満足度★★★★★
妙ージカルの集大成と言うべき作品
羽衣の公演はいつも歌と音楽が素敵だが、今回は全編が歌と音楽で出来上がっているような作りで、いつも以上にエンタメ的要素の強い素敵な作品に仕上がっていた。
羽衣という劇団は従来、好きな人は大好き、合わない人は合わないという劇団なのだが、(もちろん私は大好き派だ。)今回は全ての人に楽しんでもらえる作品に仕上がってる。その分、コアな羽衣フアンは物足りないと感じてしまうかもしれない。そこら辺のさじ加減、なかなか微妙だ。
私的には近年の羽衣の中でも1番好きである。なんと言っても糸井幸之介の素敵な歌詞がいつもは聞き取りづらいのだが、今回は全てクリアに聞き取れた。劇団の進歩を感じる。歌が上手くなっているし、また踊りがいつも以上に素晴らしかった。
個性的な役者陣の中でクロムモリブデンから客演の幸田尚子が圧倒的な存在感を見せつけた。さすがである。
満足度★★★★★
実は(?)詩的な言葉!
冒頭から心をつかまれた。羽衣は「妙〜ジカル」と名乗る演劇界の異端的存在ではあるけれども、これはまぎれもなく「演劇」だと思う。糸井幸之介(作詞・作曲・演出)は非常に優れたリリカルな言葉のセンスを持っているのだな、とあらためて。あけすけな男女のセックスの歌を書きながらも、細かい心情の機微を突いてくるのが素敵だった。
今作はいつにも増して「生への肯定」に溢れていたように見えたけれども、とはいえやはり死(タナトス)の気配が根底にあってこそと感じる。あっけらかんとして生き、死んでいく人たちの業をやさしく捉えている。生殖によって子孫をつくり生き延びていくしかない人類が、何千年何万年と繰り返してきた行為だと考えると、なるほど、セックスとはつまりは永劫回帰なのだと思ったりもした。
俳優陣の好プレーが目立ったが、特に素晴らしいと感じたのは日高啓介だ。少年の感受性のまま大人になり、楽観的に、だがたくましくキラキラと生きている自称ミュージシャン(?)を好演。28万円のエレキギターを買ってくれる母(西田夏奈子)や、うらぶれた旅館の女将(伊藤昌子)との絡みも非常に良く、糸井の描くまっすぐで詩的で、それでいて根の深い絶望を抱えているような世界観をよく体現していた。また、旗揚げ時から長年所属していた劇団ハイバイを卒業し、新たな道に踏み出した金子岳憲と、羽衣メンバーの鯉和鮎美とが、中学生に扮して初体験を果たす「ロストチェリー」の場面もしみじみと。笑えて、泣ける(しかも同じ場面で)、実にエンターテインな舞台だった。
ぜひカップルで観てほしいとオススメしたい作品。ただし微妙な時期のカップルの場合、その恋がその夜のうちに一気に成就するか、あるいは完全に破綻してしまうかのどちらかと思われます。決め手に欠ける人は清水の舞台から飛び降りる気持ちでえいやっとどうぞ。
ひとつだけ気になるのは、ヘテロ的な異性愛を前提にしすぎているのではないかという感じが、今回はいつも以上に気になってしまったこと。わたし自身が、夫婦別姓で全然いいし、むしろあなたの苗字になりたいとか言われても別に嬉しくないと思っちゃうタイプだからでしょうか。もっと旧来の「男/女」観では割り切れないラディカルな存在が入ってくれば、羽衣の描く世界はもっと広がっていくようにも思うし、今や仮にそうしたものが入ってきたとしても、性の悦びと哀しみにあふれた羽衣の持ち味が消えることはないはず。
あと完全に蛇足になりますが、高橋義和による「高橋名人の冒険」のシーンが超愛らしかった。なんか、がんばれ、と応援してしまうあの感じはなんだろう……。
満足度★★★★★
人生とママをめぐる大人の旅
羽衣といえば、汗みどろの、ちょっと粗削りな(?)パフォーマンスというイメージもあると思うのですが、今作はとても丁寧で、優しい、そう、ちょうど「ママの耳かき」的な愛らしさを持った舞台だったと思います。
作品全体が、あるミュージシャンの男が自らの記憶を題材に作ったコンセプトアルバムを紹介する……という設定になっているのも、単なる取っ付きやすさだけでなく、羽衣が一環して取り組むテーマ「生(性)と死」「記憶(と現在地)」にマッチして効果的でした。
満足度★★★★
唯一無二の味
人類の愛と情と変わらない歴史そのものをギュウギュウに詰め込んだ妙ージカル。
オープニングの時点からオチは読めてしまっているのですが、懐かしいような、これから出会うような、愛すべき登場人物たちの人生にしみじみします。
満足度★★★★★
みに来て良かったです。
関西を拠点に小劇場の作品をユースト放送している水曜劇場にて、過去の羽衣作品を観ました。
スマホの小さい画面で、タダで見せてもらった分際でおこがましいですが、どうやら虜になってしまったようです。
羽衣観る為に生き、羽衣観る為に働き、本公演は大阪からかけつける覚悟です。と誓い半年。
生で観た舞台にとても満足でした。
満足度★★★★★
楽しかった~♪
過去に何作品も観てきましたが、一番好きかも♪舞台美術もきれいでした。初日を含め5回の観劇でした。千穐楽が終わってから、今でもあのメロディーと歌詞が頭に浮かびます。ステキな作品をありがとうございました!
