鬼灯町鬼灯通り三丁目 公演情報 鬼灯町鬼灯通り三丁目」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.4
1-5件 / 5件中
  • 満足度★★★★

    スイカ組
    初めての劇場、とても小さな中にセットが組まれており、客席との境界もないような、客席を含めてのセットの印象を受けました。 そのせいもあるのでしょうが、とても濃密濃厚な時間を過ごさせてもらいました! 時代設定が戦後すぐな為に、その頃の人たちの気持ちや想い、すべてをリアルには感じとれなかったですが、面白かったです。 ラストの終わり方も良かったです! 鬼灯のあかい色が印象的でした。

  • 満足度★★★★★

    役者の層の厚さ 「スイカ組」
    「ホタル組」を観てからの「スイカ組」だったので、こちらは比較して書きます。ネタバレボックスにですが。

    ネタバレBOX

    スイカ組について

    <松尾大吉役:稲葉能敬さん>
     ホタル組の井上さんが時代に振り回された男の軽さと、滑稽さを演じているように見えたのに対して、稲葉能敬さんの演じる松尾大吉は、重い。
    戦争で味わったものの重さを抱えているように見える。すべてのシーンに松尾大吉の影が見える。それはとても人間くさい。欲望の匂いがする。
    戦争の論理、つまり男の論理を戦後まで引きずっているように見える。
    井上さんとは好対照。どちらも、それぞれに素晴らしいかった。

    <松尾弥生役:徳留香織さん>
     こちらも、ホタル組の大手忍さんとは好対照。大手さん演じる松尾弥生がすぐに感情を露わにする強い女性なのに対して、徳留さん演じる松尾弥生はちょっとしたことでは感情を露わにはしない。そのため、一見穏やかそうに見えるのだが、ひとたびスイッチが入ると、溜まっていたものが堰を切って流れ出し暴力的な一面を覗かせる。落差が大きい分、こちらの女性の方が怖い。
     その人物像の違いが、狂気の質の違いにもなっている。これは大手さんの演技が、どこかで時代などの大きなものによって追い込まれ、やり場のない怒りを抱えているように見えるのに対して、徳留さんの演技では目の前の現実に押しつぶされているように見え、さらに松尾大吉にその怒りを向けているように見える。
     時代に追い込まれているのか、目の前の現実に追い込まれているのか、という印象の違いは、作品の印象を大きく変える。ただし、これは、大手さんと、徳留さんの違いだけではなく、松尾大吉役の井上さんと稲葉さんの違いもその印象に大きく影響している。井上さん演じる松尾大吉は、純粋に見えるので、責任の所在は彼にはないように感じる。それに対して、稲葉さん演じる松尾大吉は、戦争を引きづっているように見えるため、責任を彼に向けたくなる。

    <番場鶴江役:山本あさみさん>
    ホタル組の芝居が、夫婦を中心に描かれているように見えるのに対して、スイカ組は、徳留さんの演技が引いた演技だということもあり、その分、番場鶴江役:山本あさみさんの演技が前に出る。
    山本さんも、ホタル組の番場鶴江役:鈴木さん同様に、強弱がとてもうまい。それに、台詞をしゃべっていない部分でも、細かい演技がとても豊かで魅力的でもある。ホタル組同様、番場鶴江役が場を作っているように見えるが、他の役者さんとの関係で、こちらでは、番場鶴江役が前に出て見える。

    <鍋島小梅役:外山博美さん>
    ホタル組の川原洋子さんとは対照的。ホタル組の松尾大吉役井上昌徳さんと近い印象。とても軽い。元娼婦という憂いなど微塵も感じさせない。それが、とてもよかった。その軽さによって、舞台が深刻になりすぎずに済んでいる。また、軽いが故の切なさも孕んでいた。


    総じて、配役のバランスが絶妙だと思った。それを演じた役者さんたちの演技力の素晴らしさは言うまでもなく、それと同時に、この配役のバランスによって、それぞれの個性が最大限に活きていると感じた。
  • 満足度★★★★★

