『うそつき』/『屋上庭園』/『千両みかん』 公演情報 『うそつき』/『屋上庭園』/『千両みかん』」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-20件 / 20件中
  • 満足度★★★★

    『うそつき』が一番好きかな。
    『うそつき』/『屋上庭園』/『千両みかん』 全部観ましたが。『うそつき』が一番好きかな。
    いい感じでネタが明らかにされていって、その設定に無理がないのが良い。
    頭にすっと入ってくる気がします。

    『うそつき』だけなら、☆5つなのですが、他の演目が個人的に少し落ちたので、足して割って☆4つです。

  • 満足度★★★★★

    千両みかん・屋上庭園
    落語はもうそのままでもおもしろいのに立体的な動きも加わり楽しさ倍増でした。

    屋上庭園は演出力で魅せる味わいのある作品でした。

    こういうのが観られるならまた行きたい。

    ネタバレBOX

    スタジオ空洞までの道筋、ファミマを目印にするとファミマが3店ほど近距離で現れるファミマトラップに・・・まあネタバレではないが!!
  • 満足度★★★★

    『うそつき』を観劇
    最初から最後まで「うそ」にまつわる物語で、いくつかのうその配分もちょうどよかった。登場人物4人がそれぞれ、うそをつくし。(板垣のは本当だったのかな?)
    今回、改めて会話劇というのは登場人物の距離感だったり位置関係というのが重要なんだな、と思った。(それは左右に離れて言い合うナイルと板垣だったり、ラストの奥の椅子でつぶやくスランプだったり、後ろ向きで寄り添う板垣とギーコだったり。)
    その点、この「スタジオ空洞」という新たな空間は奥行きがありガランとしていてこの芝居にピッタリだったなと思う。
    それにしても国が戦闘状態に入ろうかというのに(ナイルは新聞を読んでしきりに気にしてはいたが。)、結局日常的な会話のやり取りに終始するっていうのもなんだか面白い。人間って、いざとなってもこんなものかもね。

  • 満足度★★★★★

    無題747(13-173)
    19:00の回(曇)。迷っている間に予約が締め切られてしまったので当日券で。1時間前、受付をお願いすると「見切り席か、立ち見の場合あり」という説明…に怯むわけにはいかず、ほとんど無意識に「はい、大丈夫です」、18:50から入場なので時間を持て余す。時間になり案内に従って下のフロアへ、幸い普通の席に座ることができました。L字の客席配置、「|」がメインの客席で、ミニ椅子1と普通の椅子2、上手側に2列。冷んやりしたフロア、やや暗め。出入りは3ケ所。中央に鉄製でしょうか(カフェの戸外にありそうな)丸いテーブルと椅子2脚(花模様)、上手の天井に鳥籠(鳥は不在)。19:01前説(90分)、19:05開演〜20:43終演。台本を購入。「フリル」以来の3作目です。(今回はスタッフでしたが)田中さんは「バタフライ」をみに行きました。

    日本ではない「どこかの国」、長い戦争が終わった『カルタゴ』という港町にあるガソリンスタンド「カルタゴ・ノヴァ」でのお話。4月の「踊れ場」版は未見。右手さんは「露出狂(2010/5)」「コロブチカ2 (2011/6)」以来。

    追い詰め、追い詰められ、表はどちらなのか。セリフ、間合い、カラダの動き、感情の揺れ、「撃滅不能部隊が迫る」(にしてはどこか長閑)なかでの心理戦。それを(文字通り陰で支える)照明…両手を駆使して切り替えと調整。最終日の公演でしたが来てよかったです。

    ネタバレBOX

    終盤、「エレファント」という存在が浮かび上がってきますが、ウィキペディアをみると「エレファント(映画)」の項が面白かったです。

    これは「レプリカント」みたいな存在でしょうか、戦闘用では(機能的に)なさそうだし(ターミネーターみたいのだったらあり)、お手伝い用…ではないだろうし、極端な人口減少でもない。

    オセロで一気にひっくり返ったような面白さでした。
  • 満足度★★★★

    うそつき
    「嘘」をテーマにする話は色々とどんでん返しがしやすいのか、面白いものが多いように思います。この作品も同様な面白さがたっぷりつまっていました。

    ネタバレBOX

    自分が自分であることを証明する難しさ、世間での自分自身の存在の危うさ、考えさせられつつも面白かったです!
  • 満足度★★★★

    『屋上庭園』/『千両みかん』観ました
    戯曲と落語のスタンダード、いずれも見事なアレンジで堪能させてもらいました。特に『屋上庭園』の演出には唸らされましたね。

  • 満足度★★★★

    うそつき
    以前観た踊れ場版(池亀三太演出:2バージョン)が軽快だったのに対してオリジナル版たるこちらは重厚…と言うより間も十分にとって深みがある感じか。
    それぞれに違った味わいがあり面白く、season2の別キャスト版も観たいものだが、果たして…?

