【終了致しました。ご来場誠に有難うございました!】劇団藝展『乾かせないもの・韓国版』 公演情報 【終了致しました。ご来場誠に有難うございました!】劇団藝展『乾かせないもの・韓国版』」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
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  • 満足度★★★

    とても誠実な作品
    作品のテーマもその演出も、演技も、正攻法で作られたとても丁寧な作品だと思いました。

  • 満足度★★★★★

    想像力の翼
     この作品を書いた人が、日本に住んでいることに驚嘆した。状況設定がどんぴしゃりだからである。戦争というものの本質的な悲惨は、寧ろ銃後にこそ現れる。限界状況は、前線に現れるが、それは、通常の思考の埒外である。従って、悲惨という人間的感情の残るドラマは銃後にこそ現れるのだ。作者の置かれた条件にも適っている。己の置かれた位置から、戦争という言葉に尽くせない不条理を見事に想像力で解いているのだ。それ故にこそ、休戦下の韓国の人々にもリアルな感慨と共に受け入れられたのであろう。この活きた想像力の見事さは、どんなに評価しても良かろう。キム・テソク氏の指摘するように世界の何処に出しても通用するレベルだと思う。
    (追記2013.11.1)

    ネタバレBOX

     韓国で机上風景が演じた舞台は残念乍ら拝見していないが、イェジョンによって演じられた今作の質の高さは、注目に値する。それは、前線に愛する者を遣り、帰りを待つという行為が、受け身ではなく喉から手が出そうなほど前のめりな待機であることからも解るであろう。本当に、何処にでもいそうな普通の人々が、戦時下に置かれた中で精一杯生き、悲しみ、何とか楽しく生きようと試み乍ら、苦しみを誤魔化しきれない遣る瀬なさに圧迫を感じる様、緊張し、大きく深いストレスを抱えるが故の思い遣りや、心遣いを懸命にする姿勢に深いリアリティーと努力を見る。それが、人としてできる精一杯の行為だからであり、正常を保つ為の日常だからである。
     然し、伍長が生きて帰って来ると、均等だった不幸のバランスが崩れ、途端に人間関係の破綻が現れる。状況に応じて変化する人々の心の動き、挙措が舞台化される緊迫感が凄い。而も、伍長の齎した情報の真偽は疑わしい、脱走の線もあり得るからである。そもそも、家族達の住宅に隠れるようにして戻って来たことからも怪しさは漂うのであり、疑義はその情報の不正確さから深まりこそすれ、無辜に近付きはしない。
     何より、戦争が始まってしまえば、互いに嘘を吐くのは常識である。その結果の相互不信が戦闘行為のみならず、戦争状態を維持するのだ。人は、己自身を守る為に嘘を吐いているつもりだが、実は逆にその嘘が、互いの信頼感を傷つけ、壊し、戦争を泥沼化するのである。戦争で最初に殺されるのは、実は人ではない。事実なのである。次にその事実を指摘する自由が、そして漸く始まった戦闘によって人が死ぬのである。家族住宅への伍長の帰還とその齎した情報による日常生活の破戒こそ、この段階を銃後で描いたものであり、いつ果てるともない戦争状態の悲惨を描いたものである。ユエの死は、このような銃後の「戦争」として描かれたと見て良かろう。無論、文学的素養のある者にはトリスタン・イゾルデ伝説が直ぐ頭に浮かぶであろうから、彼女の亭主である軍曹が生きて帰って来ることを予想するのは、容易い。演劇的にもそうする方が、効果的なのは自明であるから。だが、これら下らない知識などの齎すデジャヴュ感の是非はともかく、現に停戦中でしかない朝鮮戦争のリアリティーを作品は淡々と描いて見せるのだ。
     軍曹の帰還後、彼はユエを探すわけだが、伍長の齎した誤った情報によって、生きる力を失い自死してしまったユエの不条理な死と、彼女が生きていると信じて帰って来た軍曹の出会った替えのきかない事実、未来への空虚は、戦争の実態を暴き告発してもいよう。 
    ラストシーンも印象的である。飛行機が着陸音を響かせて近付いてくる。人々は、信ずる何事も持たず、女達は次の展開を待つ。乾かすことのできない彼女達の涙と共に。
     この作品を観終わって韓国の観客達は、休戦中でしかない現実の中に戻って行くのだ。開戦以前から既に、開戦以降は尚の事、誰一人傷つかぬ者の無かったこの戦争の休止状態へ。
     キャスティングの妙に見られる演出の巧み、天気さえ良ければ乾く洗濯物と、いつ終わるともなく続く戦時体制の下、大切な者の帰還を待ち続けて乾くことの無い女・子供(直接には描かれていない)達の涙を対比して心に響く。
    .

  • 満足度★★★★★

    白い洗濯物
    愛する人の無事生還を待つ女達の、切なる想いさえも踏みにじる紛争の悲劇と酷さを痛切に感じ入る。韓国語なのでよりリアリティを感じた。
    劇団藝展に拍手‼

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