    役者の層の厚さ 「ホタル組」
    4人によるシンプルな舞台なので、役者の演技を思う存分堪能できた。

    「ホタル組」「スイカ組」合わせて8名の役者さんが演じるが、全員がそれぞれに魅力的。同じ芝居でも、役者が違うと舞台がまったく違う印象になる。

    別の芝居を観るように楽しめた。
    また、観比べることで、役者と演技・演出の関係についてとても勉強になった。

    とにかく、桟敷童子の役者の層の厚さに圧倒された。

    ネタバレBOX

    「昭和二十一年の夏
     男が戦地からやっとの思いで帰り着いた我が家には
     初恋の人を待ち続ける妻と、見知らぬ二人の女がいた・・・」(当日、パンフレットより)という話。

    帰ってきた男:松尾大吉が、偉そうに、女に「戦争もしてないお前らにはわからないんだ」という主旨のことを言う場面がある。
    そこで、番場鶴江は、「男だけやない、女・子供も戦争してたんや。そもそも男が戦争しよ言わなんだら、戦争など起きへんかったんや」(方言が正しくなくて、すみません)というようなことを言う。
    このシーンはとても印象的で、この芝居トーンはここに象徴されている。戦争という男の論理・男の暴力に対して、戦後になっての女(弱い者)の立場から反撃がなされている。


    「ホタル組」について

    <松尾大吉役:井上昌徳さん>
    演技というより、井上さんの人間性からくるものなのだろうが、
    「まっすぐ」な感じがとてもよかった。
    戦中は戦争に振り回され、生還してもまた戦後の日本に振り回される一人の実直な男の姿が、本来は悲劇的なはずなのに、とても喜劇的に見える点が素晴らしかった。深読みすれば、戦中は戦争という男の論理に振り回され、帰還後は生活や感情という女の論理に振り回されるという解釈も成り立つ。いずれにせよ、時代に振り回され続ける人間の姿をこれほどまでにうまく演じる、いい意味での軽さがとてもよかった。

    <松尾弥生役:大手忍さん>
    松尾大吉役:井上昌徳さんの軽さに対して、大手さんの抱えているものは重い。彼女が抱えているものは、男が勝手にはじめた戦争や男が作った家制度(つまり天皇制)に振り回された女の苦悩でもある。その鬱屈は、敗戦により、家が(天皇制が)崩壊すると共にに、晴らされたはずだったのだが、家長である夫が帰還してしまったことで、行き場のないものとなる。それに、愛し待ち焦がれている初恋の人は戻らない。そして、鬱屈は怒りへ、そして狂気へと変わる。その様をとても熱量のある演技で魅せてくれた。

    <番場鶴江役:鈴木めぐみさん>
    強弱、緩急が絶妙だった。自身の演技の緩急というだけではなく、他の役者さんとの掛け合いで、出るところと出ないところをわける間合いも素晴らしかった。井上さんや大手さんが強い演技なので、一見鈴木さんの印象は薄めなのだが、実は鈴木さんが、どっしりと構えて全体のバランスをとっているという印象。彼女が実は場を作っているとさえ言える。自分を表現するだけが役者じゃないという点には、改めて驚いた。

    <鍋島小梅役:川原洋子さん>
    一番地味なのだが、実は、松尾弥生役:大手忍さん以上に、闇が深いのは、こちら。その背負っているものの深さ・奥行を一番感じさせられた。実は演技で一番印象的だったのは川原さんの演技。お金のために身を売らなくては生きていけない女の姿、それは戦前も、戦中も、戦後も変わらない。進駐軍に街娼が追われている時に見せた、鍋島小梅の怒りの中には、「自分の意志では抜け出せない場所に追い込まれながら、それでもなんとか生きようとしている者をも殺そうというのか」という思いがあったのだろう。
  • 満足度★★★★

    安定
    この規模の公演で、かえって劇団の作風が際立ち、本質がわかってくるように思いました。
    とにかく安定感がありました。
    ワンパターンというか、手管はこちらもわかっているのだけど、その上で楽しむという楽しみ方を、この規模だと素直に楽しめます。

  • 満足度★★★★

    すばらしい!
    ホタル組を観賞。役者さんがすばらしい。まったく憎らしいほど良かった。
    舞台美術も気になっていたので、やはり作りこまれていてさすがです。
    ただ、ホントに狭かった。おなか出てるので、足がきついと苦しくて。。。

    HPで紹介できないのが残念!

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