  • 満足度★★★★

    千両みかん/屋上庭園
    「千両みかん」
    いくつか観た「立体落語」の中では一番落語寄りか? ちゃんとマクラまであるのは初めてかも。
    一方、ほぼ上半身のみの表現である落語に対して2人の演者が全身を使い演技エリアの中をところ狭しと動き回るのは演劇的。
    ピアノ曲を管弦楽に編曲した味わいかもなぁ。

    「屋上庭園」
    冒頭部分を3つの変奏で見せてツカミはオッケー、途中に会話のリフレインもあり、Re-MIX的な?
    また、狭い板の上での演技(「カイジ」気味?(笑))は切羽詰まった男の心情の表現か。
    時折出てくる太極拳のような緩慢な動きもアマヤドリ風味で、あーなるほど、的な。

  • 満足度★★★★

    『千両みかん』『屋上庭園』:アマヤドリ風味の2本立て
    『千両みかん』と『屋上庭園』との2本立て。
    『千両みかん』は落語、『屋上庭園』は岸田國士の作なので、なんとなく古典なイメージの2本なのだが、どちらもアマヤドリ風味がよく出ていたと思う。

    ネタバレBOX

    『千両みかん』
    普通に落語を原作として、2人役者が演じるのかと思っていたら、その想像とは違っていた。
    もちろん2人の役者が演じるというのは、そのとおりなのだが、イメージ的には、「2人で落語をやっている」という感じなのだ。

    どいういうことかと言えば、例えば、2人の会話だが、会話中の目線が合うことはほとんどない。また、演じる役がコロコロと入れ替わる。さらに演技がオーバーだったり、普通の表現ではなかったりもする(お互いの背中に座ったり、担いで歩いたりなど)。
    落語は一人で演じるものだから、会話の目線が合うはずもなく、役もコロコロ変わるのは当然。

    「立体的な2人落語」を観ているようだったのだ。

    しかも落語のように「マクラ」まで用意してあって、それには思わずニヤついてしまった。マクラがもう少し滑稽だったり、軽妙だったりしたら言うことないのに、と。
    マクラからきれいに入るのではなく、マクラはマクラで、唐突に「大変です若旦那が…」で入っても落語らしいとは思うのだけど。

    中村早香さんの、軽妙な動きと明るい発声は、落語の楽しさを体現しているようで、とてもよかった。本公演でも、あの独特の通る声は印象的なのだが、活き活きしていて、観ているほうも楽しくなってくる。


    『屋上庭園』
    どう見せるのか、興味津々だったが、面白い。
    最初、冒頭数分を見せ方を変えて3回演じる。「ん?」と思ったのだが、ストーリーの展開によりその意味が見えてきた。
    (勝手な解釈だが)それは、会いたくない昔の友人に、数年ぶりにばったりと出会ってしまった、戸惑いや、会話が成立するのまでの、心の揺れのようなものを表現していたののではないだろうか。相手にうまくチューニングするというか、そんなイメージだ。

    つまり、観客が観ているのは、(主に)主人公である並木の心の様子、心象・心情なのだ。

    平均台のような不安定な台の上に立つイメージ、足がぶるぶると震えるような中腰、さらに、早く妻が買い物から帰ってこないかと気を揉んでいるのにもかかわらず、妻たちは、スローモーションのように並木たちの周囲を歩き回ったりする、そうした演出は、すべて並木の内面を表現しているようなのだ。

    そうした演出で、主人公・並木に、つい感情移入してしまう。

    また、誰しも、会いたくないタイミング、今会いたくない人はあるだろう。ましてや「今何してる?」なんて聞いてほしくないタイミングや時期、相手など、はあるのではないだろうか。
    そういう、「そっとしておいてほしい心」を、並木を通して見事に描いていた。