満足度★★★★
ライブ感があって
勢いがあって、ちょっちラジカル?
なかなか面白かったです。
ちなみに、年度末の仕事が山のように溜まっていたので、
3月はもう舞台とかムリかなぁ・・とか思っていたのですが、
この週ずっと職場に泊まり込んで(苦笑
睡眠時間以外ぶっ通しで(カードリーダーのことも忘れ(笑)くわっと仕事してたらだいぶ終わった!(集中力わりと凄い(苦笑
・・・ので目真っ黒でフラフラになって劇場に行った(職場なのでネットも見てなかった)のですが、
この日に入れたのって、わりとラッキー?だったのですかね・・(汗
あぁ・・こんなんじゃ子猫飼っても自分の顔すぐ忘れられる・・というかグレる・・
というかオヤジ死んでしょんぼりしてるお袋まで死んだりしたら
乳のみ子猫抱えて僕はどうしたら・・
ハイ、ここのところライブなんか観に行ったときの
転換の時間中なんかボンヤリしてるときなんか
だいたいマジメくさったカオしながら「・・・子猫」のことばかり考えております(苦笑
この日も、メロウなときなんか
飼いたかった子猫たちの顔が唐突にフラッシュバックして困ったもんですが、
評価に影響することはありません(苦笑
ただ、観劇後しばらく、
フラッシュバックされる子猫たちの顔に
BGM的にこの日観たミュージカル?のナンバー(高橋名人の歌など)が挿入されてきたりすることに
多少混乱はしておりますが(苦笑
つまり、この作品もなかなか忘れがたい作品であった、という事で良いでしょうか??(苦笑
・・苦笑ばっかで鬱陶しくてスマンですが(汗
これからは(今回はちょっとフラフラなので(汗)すっきりとした文章を心がけていきます。
満足度★★★
初・羽衣
妙ージカル、言い得て妙。「観てきた」コメントによると、今回公演は観やすい方・・・そうなのか。面白かったような、そうでないような、頭の整理がつきません。どっちもあったからか。ちなみに同行者の感想は「フルマラソンを終えた直後のように疲れた」そうで「もう観たくないとは思わないけど2年に1回程度で良い」らしいです。
でもなんか、もう一度歌だけを聴いてみたいよーな不思議な余韻も。カネゴンの「ロストチェリー」良かったなー♪
満足度★★★
だまされた
何だったんだろう?最後の約20分は。理解し難い。周りで渦巻く笑いとは裏腹に私の内部には怒りのようなものがこみあがる。(常連への媚びにはうんざり。)気を取り直してさあラストはいかに!と期したところで終幕。このエンディングにはただ唖然とするしかなく、ほとんど何の感慨も残らなかった。最後の二人コントとエンディングを除けばまあまあ面白くそこそこに楽しめたが、果たして「今年はこの作品一本に全力を注ぎ」「私たちの考える最も妥協なく心を揺さぶる作品作りを試み」たようにはまるで感じられない作品だった。ただの宣伝文句だったらしい。
満足度★★★★
この劇団こそ観ないと始まらないかも?
チラシのデザインと世間の評判で初見の劇団を選択。
果たして良い出会いがあったのか?
劇団・FUKAIPRODUCE羽衣の【耳のトンネル】を観劇。
かなり荒っぽく大雑把という噂の劇団ではあったが、何かしらの衝撃を与えてくれると聞いていた劇団。
内容は大人になった主人公が、少年時代の思い出を振り返る話をミュージカル仕立ての様な?展開で進んでいく。とてもミュージカルとは言い切れないくらい歌も踊りも下手なのだが、それが観客に迫ってくるほど攻撃的で、なおかつオリジナリティー溢れているのである。俳優さんも美男、美女不在であるのだが、そこに妙なリアリティを自分自身で反映してしまい、涙してしまう。簡単に言えばアングラミュージカルと言うべきか?それであるならば歌も踊りも下手、輝くヒロインなしでも成立してしまうのだ。そしてその短所を最大の武器にして観客を郷愁に誘っていくのである。決して商業劇場ではやれない劇団かもしれないが、劇団の持っている絶対的自信というのがゾクゾクと感じられる舞台だった。まさしくこれこそがアングラであり、衝撃を与えてくれる舞台であるのだ。
今作は必見!
