満足度★★★★★
政治とは全く無関係
今まで、朝鮮戦争の時には、完全に北と南に分かれて軍隊同士が戦っていたと漠然と思っていた。
ステップ・メモリーズを観て、初めて
朝鮮戦争が、一つの村の中で疑心暗鬼になりながらお互いに殺し合っていた内戦なのだと知った。
現在においては、
「誰が悪」というような明確な線引きの元に行われる
勧善懲悪型の戦争は存在しないようだ。
(モンゴル型の略奪型の戦争の神話が根強いが・・
「戦争状態」はいつでもどこでも、
人びとの心の中に想像力が欠け、お互いの歩み寄りが無くなった瞬間に
容易に突入する。
戦争で気を付けるのは前だけではなく、後ろにも必ず敵が存在し、
恐怖が人の命を奪う。
(他国民を殺す際には、必ず国内でも自国民が犠牲になっている
歴史上すべての戦争において、死ぬのは戦場だけでなく、
治安維持の名の下に多くの市民が命を奪われた。
・・じゃあ、そんな戦争に反対するにはどうしたらいいのか?
別に政治に首を突っ込む必要は無いと思う。
何かをプロパガンダして押し付けるなんて、
今じゃスマートさに欠ける(それこそモテない男の典型だ
それぞれが自分で考えれば良いと思う。
誰だって少しばかり優しさがあれば、親でなくても
目の前のちびっ子たちを、育て上げて
他の国の子供たちと殺し合いをさせたいとは思わないと思う。
この舞台の中で、北朝鮮の人びとから届けられた手紙が読み上げられた。
満足度★★★
社会的アートプロジェクト
映像上映が主体ながらもライブならではの趣向も盛り込み、社会的な内容をユーモアを交えて表現した作品で、アートを介して政治的な問題に関わろうとする意志が強く感じられました。
北朝鮮製の映画に偽装して海外の文化を紹介する映画のDVD500枚を北朝鮮に密輸して流通させるプロジェクトの、(1)DVDに納められた4本の短編映画の上映、(2)映画製作のドキュメント映像の上映、(3)映画を観た北朝鮮の人からの手紙や、脱北した家族へ宛てた手紙の朗読(映画の出演者による)の三部構成で、北朝鮮の人々の生活や文化的環境について色々と考えさせられる内容でした。
第3部の最後にアコーディオンを演奏する姿を収めたビデオレターが流され、そのまま舞台上手に座っていたアコーディオン奏者が引き継いで演奏するシーンが印象的でした。
本編終了後に、映画内で紹介されたレシピで作ったピザが振る舞われ、それを食べながらのアフタートークがあり、北朝鮮で作れるように考案されたレシピなので、チーズの代わりに豆腐、スパイスはコチュジャン、オリーブオイルは使わずで、正直美味しくなかったのですが、その美味しくなさも作品の要素として機能していて、興味深かったです。