    妻の「段々といい友人が少なくなっていく…」なんて台詞はキツイ。
    しかし、並木は妻がいて救われているという点が、この戯曲のいい部分ではあるのだが。

    並木を演じた糸山和則さんの、ねじくれた、ほの暗い感じがとてもいい。
    ヒリヒリ感の共感がある。



    ……確か主宰で演出の広田さんは、結構な高学歴と聞いている。彼は、大学の同期にばったり会ったりして、並木が「まだ書いてるのか?」と聞かれたように、「まだ演劇やってるの?」とか「今何やってるの?」とか聞かれるときに、並木のように感じてしまうことはないのだろろうか、なんて余計なことも思ってしまったり……。余計ですね(笑)。
  • 満足度★★★

    千両みかん/屋上庭園
    面白い。「千両みかん」の方が楽しめたかな。

    ネタバレBOX

    「千両みかん」
    若旦那がみかんが食べたくて病に罹り、安請け合いした番頭がなんとかみかんを売っている店を探すが、千両で買い取るハメになる。みかんを食べた若旦那から3房のみかんを受ける番頭は、自分の境遇を見つめ、みかんを持ったまま逐電する…。
    枕も含めて、二人芝居での「千両みかん」を演じる。役を固定せず、途中途中で切り代わり、トントンと話が進む。身体パフォーマンス含めても面白い。
    落語だと同時に複数の役は舞台上には存在しない(演じられている役以外の役は、客の想像で存在することになる)けども、今舞台は二人芝居なので同時に役が存在している。落語におけるそんな特徴を排した舞台であることに意義があったのかなと。そういう舞台のつくりってとこでは、その効果がよくわからなかった。


    「屋上庭園」
    とあるデパート?の屋上の庭園でばったり会った、旧友の並木(糸山和則)と三輪(沼田星麻)の両夫妻。裕福そうで人生順調そうな三輪と妻(毛利悟巳)に対して、見栄を張る並木。三輪の夕食の誘いも断った並木に、妻(榊菜津美)は優しくその身を案じる…。
    ブロックに板を置いた舞台が屋上。すれ違うにも窮屈な板の上で微妙な人間の距離(並木妻の脇を通る三輪夫妻への仕草とか)を表現する。
    両妻が買い物をしている中、屋上で会話をする並木と三輪の繊細な心の動きがいい。そして、三輪夫妻が帰ってからの並木夫妻の会話がさらにいい。「あなたの友達がどんどんいなくなる」と心配する妻を(板から下りて)同じ目線で抱きしめる並木。不安定な心(板)から開放されたように、並木の心に安心が生まれる。並木の卑屈さを癒す妻のやわらかい愛情が美しかった。
  • 満足度★★★★

    『うそつき』:人が人に対する感情(恋愛)のエネルギーは、エネルギーの法則のとおりに、流れる向きは一方通行なのか? またその総量は変化しないのか?
    っていう感じの壮大な物語ではないけど。

    ネタバレBOX

    私が感じていた、今までのアマヤドリ(ひょっとこ乱舞)の作品イメージは、空間や時間の壮大な広がりから、内側へ深く深く入り込んでいく、というものだ。

    今回の『うそつき』はそれとはかなり印象が異なる。
    一点の中で、ぐるぐると回る感じ。台詞のやり取りでバランスが変わっていく。
    ラストのどんでん返し(までは行かないけど)、一種のオチのような仕掛けが2つあり、オトシ話的で、演劇的には「普通」感さえしてしまう。

    しかし、面白い。

    なんと言っても台詞がいい。そして、役者がいいからだ。熱さだけでなく、軽妙さでも惹き付ける。90分まったくダレることなく楽しませてくれる。

    ストーリー的には、ギーコがエレファントだった、という設定のままのほうが、「引っかけました」的なオチの印象が薄く、さらにあとの展開がスリリングだったような気がする。そのほうが、私が勝手に考えるアマヤドリの作品イメージに合っているような気がする(ただし、上演時間が長くなるだろうけど)。

    しかし、ラストまでの道程がうまいのと、さらにもう一押しの、スランプがエレファントだった、というオチの「見せ方」がいい。
    ナイルとスランプの会話の感じや、かつてエレファントを飼っていた、という鳥かごの影が、スランプの頭上(壁)にスーっと伸びていく様は、照明を、壁のスイッチを切ったり入れたりするような会場で、よくもうまく作り上げたなと思う。もちろん、彼女がエレファントあるという伏線も、台詞の中にきちんと入っていたなということも思い出させる。

    それにしても、「カルタゴ」に「エレファント」という名称、さらに対する敵国に「スキピオ」という命名は、モロなのだが、悪くはない。「カルタゴ・ノウァ」なんて店名までも。これで、元軍の偉い人だったナイルが「ハンニバル」だったらやり過ぎなのだが(笑)。

