かって来る場面の力強さが魅力的でした。
本編が始まる前に、蠅の格好をした白神さんのソロパフォーマンス『ちいさな1日。(キラリふじみヴァージョン)』があり、小道具を使ってコミカルに開演前の諸注意のアナウンスをパフォーマンス化していたのが楽しかったです。