涼~すずみ~水 公演情報 涼~すずみ~水」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.7
1-3件 / 3件中
  • 満足度★★★★★

    絵空箱が大好きな場所になりました
    2012/07/15(日)17:00
    2012/07/17(火)19:00
    2012/07/18(水)19:00

    ■あやめ十八番「Love potion #9」
    思い出そうとすると、最初に見える景色は表紙みたいに決まって同じシーン。ほんとはそのシーンで赤い照明なんて使ってないのに、視界が真っ赤です。
    それくらい衝撃的で、未だに記憶の整理がつきません。そんなに物凄い内容じゃなくて、ちょっとめんどくさい恋愛のお話のはずなのにね。大好きです。

    ■ BoroBon企画「阿房列車」
    ゆっくりした大人の時間をのんびり堪能。
    ごくありふれた日常のように見える景色が、ちょっとした不思議にくらりと惑わされたり。時間の流れを大切にしたくなりました。

  • 満足度★★★★

    場を豊かに変えるお芝居の力量
    場内に入ると、少々ラフな感じで舞台が組まれていて、
    椅子の並べ方などもどこか手作り感があって。

    でも、供されるものは実にしっかりと作りこまれていて。
    そもそも、ワンドリンク付ということで開演前に注文したカシスオレンジは
    暑さも時間もすっと霧散するような絶品だったし、
    舞台はその味に負けないほどにきっちり作りこまれていて・・・。

    見終わって、
    なにか、とても贅沢をさせていただいた気分になりました。

    ネタバレBOX

    *あやめ十八番(堀越チーム)/「Love potion #9」

    男を問い詰める女性の姿と
    主宰の語りでまずは観る側を舞台に引き込んで、
    一枚の消費者金融のカードをキーにして、
    物語を組み上げていく。

    二人の女優がロールをきっちりと務め上げる。
    コアの物語の中心として
    キャラクターが
    清純に、あるいは艶かしく、さらにはとり憑かれたように描かれ、
    外側として、顛末の視点となり、常に舞台にあって
    枠組みを制御し、展開を束ね、場面の表情を背負い、
    空気を束ねて観る側に物語の質感とともに流し込んで。

    男優達もキャラクターの立ち位置がくっきりとわかるお芝居。
    チャラさにしても、普通さにしても、意思の強さにしても、
    ストレートプレイとはちょっと異なる語り口で
    物語の骨組みを組み上げて。

    音楽のクオリティも担保されており、
    昭和っぽい曲のメッセージ性が物語のニュアンスをしっかり繋いで。
    また、このフォーマットの中で、
    主宰のパフォーマンスもしなやかに生きる。

    見ていて表現が古風で新しく多彩なのですよ。
    今風の愛情の描き方などにも、
    べたさと洗練があり、
    荒事とは少々違うのでしょうが
    スリッパで頭を引っぱたくような誇張に始まって、
    常磐津や浄瑠璃のごとく
    うん十年前の流行り歌風の曲で物語を進めるのも
    薬を飲んだ態のお芝居にしても、
    ストレートプレイでは描き得ない、
    歌舞伎的なスピリットや表現の自由さが縫込まれていて。
    別に隈取をしているわけでも
    見栄を切るわけでも、六方を踏むわけでもないのですが、
    こういう表現の多彩さに、
    物語を処する伝統芸のノウハウが裏打ちされている気がして。

    時間を忘れて見入ってしまいました。

    *BoroBon (水下チーム)/「阿房列車」

    名前だけは聞いたことがある戯曲だったのですが、
    実際の上演を観たのはこれが初めて。

    役者にゆだねる部分の多い一方で
    いろんな仕掛けに満ちた戯曲だと思う。
    舞台の空気にしても、夫婦の距離にしても、
    間にしても、
    観る側が前のめりになることなく
    そのままに染められてしまう。

    戯曲に仕組まれた緊張と弛緩と
    役者たちが織り上げる舞台の密度が
    絶妙にリンクして、
    ちょっとした不条理や
    記憶のあいまいさまでが、すっと実感に置き換わる。
    冒頭のクイズや
    アイスクリームを売る女性の歩く方向などが生み出すズレから
    やわらかく足元が揺らぎ、
    車内で過ごす時間がすぅっとぼやける。

    ちょっと不思議な感覚、
    実をいうと、中盤あたりで
    舞台の時間にとりこまれるような感じで
    やわらかい睡魔が降りてくるような気配を感じたのですが
    台詞のひとつずつが意識から消えずに
    クリアに積もっていたりも。
    なんだろ、ふっと舞台の空気の恣意な弛緩に引き入れられて
    しまったのかもしれません。

    観終わって、二つの作品が
    それぞれの印象を重ねあうこと合うことなく
    でも、ひとつの公演として、互いをふくよかに映えさせて。

    中篇ふたつをたっぷりと楽しませていただきました。
  • 満足度★★★★★

    愛の変遷。
    あやめ十八番「Love Potion #9」は、アコースティックギターで昭和のナンバーを歌い上げての音楽劇。10代・20代前半・後半と、主人公のそれぞれの世代での愛の変遷が甘酸っぱく、郷愁感に満ちた美しい(表面上は美しくない)ラブストーリー。

    観ているうちにストーリー展開の面白さにグイグイ引き込まれていって、脚本の拡がりに舌を巻いたり、こちらの過去を抉られて痛い思いをしたり・・・凄かったです。いろいろな意味で感動しました。

    あやめ十八番は今作が2作目ですが、既にユニットの「色」がはっきりと浮き彫りになっていることが素晴らしいな、と。演劇を通して何を伝えたいのか、一貫したテーマ性が芝居によって確りと提示されていて、続けて観ていくに充分な魅力があります。これからもどんな芝居で「幸せって何?」と考えさせてくれるのか、とても楽しみです。

    BoroBon「阿房列車」は平田オリザさんの脚本ということで。大人の会話劇の妙で楽しませていただきましたが、オリジナル作品が観たかったなぁと思いました。若い女性役の方のファッション・・・帽子からミュール・バッグまで隙の無いヴィヴィッドな合わせが素敵でした。センスいいなぁ。

    ネタバレBOX

    「Love Potion #9」で主人公が「子供はいらない、二人で幸せになりたい」とバツイチの元カノに言ったときは、正直すぎるその言葉に震えました。10代の恋愛、20代前半の恋愛、20代後半の恋愛・・・それぞれの愛が繊細に変遷していく様を描いた脚本に感動。

    学生時代の主人公を演じた笹木皓太くんが演出に良く応えているなと感心。ストーリーテラーである堀越涼さんとのリンクが演技に確り表れてて、仕草や言葉が本当に涼さんの20歳の頃であるかのように見えました。

    一つだけ気になったのは、足の指が可愛い、と言って写真を撮るシーン。
    時間が無かったのだとは思いますが、あそこは素足じゃなきゃ可愛くないなー(^o^;)

    あと、そこはかとなくエロいのが良かったです。セクシーではなくエロ。
    媚薬(Love Potion #9という名称)を飲ませるとか、何度も何度も飲まされたとかをエロいと感じるのは多分、飲んだり食べたりという行為が私にとってはセクシーなことだと思えるからかも。

このページのQRコードです。

拡大