    「マックスウエルの悪魔」という敵国の不滅の部隊名もなかなか。なるほどその部隊はその名のとおり、破壊と混乱から静止と死をもたらすことで、エントロピーを減少させるのかもしれない。……なんてね(笑)。

    人の感情、この場合、主に「恋愛感情」は、エネルギー法則のように「総量は変化しない」わけではないし、「流れが一方向」というわけでもない。
    だから、いろいろと面倒なこともあるし、面白いんだろうな、と。

    カルタゴの市民はスキピオ軍に蹂躙されてしまうらしい。スビキオ軍総攻撃の前日までも「大丈夫じゃないか」という確証のない安心感に包まれているカルタゴの人々。さらに市民を威勢良く鼓舞しながらも、結局は見捨てていった市長という図式は、どこかの国を思い起こさせる。

    今回は、アマヤドリっぽい、例の「ひょっとこフォーメーション」と、私が勝手に呼んでいる群舞のようなものがなかった。近しい動き、身のこなしはあるにはあったが。4人だから無理っぽいのだが、もう少し観たかったような気がする。

    また、数回前ぐらいから獲得した「ユーモア」も、きちんと入ってくる。不発っぽいところもあったが、全体的にはギスギスしがちなストーリーを和らげていた。

    これからアマヤドリは、この会場を拠点とし、定期的に公演を行うという。さらに、劇団としてのレパートリーを育てていくという目論みもあるようだ。
    この展開はとても興味深い。
    新作をバンバンやるのではなく、レパートリーを手に入れ、役者や演出の足腰を鍛えるということにもなろう。
    今回の公演は、その第一歩として成功したと言っていいのではないだろうか(まだ残りの2本は観てないけど)。少なくとも『うそつき』はレパートリーとしての強度はあるような気がする。
    さらに、岸田國士の作品のように、古典的ともいえる作品にチャレンジして、アマヤドリらしさを見せていくであろうことにも意味があると思う。
    例えば、そうした古典的な作品をアマヤドリの本公演にかけることだって考えられるわけだからだ。

    これからも目が話せない劇団だ。

    ……どうでもいいことだけど、ナイルは突っ込み体質なのだろう。しきりに突っ込んで、さらに突っ込まないで笑わせる。

    もうひとつどうでもいいことだけど、港の新聞=サンケイ、砂漠の新聞=アサヒ……かな(笑)。
  • 満足度★★★

    『屋上庭園・千両みかん』観劇
    最初は『千両みかん』でした。
    東西の噺家が高座にかける定番の古典落語の二人芝居は動きもユニークで楽しかったです。
    次の岸田國士作品『屋上庭園』、
    二組の若者夫婦が苦味のある会話を繰り広げるテイストは自分の好みではなかったなぁ。と

    (2つで70分強かな)

    ネタバレBOX

    みかんは動きも楽しくアマヤドリらしさが出ていたしで易かったのだろうと思ったが。庭園さんは微妙に題材選択が・・・?と思ったデス。
    気楽に自転車でも来れるようなら良いでしょうが、上演時間以上の移動時間をかけるとなると・・・と思ってしまったんですよ。
    ちなみに演出としての音や照明は両方とも上手いなぁと思ったデスヨ。
    (役者さんもね(^^)

    他劇団広告のチラシ束閉じた紙の宣伝が、
    小劇場関連に優しいまなざしであって好印象でありました。
    (こーゆー気遣いできる心の豊かさは尊敬に値します)
  • 満足度★★★★★

    うそつきを拝見
     実に微妙な戦争状態の中での他所者対仲間、男と女、事実と嘘、混み入った関係の中でのファクトの証明の不可能性等々、頗るデリケートな問題群を敢えて俎上に載せ、舞台化した意欲作。知的で繊細、而も、演出、役者の技量を露骨に問うような緊迫した舞台で、流石、本家の貫録を見せた作品作りであった。この舞台成功の秘訣は、精巧に作られたパズルのようなシナリオの本質を過つ所なく捉え、観客に納得のゆく形にして観せた辺り、作品解釈の深さにその鍵があるように思われる。

