『フォルモサ ! 』 公演情報 『フォルモサ ! 』」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    日本統治時代の台湾の植民地経営が素材である。先にノモンハンを旧新劇の東演が上演していたが、この時代の日本が行った対植民地経営には知られていないことも多い。
    今は形を変えているが、帝国主義全盛の時代には世界中で頻発していた事件が素材である。日清戦争で奪った台湾の経営は日本の初めての外地領土経営で、それ以前の中国時代の政権も手がつけられなかった先住民との対立に手を焼く。ドラマは台北からも離れた出先機関の一室が舞台、登場人物は植民地経営の科学的アプローチを求められた人類学者と、経営を司るべく送り込まれた官僚とその家族。原住民の宣撫対策を廻っての対立が、辺地出先機関の二重性を暴露し、関係家族を巻き込んでいく。最近はあまり観ない構造だが、観ている内にこれは「火山灰地」(久保栄)が元ネタだな、ト読めた。
    内容は全く違うが、人物配置や進行、テーマが最後に明確にと見えてくるところなど。旧新劇のスタイルを懐かしく思いだした。上演したpカンパニーも、もとは木山事務所が原型だから納得した。木山事務所は新劇外縁の独特の強情派・別役実、山崎正和、末木利文が柱になった制作会社で、今となっては、何でこの三人で組もうとしたのか、ワケ分からんと、言うところだが、アングラ全盛期のウラでずっと活動を続けてきた。先人たちが亡くなってからは化石化していた福田善之を引っ張り込んだりして、ますますワケ分からないが、いまも旧新劇の色合いは残っている。。強情恐るべし。
    しかし、この「フォルマサ!」の作家、演出家とは、もう年代は完全に違うから、直接の影響は受けていないだろう。
    今は、木山事務所時代の、「世界が消滅する危機意識」から回帰して、先の大戦以前のようなささやかな「領土」問題がクローズアップされている。最後に舞台に出演者が並んで天井に向かって頑張ろーと肩組んで叫んで終り、という劇はさすがに作れないが、問題は山積している
    この作品は植民地問題だが、今は男女差別、官民格差、中央地方の乖離、人種問題、と、手堅く細かい今ウケの情報はいくらでもある。作者はそういう問題も巧みに混ぜて見せていく技術に長けている。演出家は舞台の上の人物処理ばかりに腐心していて、上達の跡は見えるが、作者も演出家もこれから向かう方向はあいまいだ。なんとなく、大きな作品が来たときのリハーサルという感じだが、こういう機会で場数を踏めるのは何よりだ
    俳優はキャラを上手く出している。主役の人類学者の林次樹、その妻須藤沙耶、青年座から借りてきた松田周、現地の課長、内田龍磨、その妻水野優、皆はまっていて、熱演だが、そこがいかにも五十年前の民藝、文化座で古い。演出が若いからそこは仕方が無いかも知れない。休憩十五分で2時間15分。客席はほぼ4分の1.
    それは、本のせいか、演出のせいか、役者のせいか。新劇で刷り込まれた「リアル」な演技は奥が深い。


  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2025/03/17 (月) 13:30

    座席1階

    面白さで定評のあるPカンパニーの「シリーズ罪と罰」。その演目としてどのような経緯でこの作品を上演することになったのかの経緯は分からないが、上演するに当たってスタッフ・キャストでこの演目の舞台となった台湾の山奥に出かけ、先住民族の集落を訪ねたという。真摯に物語と向き合う姿勢が、今作の秀逸さに現れていたと思う。

    戦前、日本が台湾を植民地化した。その時に、山岳地帯に割拠していた複数の先住民族を武力で平定して従わせたという歴史があったとは知らなかった。この舞台は、この先住民族を研究していた人類学者が主人公だ。
    北海道のアイヌ民族に対して、日本政府は民族の文化や言語の否定や、あるいは人類学的研究対象として遺骨を収集したりとかしてきた。それに対するきちんとした謝罪は政府や人類学会からもなされていない。今作で、山岳民族の遺骨を黙って持ち帰ってきた場面が出てくるが、当時占領者としての暴虐は武力で殺害していうことを聞かせるということに限らず、アカデミックの世界でも平気で行われていたことがよく分かる。
    当時のことを史実に基づいて描く以上、現代の視点からみると、主人公の人類学者の学問的振る舞いが先住民族を見下して虐げているのは事実だ。「罪と罰」にはその視点も入っているかもしれないが、今作では、この人類学者が単身、台湾総督府に逆らってまで先住民族と友好関係を結ぼうとしていたというヒーローとして描かれる。
    しかし、石原燃の台本はよかった。研究者としての矜持、熱意を貫くあまり、それは愛する家族を否定するような結果につながり、その妻と子ら家族との関係で物語が進行していくという形にしたのはドラマティックで感動的だった。職場の人たちも含めた人間関係も丁寧に描かれている。それを劇団員たちがきっちり演じているというのも、Pカンパニーの罪と罰シリーズの安定した面白さを裏打ちしている。

    今回もとてもよかった。吉祥寺シアターという空間の大きな舞台を有効に使った演出も秀逸だった。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2025/03/14 (金) 13:30

    フォルモサ、ポルトガル語で「美しい」、台湾の別称。美しい島台湾が日本の植民地になり、原住民が弾圧されていく。日本の人類学者(実在の人物がモデル)が原住民を理解し文明を記録する過程で、日本政府の討伐に反対し苦悩する姿は感動を呼び、心に深く記憶に残る。いい作品でした。
    キャストとスタッフが自費で台湾にいき理解を深めた力強さが作品に伝わってきます。原住民の血をひく歌手エリ・リャオさんの歌は魂の叫びのように聞こえた。
    日本が台湾の原住民にこのような事をしていた現実に驚き心が痛む。

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