なるほど。
ひとまず、「時代劇はファンタジーになりやすい」という持論がある。意図してもしなくても、だ。
実際には現代を遡った設定なのだから世界観まで完全な虚構ではない。でも生活風習・言葉遣いなどが、現代人である客席の人々とは異なる。理解し合えない不思議さんがファンタジーな存在に感じられる様に、理解し切れない世界観もまたファンタジーになってしまう。その違いの架け橋となるのは、役者の存在感にどれだけ説得力があるか。気の強そうな設定の人物が本当に気が強そうに見えるかどうか。自信を持って演じ切っているか、その為に表面に現れる印象が結実しているかどうか。
この演目は、役者の仕事振りを観るべき芝居だった。