満足度★★★
ロマンティックではない物語
30代前半の男女の妥協の恋愛を両側からの視点で描いた作品で、甘くない現実がドライかつユーモラスに表現されていました。
職場で出会った2人が成り行きで一夜を共にしたことから付き合い始める話が、所々で男性の本心を打ち明けるモノローグや回想シーンを挿入しつつ進み、女性に妊娠を告げられる所で暗転し、また冒頭から同じシーンが今度は女性のモノローグと回想シーンを伴いながら進み、両者の本音や記憶の思い違いがコミカルに描かれていました。
また暗転があり、その後の話が描かれるのですが、2人の直接的な会話シーンがなく、それぞれのモノローグが続くことによって心が離れている様子が描かれ、終盤になって会話が取り戻され、ハッピーではないものの最悪でもない今後が暗示されていました。
ドラマティックな展開や感動的なシーンが無い物語で、一般的な恋愛物語を期待していると肩透かしを食らいますが、2人のやりとりの裏側にイギリスの社会や宗教的な背景が透けて見えて興味深かったです。
主役2人は役に合っていましたが、少し硬さを感じました。男性視点のパートの時のちょっとしたアクシデント(おそらく)を女性視点のパートの時も再現する様な遊び心があったら良いなと思いました。
他の3人が複数の役を演じ分けていて楽しかったです。特に土屋祐一さんは役の数が多いのにも関わらず、それぞれ異なった妙な雰囲気で演じていて笑えました。
宣伝の仕方が作品の内容に合っていなくて(そもそもシアタークリエのような大きい所ではなく、小劇場向きな作品な気がします)、勿体なく思いました。
満足度★★★★
じわっとおもしろかった
5人とも大好きな方ばかりで、濃密な劇空間でした。
二人のそれぞれの「事情」を、相手の本音を知らずに進行していく・・・つまり、実生活ってこういう事ですよね。
いやいや、おもしろかった!!
加藤さん、土居さん、春風さん、おもしろすぎる役作り。
ちょっと下北沢系な雰囲気でしたが、役者さんって凄いな‥と思う。
音楽も良かった。
満足度★★★
日本語の「ロマンティック」ではない(笑)
職場で出会い、酒の勢いで一夜を共にしてしまった31歳男子と33歳女子。二人とも学生時代の失恋を引きずっていて…。幅広い層に向けた商業演劇らしいコミカルな演出・演技で、生々しい題材を軽やかに描いた恋愛物語。主役以外を3人の俳優が演じ分けるのもグー。出演者5人とは思えない厚さがあり、ラストの緊張感が良かった。今の時代、都市で経済的に自立している若い男女が「付き合う」とか「結婚」を決心するのって難しい。中越典子さんが心開いた柔軟な演技をされていてとても可愛らしかった。池内博之さんは新国立劇場『るつぼ』が良かったから、もう一段上が観たい。
『マイ・ロマンティック・ヒストリー~カレの事情とカノジョの都合~』ってとても憶えづらいタイトルだな~。