満足度★★★★
歩き方
先ず目を惹いたのが演者の歩き方であった。これは凄い。立ち居振る舞いの基本になっているのであろう。背筋がすっと伸び、動きがスムースで上下動が殆ど無い。裾捌きも見事である。
聾者が演じるので手話の動きは入るのだが、同時に狂言の科白も流れてくるので健常者もリアルタイムで楽しめるのだが、数百年前に使われていた言葉が、変遷はあるものの、その場で類推でき、解説など不要であったことは、ちょっとした驚きであった。日本の古典がからっきしの自分は、分からないだろうと覚悟していたのである。但し、ここ数年の言葉の乱れは半端ではないので、今の若い人たちに、解説なしに分かるか否かについては、おぼつかないが。笑いの質が素直なので、所作を観たり、雰囲気を掴めれば、それでも楽しめよう。
満足度★★★★
古典芸能+手話言語
狂言の基本的な動きはそのまま、演者セリフは手話で表現、その手話に声のセリフをアテレコしての演目。出演者は日本のろう劇団のパイオニア?日本ろう者劇団と三宅狂言会が混合出演。特に難しく見る事なく、笑いに徹した狂言演目。正面から見た方が手話の台詞がスムーズに見やすいが、台詞と動きがピタリと合うアテレコ込みなので話の進行を妨げるような不安はなし。
古典芸能の喜劇作品の面白さがよくわかる三作だった。
「髭櫓」の演目で当初は米内山氏が出演予定だったが、体調不良の為、三宅近成師に変更、手話が出来る狂言師による舞台も見応えあった。
歌舞伎とは違う大胆な柄デザインの衣装の組み合わせも素敵だった。
狂言は一つの演目上演が約20分前後という事、その為、手話通訳の田中清さん付きで黒柳徹子さんによる40分程の前説からスタート。そちらも流石に話術が達者。