満足度★★★★
容赦なくて、それでも楽しくて
まじめにやったらポツドール、という素材を、みごとに解体・再構成していた。
映像も使った多彩な表現で、現実の内側の世界へ連れて行かれて内側から幻想的に現実を眺めているという趣がある。途中感じるけだるさも含めて、岩井秀人に徹底的に操られたが、それが快感だ―という舞台だった。
詳細は、演劇感想サイト「福岡演劇の今」に書いています。
http://f-e-now.ciao.jp/20120307.html
満足度★★★★
それ行け、不倫、不倫、不倫
戯曲を単独の文芸作品として読む場合と、戯曲はあくまで実際の舞台の叩き台として、実際の舞台を観て評価する場合と、それは自ずと変わってくる。
しかし、小劇場のオリジナル公演に関しては、その判別が明確でないことが少なくない。キャストが当て書きで、「その劇団でしか成立しない」と思われる(他劇団での再演が難しい)状況が多々あるからだ。
だから、先に戯曲を読んで、それから舞台を観ても、ああ、この役はやっぱりこの人が演じてたのね、と、たいてい予想は当たるものなのだが――。
『ある女』については、その予想は思い切り裏切られた(以下、具体的にはネタバレを参照のこと)。
これは、「戯曲のみ」を鑑賞する場合と、「舞台」を鑑賞する場合とでは、評価が正反対というほどに違ってくる。そしてそこには、近代以降、女性が苦悶してきたジェンダー(社会的性差)の問題が大きく横たわっている。ここでは当然、「舞台」の評価を中心にして語らざるを得ない。
「不倫」という題材を通して、作・演出の岩井秀人は、「なぜ、女性は不幸になりやすいのか」を提示してみせた。恐ろしいのは、その理由が分かっても、女性は、不幸から完全に脱却することは不可能なのである。岩井秀人が描いて見せたのは、「ある女」がまさしく「貴女」であるという、普遍的な真実なのである。
満足度★★★
特別ではなく、よくあることだった
今まで何作かハイバイを観ているが、その中では今作が一番面白かった。
自分自身を持ってない女の人生を男との係わりで見せていく。
どの男もどうしようもない、または大したことないよくいる男たちだ。
何故彼女は落ちていくのか、そんなことを考える必要すらないのかもしれないと思いはじめる。
救われるようで救われないのも含め、そこそこ面白かったのだが、何か物足りなかった。
100席程度の劇場だったらもっと楽しめたかもしれない。
岩井節炸裂
映画っぽい、でもかなり前衛的な映像を使ったり、音をうまく使ったり、これまでとちょっと変わったことをしつつ、これまでと変わらない容赦なくひどい話だった。いちばん笑えない(と個人的には思った)場面で、客席が大爆笑しているのを聞くと、岩井さんの勝ちだなぁと思わされました。