満足度★★
とても静かな舞台でした。
音がないということではなく、心の声や情念がないということでもなく、激しいダンスがないということでもなく、ただそういったものが静かに通り過ぎていく様は、狂気さえもが美しく、悲しさが静かに満ちて、音もなく降り積もる雪のようでした。
満足度★★★★
色っぽい東山
古典的なバレエに現代的な動きも加味した東山義久のダンスがセクシー。
ニジンスキーの伝記なので、各作品はちょっとづつのダイジェスト。じっくり楽しみたければそれぞれの舞台を見に行けということでしょう。
こうしたジャンルに疎い人間にとっては、興味がわき、多少の知識も身に付く舞台でした。
満足度★★★
東山ニジンスキーの舞踊は堪能しました
バレエは、昔、ローザンヌ国際バレエコンクールに出場した同級生の舞台を観たぐらいで、全く知識がないに等しいのですが、先日、息子の同級生が在籍しているバレエ団の劇場中継で、ニジンスキー振り付けの「牧神の午後」を観たお陰で、何となく、彼に対するイメージができていて、観劇の参考になりました。
で、素人目で観る限り、東山さんの踊りは素晴らしかったと思います。
ただ、萩田演出の舞台は、いつも大変幻想的で、こういう作品には、特に、それなりの一定水準のキャストが揃ってこそ、味わいが出るのではと思うのですが、今回、残念ながら、かなり演技が未熟なお二人が、主要キャストで、その上、台詞をとちって言い直したり、素人劇みたいな芝居をされるので、せっかくの東山さんと岡さんの好演がぶち壊しになった気がしました。
それと、余談ですが、8日から、西武池袋線中村橋駅にある、練馬区立美術館で開催中の「バルビエ×ラブルール展」で、バルビエが描いたニジンスキーの絵や、ニジンスキー本人の舞台写真等が、展示されています。6月3日まで。ご興味ある方は是非に。鹿島茂さんのコレクション展です。
「ドリアングレイの肖像」の絵等もあり、何かと興味深い展示会でした。
満足度★★
バレエファンとしては…
20世紀初頭に活躍した伝説的なバレエダンサー・振付家、ヴァーツラフ・ニジンスキーの半生をニジンスキーの妹が回顧する形で描いた作品で、ダンスは勿論のこと、歌もあってミュージカル的でした。
今年、東京バレエ団のニジンスキー特集と、バレエ・リュスの伝統を受け継いでいるモナコ公国モンテカルロバレエ団の公演を観たことと、振付が平山素子さんということで期待していたのですが、作品としてまとまりきっていないと思いました。
ニジンスキーが興行師のディアギレフに見い出され、バレエ・リュスで活躍した後に精神を病んで死ぬまでが、ニジンスキーの兄、妹、妻、妻の不倫相手でもある医師、ディアギレフの台詞を通じて描かれ、ニジンスキー自身はあまり台詞を喋らず、ダンスで表現する構成でした。
『薔薇の精』、『ペトルーシュカ』、『牧神の午後』、『遊技』、『春の祭典』等の代表作がオリジナルの振付を引用しながら踊られていて興味深かったです。
ニジンスキーやバレエに馴染みがない人でも分かるように配慮した説明的な台詞が多い、親切な作りでしたが、あまりニジンスキーの独創性が伝わって来ず、ドラマとしての流れも悪くなっていました。
『牧神』のエピソードに比べて『春の祭典』のエピソードはほとんど触れられなかったのはニジンスキーを語る上でバランスが悪いと思いました。
カンディンスキーあるいはクレー風のグラフィックが施された、両サイドの大きな箱状のセットや黒幕の開閉で一部だけが見え隠れする背後の壁や具象的な柄の照明等、ビジュアル的な演出に必然性も効果も感じられませんでした。
ドビュッシーやストラヴィンスキーの曲をアレンジした音楽も原曲の良さが殺されているように感じました。ヴァイオリンとヴィオラだけ生音で他は打ち込み音源のトラックに違和感がありました。オーボエやチェロも本物の楽器の音で録音して欲しかったです。
第2幕の後半、舞台から捌けた役者のマイクの音量を落とし忘れたのか、舞台監督が舞台裏で指示を出しているらしき声がスピーカーから聞こえていて、気になりました。