満足度★★★★
2回目の観劇
2階席も出る大入り。同じ公演なのに、なぜか1回目よりも面白く感じた。理性のタガのはずし方に磨きがかかったか。無意味と意味が混在し、おっぱいから始まる運命、さすらい、メドレーの走馬燈、等と人生が詰まっている面があり、このカンパニーの転換期の作品となるかも。前作のDVDは未入荷だった。
満足度★★★★
全人類ひっくるめて愛してくれる、劇薬のような音楽劇
純で甘酸っぱい初恋から清濁合わせ持つ大人のアバンチュールまで、全人類ひっくるめて何が何でも愛してくれる妙ージカル。幕開けの場面から感動で涙が出てしまいました。劇団おなじみのあからさまな性描写は全体的にいつもより少なめで、私には見やすかったです。お友達も誘いやすいかも。
「観てきた!」を書くために歌詞カードを読みなおすと、原始的で熱くてロマンティックな小空間へと、心身が一瞬のうちに戻りました。FUKAIPRODUCE羽衣を観る度にいつも思うのですが、糸井幸之介さんにはぜひアイドル歌手のための歌を作詞・作曲してもらいたいです。ジャニーズ事務所の若い男の子とか、AKB48の若い女の子とかに、きっとフィットすると思うんですっ!
満足度★★★
カネゴンに爆笑
とてもカワイイ作品です。
当パンにがっつり系と書いてあるけど、脳みそを揺さぶられる妙な感じがなくて残念。
意味不明な面白さが影を潜め分かりやすい面白さになっていました。
笑いも多く、初羽衣でも楽しめると思います。
遅めに会場に入ったら通されたのが桟敷席でお尻が痛くて参りました。
数センチ目の前で妙ージカルが行われるため足も伸ばせず痛みとの戦い。
これがなければもっと集中して見られたのにな。
通路の補助席にしてもらえばよかった。
前作が☆4、今作は☆3。
「甘え子ちゃん太郎」は衝撃的で理解できないまま終わり、何度も何度も思い返し、今でも思い出すくらい。
半年経ち☆2.5から☆4まで成長しました。
この作品も伸びしろがあると感じました。
満足度★★★★★
きゅん!とくるにとどまらず
シーンたちから
瞬時のおもしろさと、
胸に染み入広がる感覚が
溢れるようにやってくる
踏み込みと下世話さと洗練をもった印象が重なりあって
時間を忘れて取り込まれる。
初日を観て、
その引き込み力に抗しきれず4日目を再見。
2度目でも飽きることなどまったくなく
むしろ、さらに浸りたいような魅力を感じました。
満足度★★★
魅力的な暑苦しさ
12人がこまばアゴラ劇場を所狭しと歌って踊るミュージカル作品で、熱量の高いパフォーマンスに圧倒されました。
意外な場所から赤ちゃんに扮した役者達が現れて始まり、それほど特別でもない人の半生が下ネタ多目でコミカルに描かれていました。ただ馬鹿馬鹿しいだけではなく、所々にノスタルジックな趣きが感じられました。
一般的にイメージされる演劇の「ダサさ」を洗練化によって消そうとするのではなく、それを過度に強調することによって飽和状態にし、逆にダサさを感じさせなくする演出が興味深かったです。
ただし、このような作風で120分の上演時間は少し長く感じられ、100分程度が適切だと思いました。
デフォルメが強調された演技に最初は違和感があったのですが、楽しそうに演じているのを観ていると次第に引き込まれて、どの役者も魅力的に感じられました。
特に西田夏奈子さんと金子岳憲さんのふっ切れた演技と上手な歌のギャップが良かったです。
フォークやテクノ、昭和歌謡曲など、様々なスタイルの音楽がキャッチーで良かったです。歌とカラオケの音量のバランスが絶妙で、迫力がありながらも歌詞が聞き取り易かったです。
ソロかユニゾンの部分が多く、もっとハモりや掛け合いも聴かせて欲しかったです。
満足度★★★
若干の肩すかし・・・?
面白くはあったんだけど、いつもの「羽衣」を期待していくと失敗、かなあ・・・。
糸井幸之介さんの紡ぐ言葉の美しさというかうまみのようなものは、今回は相当薄味。
歌や踊りの分量も抑え目で、(自分が羽衣作品の魅力だと思うところの)役者さんの身体を酷使することによる「きしみ」によって、言葉が「刺さってくる」ような感覚も少なかったのは残念。
今回多かった役者さんのラフ気味な芝居は、一長一短。
笑えたところは笑えたんだけど、締めるところはもっと多くてもよかったのではないかと。
クロムの幸田さんも、あまり持ち味を発揮できていなかったような印象。
金子さんの歌、日高さんのギターは面白かった。
全体的に本作は糸井さんの私小説(+愚痴?)である、と自分は受け取りました。
今回(敢えて?)こういう作品を作ったことに意味を感じられるような、そんな次回作を期待。