満足度★★★
心の奥に潜む鬼
2年前にOFFOFFシアターで上演され、独創的で見応えのあった作品と同じ原作者・脚本家・演出家による作品で、今回はいわゆる「イケメン芝居」的な要素の強い商業系の公演ながら、ありがちなコメディーや感動モノではなくて、苦々しい深みが感じられるものになっていました。
原作では山賊に襲われてその妻にさせられる女が、男に置き換えられていて、山賊の心に潜むおぞましいものを形象化したような役割を与えられていたのが興味深かったです。生首を並べたり、鬼に化けたりと舞台上では表現するのが難しい箇所を、あえて特殊な効果を用いずに役者の演技だけで見せていたのが良かったです。
中央にあるシンプルなステージを挟んで両側に客席があり、ゴザを敷いた桟敷席もアクティングエリアとして使われていて臨場感がありました。
効果音として使われているアンティークシンバルが多用され過ぎていて逆に効果的でなくなっているように感じました(この公演に限らず、最近この効果音を使う舞台が多過ぎるような気がします)。
小林健一さんと澤田育子さんが様々な役や語りを務め、不気味な恐ろしさから客イジリによる笑いまで、様々な雰囲気を作り上げていて素晴らしかったです。他の役者、特に主役の2人は台詞をこなすのだけでいっぱいいっぱいな様子で、ダークな世界観もたまに出てくるコミカルな雰囲気も十分には表現出来ていなくて残念でした。
満足度★★★★
良い雰囲気。
大好きなgood morning N°5の澤田育子さんが出演ということで、表参道へGO!
開演時間を勘違いしちゃって、時間が余りに余ったので桃林堂の「もなか大坂」(←美味しいよ)を買ってからドトールへ。珍しくレジが行列してるなと思ったら、レジ前でモバイルクーポンの在り処を探しまくってる女性が…ここまで愚かだと微笑ましいネ。
親がやってる方の畑近くで作ってるらしい「かぼちゃのタルト」とブレンドコーヒーを2階の窓際の席で。通りを見ながら一服してたら、信号待ちの車内で濃厚なプレイに興じる風景が。これから観る芝居の原作は、坂口安吾。否応なくテンション上がる。
劇場へ。桟敷席なので靴を脱ぎスリッパに履き替え。観客の9割は女性という感じ。
桟敷席はゴザが敷かれていてよい香り。クッションも分厚くて、これだとボクのヘタレ尻(常時、屁をたれるという意味ではもちろんない)でも90分もつね。
開演。
坂口安吾の『桜の森の満開の下』が原作なんだけど、脚本の“ほさかよう”さんワールドが全開な感じ。
男と女の、男と男(←この関係は舞台オリジナル)の関係が、原作よりも濃厚に明快に描かれてたかな。
わきを固める澤田育子さん、小林健一さんの2人が多種多様な役を好演。
笑いのパートをすべて引き受け(?)、でもシリアスな場面では緊張感がビリビリと客席まで。。。
いろんな解釈が可能な作りになっているし、観客それぞれの立場によって「恋愛」「他者とのつながり」「文化的生活」「仕事」「社会」「自立」etc. 違った視点から味わえるんじゃないかな。
たとえば「恋愛」だと、とっかえひっかえ女を替えていく男(もしくは、フッたのに、フッた相手が新たな恋人ができると怒っちゃうような、女性をオモチャのように扱っちゃう男)を想像しながら見ても、ニヤリとできるような気がする(ヒヤリとする人もいるだろうが笑)。
そういう意味では、原作を読んでから観劇するってのも、ズッポリのめり込む為の一つの方法なのかもしれません。