山 公演情報 」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.7
1-4件 / 4件中
  • 満足度★★★★

    イチ子さんの叶わなかった恋の物語。
    民の部を観ました。

    水谷さんのイチ子はけなげで一途で戦時中の報われない少女をうまく演じていました。藤田さんのイチ子はやさしく愛くるしく魅力的なおばあちゃんでした。
    坂本さんのキャラクターは意外と好きです。五十嵐さんのお梅は熱演でした。

    ネタバレBOX

    愛した賢太郎は戦争に行って二度と帰りませんでした。教師になり藤崎と結婚し二人の子どもを授かりますが離婚してしまいます。イチ子は賢太郎が忘れられず、その気持ちを知る藤崎に女ができてしまったのでした。
    イチ子は老婆になっても賢太郎との思い出の山の絵を描き続けます。山は二人の思いを誓った大切な愛の象徴です。病床の中で思い起こされた、イチ子と賢太郎が山に向かってカチューシャの唄を歌うシーンはたいへん感動的でした。

    暗転時間が長い気がしましたが、余韻にひたるのに程よい時間だったかもしれません。壁にかかった肖像画・肖像写真が時代に合わせて変更されていましたね。

    残念な点:
    開演後に入ってきた2組の観客が最前列に座り、しかもマナーが良くなかったために気が散ってしまいました。遅れた方は後ろの席に誘導していただきたいです。
  • I演劇祭の審査員受けを狙ったか
    脚本の狙いは理解できた。
    暗い物語を明るくしたい演出もそこそこ
    舞台美術も良いし、照明も多く仕込んであった。
    でも何か物足りない芝居だった。

  • 満足度★★★

    【民チーム】んーん、
    本はそこそこ良いと思いますが、細かいことがたくさん気になりました。

    ネタバレBOX

    役者さんに力量の差があって完全には入り込めませんでした。

    戦中、戦後、現在を行ったり来たりしていました。現在は最初と最後だけだったかもしれませんが、もっと現在を途中でも扱ってほしかったです。

    父親が登場して一気にがっかり、でかいが何となく軽薄、着物の丈が短くバカボン状態。

    戦死した初恋の相手を大切に思うのは分かりますが、結婚して子供を二人設けてもまだ心が開かないものなのか、特殊な例を描いた物語といえばそれまでですが少し疑問でした。

    女性バンドも何のために出てきたのか、あんなにつっぱったキャラにした割には活かされていませんでした。合唱会を見に来たわけではありません。

    父親がほめるほど元夫は箸の持ち方、動かし方はそんなに上手じゃありませんでした。

    他にも気付いたことがたくさんあって…。糠漬けを座敷を通って台所まで運ぶ家はありません、特に大地主さんの家でしょ。夜中に電灯を明々と点けて本を読んでいたのも変でした。警察官が来たときにお茶碗に入った白米を見せるほど無警戒なはずもありません。
  • 満足度★★★★

    民バージョンを観た
    まず、セットの作りこみが素敵だ。片田舎の家庭のある風景。
    舞台は全体的に楽しかったのだが、物語自体はシリアスなはずなのに、やたらと笑いを取ろうとする為に、舞台がコミカル化してしまった感は否めない。この本なら、特にコミカルに仕上げなくても良かったような気もするのだが・・。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX


    物語はイチ子の少女期に相思相愛だった相手、賢太郎の思想が赤だった為に、憲兵から睨まれ賢太郎の家族は辛い思いをしていた。そんな折、賢太郎は家族の為に、赤ではない証拠として入隊に志願する。こうして離れ離れになってしまった二人だったが、賢太郎は戦死し、残されたイチ子は別の男性、藤崎と結婚し子供も生まれたのだった。

    一見、平凡な幸せを掴み取ったかのようなイチ子だったが、イチ子は死んだ賢太郎を忘れるどころか今なお、鮮やかに思い焦がれるのであった。

    そんなイチ子の心を知りながら生活をしていた夫・藤崎だったが、イチ子の賢太郎への恋慕の心に耐えることが出来なかった藤崎は離婚を申し出る。このとき、藤崎は「自分自身に勝てなかった」と己を攻めるも、イチ子はこの申し出を受け入れ、そしてなお、かつて賢太郎とハイキングに行った四季折々の山の風景を何枚も描き続けるのであった。まるで山が賢太郎の身代わりのように・・。

    一途に一人の男性を想い続けて、他者に自分の隙間を決して見せなかった女・イチ子の一生を綴った物語だったが、彼女に関る郵便屋や孫、お手伝い、父の留吉があまりにもコメディだった為に泣けるシーンで泣けなかった。苦笑!

    また、留吉役の河嶋健太のセリフカミが目だって、その度に、舞台上の空気が遮断されて残念だった。更に一部のキャストの演技力がイマイチ。一方で、少女期イチ子役の水谷千尋、賢太郎役の大矢三四郎の二人の演技力があまりにも素晴らしく、二人の淡い恋が引き裂かれる場面では完全にその世界にどっぷりと浸かれて感動のあまり、うるうる・・とした。また、水谷が歌う「カチューシャの歌」のなんと美しいことよ。天使の声。

    こうして時が過ぎ、やがてイチ子は終わりのときを迎える。しかし、郵便屋や遊びに来ていた孫たちに囲まれてイチ子は幸せそうなのだ。ずっと想い続けた思いは天に昇華して山の風景に溶け込む。

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