    ネタバレBOX

     舞台は都市国家カルタゴのガソリンスタンド、クッキーも出す一風変わったカフェ風の場所カルタゴノヴァ。隣国、スコピオとは、休戦を挟んでは居てもずっと戦争状態にあり、エレファントと呼ばれる無敵の武器を持つ強国、スコピオには近年やられっぱなしである。当然のことながら、互いの国民は、疑心暗鬼に陥り、他所者が来たとなれば、スパイの嫌疑を掛ける。 
     このような情況下、店に居るギーコを訪ねて板垣と名乗る男がやって来た。彼は、ギーコと昔暮らし、金を貸していたので、返して欲しい、という理由で訪れたのだが、実際に、ギーコと面通ししても埒が明かない。ギーコの暮らした、板垣の顔とは全然違っていたので、板垣であるのかそうでないのか、確証が持てないのである。板垣は、日記を見せたり、軍からギーコ宛てに届いていた板垣の死亡通知が間違いであるとの説明を繰り返したり、何故、顔が変わってしまったか理由を明かしたりするが、どれも決定打にはなり得ない。ギーコにしてからが、板垣の耳の後ろにあった黒子でも確信が持てず、寝てみても分からない。だが、二人はそれでも段々に親しくなり、ギーコも板垣本人だと内心信じてゆくのだが、このスタンドの協同経営者であるスランプの相棒、ナイルは、カルタゴを代表する兵器製造の天才で、どうしても板垣の話を信じることができない。自分の作っていたエレファント技術を盗みに来たスパイではないか、との疑いを払拭できないのだ。但し、板垣を腕ずくで追い出すこともできないのは、どこかで板垣の言う事の事実性を完全には否定できない、と科学者として冷静に考えているからでもあろう。
     因みに、クッキーコンテストで佳作を取るほどの腕を持つスランプが、実は、ナイル作のエレファントであるという落ちも用意されているが、軍の科学者として、自分のボディーガードに強力な援軍を置いておくのは当然のことであろう。
     連続するシリーズの一部ということだが、実に、スリリングな舞台に仕上がっている。集中して観るべき舞台だ。
     
  • 満足度★★★★

    「千両みかん」/「屋上庭園」
    それぞれ、アイディアが面白い。

    ネタバレBOX

    「千両みかん」

    古典落語の演目を二人の役者が演じる。

    <あらすじ>
    上方の呉服屋の若旦那が急な患いにつき、
    「明日をも知れぬ」状態となった。
    医者に見てもらった結果、
    「気の病」で何か心の悩みが解消すれば治るのではと言われる。
    旦那は息子の若旦那を救うため、
    番頭に若旦那の悩みを聞き出すよう命じる。
    番頭は渋る若旦那を言いくるめ、白状させると、
    若旦那は一言、「みかんが食べたい」と告げる…

    ちょっと後に調べたら、
    落語の話自体に東京と上方で違いがあるという。
    (今回は上方版の話)

    通常の落語では、一人で複数人を演じるが、
    今回は二人。

    しかも役柄を固定せずに、
    同じ役を入れ替わり演じ分けたりもする。

    ただの会話劇というより、
    落語そのものを二人で演じ分けたという印象。

    面白かったのは、役者の位置取り。
    会話劇のように相手と向き合って話すことはほとんどない。
    互いに正面を切ったり、その場に応じた、
    その場を表すような位置取りが、面白い演出だと思った。

    中村早香さんが良かった。
    落語自体が昔の言葉、口調で作られたもので、
    彼女から発せられる台詞が軽快で楽しい。

    全体的に動きも忙しく、身体を使ったものもあるが、
    そこもやはり軽快で飽きない。

    「屋上庭園」

    岸田國士原作の短編。
    貧しい並木(糸山和則)とその妻(榊奈津美)、
    並木の友人で裕福な三輪(沼田星麻)とその妻(毛利悟巳)の
    二組の夫婦の会話劇。

    面白いのは、衣装。
    この二組の夫婦の違いを衣装で見ると、

    単純に裕福な三輪は白いシャツ→ホワイトカラー。
    貧しい並木は青いシャツ→ブルーカラー。

    で階級の違いを表しているように見えた。
    それぞれ妻も夫と同じようにシャツが同じ色、
    スカートが逆の色で青と白のコントラストが綺麗だった。

    もしかしたら、他にも意味が込められているのかもしれない。

    スタジオ空洞が基本まっさらなスタジオなので、
    ブロックを置き、板を渡して色々な場所に見立てるのが
    シンプルな半面、役者の動きが大変そうだった。

    三輪の親切を出来るだけ遠ざけようとし、
    卑屈な感じを妻の前だけにさらけ出す
    糸山和則の醸し出す陰の雰囲気が残った。
  • 満足度★★★

    前半は
    普通にすごく面白かったです! こういう形でもっと落語の話を見てみたいなと思いました。 後半はシュール?な展開のストーリーで分かったような分からなかったような。。 パフォーマンス?アート?としてはとても面白かったです。


