満足度★★★★★
ためらい、とまどい、すれ違い。
北村明子「To Belong -dialogue-」を観る。
ワークインプログレスでは、無機的な北村節と有機的なミロト節との不整合が露わになっていた感があったが、今回は微妙に寄り添っている感じ。インドネシアの動きや世界感を教わり、真似て行くくだりは、この作品の成り立ちを見ているよう。
ためらい、とまどい、すれ違い。「コンタクト」や「コミュニケーション」ではなく「ダイアローグ(対話)」とした意味を思う。
初めは、個々のダンサーの色が強かったが、動くにつれて途中からいい感じのハーモニーになっていた。シャープな個が滲みをみせ、群体になる感じ。
グンドノ氏の映像が要所に挿まれ、影絵や束芋風なアニメも交えて、映像が上手くコラージュされていて、作品世界を解りやすくしていた。
満足度★★★
異文化との対話
インドネシアのダンサーとコラボレーションで、副題に「対話」とある通り、異国の人との身体によるやりとりがクールな質感で表現された作品でした。
インドネシアの民族舞踊とブレイクダンスと格闘技をミックスしたようなスピード感のあるダンスが映像、音響、照明と組み合わさって、流麗で幻想的な世界観が生み出されていました。
互いに接触したり、見えないエネルギーを受け渡すような動きをしたりと、ダンサー達の身体によるコミュニケーションが強く意識された振付で興味深かったです。
マルチナス・ミロトさんとリアントさんが伝統舞踊を舞う姿が優雅でありながら力強さもあって素晴らしく、歌舞伎の見得を切る動作に似ていてる所もあり、とても印象に残りました。
複雑で激しい動きが多いのですが、精確にコントロールされていて熱さを感じさせず、全体的には落ち着いた雰囲気がありました。
インドネシアの歌手へのインタビューやアニメーション、事前撮りしたパフォーマンスの映像など、凝った映像表現そのものは良かったのですが、パフォーマンスと組み合わさった時に焦点がぼやけてしまって散漫な印象を受けました。