満足度★★★
俺は俺だという主張
本作品は、家族や世間の人間関係なんてはかないものであり、信頼に足るものでないとする残酷な面をこれでもかと描いている。
親や兄弟姉妹、恋人、友人全てが裏切り、無視、拒絶している断絶の世界。
観ていて何でこんなにすれ違ってばっかり、合わせようとせず、嫌みと暴力に終始してしまうのだろう。
不安と同居している男、DVな男、うそつきな女、セックス依存な女、愛情過多な女、血縁主義な女。
異常というのはこうだと言っている感じ。あまりに異常だからこそ、笑ってしまう。
ちんこを切ってまた新しいちんこが出てくるなんてことを大まじめに言う。
それで、新しい人間関係を築こうとしている男になったりする。
セックスが唯一の男女関係を成立すると考えている女。
血のつながりこそ、家族のあかしとする姉。
相手を信じない。信じたくない。信じても何も変わらない。
それよりは始めから相手にしないか、反対のことを言う。それに限る。
間違って相手すると、自分に負担をかける。
そうならないため、予防線を張って対応する。
関係そのものを分断することにきゅうきゅうする。
それだけで大変なはず。考え過ぎなんだよ。素直に考えればいいのにと助け船出すと、余計なお世話となる。
ひねくれることに生きがいを感じている人間のぶつかり合い。それがここのテーマ。
バカだなあと俺なんか思う。
どうでもいいことに情熱かけるオタクがいる。ここでは、人間関係を引き裂くオタクたちがいっぱいである。
救われない人たち。そうした人たちをこれでもかと描いた貴重な作品。
誰がなんと言おうと、こういうのがいるんだぞと主張した作品でもある。
はたからみると、かわいそう。本人はだめだなあと思いもあるに違いない。
それでも、人からやいのやいの言われれば反抗する。
俺は俺だという主張である。
満足度★★★★
承認願望
自分は変わらずに、それでもありのままの自分を肯定して欲しい、自己肯定感の低い今の青年の共通の思いだと思う。入れ替わるように連鎖していく人間関係をつなぐバトンは「寂しい」なのかな。この不条理劇は、心に素直にストンと落ちる。不思議だけど受け入れやすい。わかりやすくてクスクス笑うけど、クルリと世界が反転してゾッとしたりもする。共感の多い内容でした。
満足度★★★★★
なるほど
一見、ストレートな舞台のようで、
どんどん雰囲気が変わっていくあたり。
70分にその流れをきっちりまとめてくるあたり。
非常に素晴らしい。
これは登場人物たちのダメっぷりがそのまま作品の評価につながらない
良い例のような気がする。
シンプルで、ちょいゲージュツで、寂しさと、ちょっとした優しさがあって。
「東京っぽい」というと語弊があるのかもしれないけれど、
自分が最近ようやく認識しつつある漠然とした東京っぽさを体現しているような気もする。
これが春風舎でなくて中心地のアゴラに投下されるあたり、
しかも週末を挟んで1週間近くで上演されるあたり、
アゴラの方向性が水素に向かっていることを示しているような・・。
満足度★★★
嫌いやわー
この芝居に出てくる人ほんま嫌いやわ(笑)
男どもの衣装もなんか腹立つし。
くそっ、人間はひとりなんだよ。それでも生きていくんだよ。
おしまい。