  • 満足度★★★★

    笠井里美サンが楽しい♫
    『うそつき』観劇。
    設定をシンプルに、現代の日本に置き換えた方がよりヒリヒリとした空気感を楽しめたかも。
    キャスティングが今回の右手愛美サンに続き、来月は浅野千鶴サン(味わい堂々)で上演とのことなので、贔屓にしている役者サンばかりで、こちらも気になりますね(*゚▽゚*)

  • 満足度★★★★

    『うそつき』観劇
    題名に身構え、引っ張られ過ぎました。

    ネタバレBOX

    砂漠と港があるので中東かと思いましたが、地球の場末、アフリカ北東部辺りの雰囲気でしょうか。スコピオという敵が攻めてくる直前のカルタゴという町のカルタゴ・ノヴァというガソリンスタンド兼飲食店が舞台。

    板垣という男が訪ねてきて、ギーコに金を貸していたと言われても、顔に大怪我を負い整形して全く別人の顔になったという話にしても、どこかに整形の痕跡でもあって然るべしとも思うし、客観的に判断する材料がなく、全ての状況がよく分からない中では誰が嘘つきなのか想像のしようもなく、もどかしさを感じました。

    スランプの作ったクッキーをギーコが自分の名前でお菓子コンクールに応募したなんて一昔前にありがちなクソ野郎な出来事だと思いましたが、ナイルが作ったエレファントという人間そっくりで腕力のある身代わりロボットの存在が明らかになり、そもそもが近未来、場末の雰囲気と現実とのギャップには大いに騙されました。

    医療も発達していることでしょう。ギーコがエレファントだと聞いてもそれでも愛し続けると言うし、板垣の整形は本当のような気がして来ました。

    で、実はギーコは人間で、スランプがエレファントでしたということでしたが、ギーコが私はそのことについて何も言っていないわよ発言は、脚本上に矛盾が無いことの作者の表明かもしれませんが、言い訳がましく聞こえました。それに、嘘つきと嘘をつくは少し違うような気もします。

    スコピオの攻撃でカルタゴの町の人口が四分の一になるという話も、エレファントを使った数字のアヤかもしれませんね。
  • 満足度★★★★

    うそつき
    面白い。

    ネタバレBOX

    港と砂漠のある小都市国家のはずれのガススタンド。顔に傷のあるギーコ(右手愛美)とおかし作りにせいを出すスランプ(笠井里美)と何かの研究をしているナイル(松下仁)の前に、板垣と名乗る男(渡邉圭介)がやってきて、ギーコに貸した金を返してとせまる…。

    序盤のヒリヒリした空気が上手い。なんとなくしっくりくるもいかがわしい感じが上手い。
    徐々に話が紐解かれていきつつ、ラストのギーコがエレファント(ナイルの作った人工物)だったという引っ掛けに繋がる。んで、板垣の心を探る面々。おまけにスランプがエレファントでしたというところで幕…ナチュラルに騙されて楽しかった。

    戦争が身近にある近未来SFな設定と、舞台情報をきちんとコントロールしているとことで、世界の広がりを感じさせてくれる。セリフもキレてた。
  • 満足度★★★★

    アマヤドリの
    メンタルなお芝居『うそつき』を楽しんだ。 笠井さん演じるキャラが場を和ませてくれた。 じっくり観れていいんじゃないかな。 雨天決行したし。(笑)

  • 満足度★★★★

    6/26『うそつき』
    梅雨らしい天候の下、まさに雨天決行のアマヤドリだった今回の初日。

    アマヤドリの役者力とスタジオ空洞の空間力と、お互いの化学変化的なモノが面白くていろいろ満足。
    結構な至近距離で、この劇団の魅力たる身体表現の繊細さを味わえるのはうれしい限り。

    あと同じ脚本の舞台を4月にも観てる分、二回目だと最後の落ちへの伏線が沢山で、「こうつながってたのか~」みたいな気付きとか「こここう広がってくのか~」みたいな発見とか、そういう面白さもあり。

    会場の都合上、役者と観客の出入り口が同じで、遅れてきた人が入ってくるたびに集中力が殺がれちゃうのは、しょうがないとはいえちょっと残念だったなあ、と。
    ただそういう設備的な限界的なものも含めて、雨天決行っつーこの企画、この先も結構面白くなりそうで期待できるかも、とも。

    もう一方のプログラムも行こうかどうしようか。

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