満足度★★★★
悲しみの真珠,それが,最後の真珠だよ
母親の胸に抱かれる幼子,そして,その子を一生見守る善良なる妖精たちの話。
妖精たちは,それぞれが,一つずつ贈り物を,子どもに与える。さて,今そろっているのは,健康・財産・幸福・愛を持っている妖精たち。あと一人が不在なのだ。
家を守る守護霊,子どもの守護霊が,説明するのは,花輪をちゃんと作りあげたいのに,妖精たちは,一カ所にじっとしていない・・・のだと言う。
おや,母親が亡くなり,父親と残された子どもたちがいる家庭にワープした。そこには,一番大事な,悲しみの妖精がいた。燃えるような熱い涙のしずく,涙は真珠となり,虹色に輝く。これが,悲しみの真珠。この真珠があるがゆえに,ほかの,健康・財産・幸福・愛などの真珠が輝くのだ。
キリスト教思想では,悲しむべきことがある時こそ,主に近づける。その悲しみが深いほど,主に接近できる,と考えるのですね。確かに,一般的にも,悲しい体験はあまりしたくないものですが,そのようなときこそ,人生が深いものになる。また,他の人に優しくなれるような気がします。
参考文献:アンデルセン童話全集II(西村書店)