満足度★★★★★
歌舞伎の将来に期待
一條大蔵卿は播磨屋の当たり役だけに、安定感があった。
自分が若手の頃から観ている人たちがいまや重鎮と成り、併せて若手の成長ぶりも確認でき、将来が楽しみ。
皆鶴姫が菊の花を差し出す場面が今まで観てきた演出と違うので、あれっと思った。最近はこの型なのだろうか。
満足度★★★
「偽り」の物語
長い作品の中の一場だけが単独で上演されることが多い(とのことです)義太夫狂言の内の4つの場の上演で、一繋がりの作品の割にはそれぞれの場の繋がりが感じられず、まとまりのない印象を受けましたが、各場ごとに見せ場があり楽しめました。
六波羅清盛館の場は30分程度と短く、ウォーミングアップといった感があり、あまり盛り上がりを感じませんでした。
今出川鬼一法眼館菊畑の場は名を偽って奉公している男とその周囲の人々とのコミカルなやりとりで笑わせつつ、最後は3人で見栄を切って終わり、格好良かったです。
檜垣茶屋の場〜大蔵館奥殿の場は、頭の弱い公家の一條大蔵卿が実は平家の陣営を欺く為に阿呆を演じていたという物語で、一條大蔵卿を演じた中村吉右衛門さんの阿呆モードと真面目モードのギャップが見事でした。特に阿呆を演じている時のだらしない表情が素晴らしかったです。
大仕掛けや早替わり、大立ち回りのようなケレンを効かせた演出はほとんどなくて地味な雰囲気がありましたが、役者の演技をじっくりと堪能出来ました。竹本と役者の台詞の受け継ぎが印象に残りました。
上演中に喋ったり、ガサガサと物音を立てる人が多くて観劇に集中しにくい環境だったのが残念でした。