達磨さんは転ばない 公演情報 達磨さんは転ばない」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.6
1-10件 / 10件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2024/05/18 (土) 18:00

    この公演2度目の観劇。
    こみいった内容の作品だが、ストーリーがわかった上で再見するのは、どこにどういう伏線が張られていたのかじっくり観る楽しみがある。

    (以下、ネタバレBOXにて…)

    ネタバレBOX

    達磨が言う「中途半端なハラスメント」や、刑事がオーディション参加者らにぶつける言葉の端々、自分の名前から始まる終盤の達磨の悲痛なモノローグなど、村手の思いがビンビン伝わってくる。
    15年前の飲酒運転で夫婦をひき殺して刑務所に入っていた男が、自分を恨み続けているその夫婦の息子に対して「許してくれ」ではなく、「どうか俺を一生恨んでくれ」と言ってひたすらに頭を下げるのが胸に迫る。

    シリアスな場面だけでなく、無論ユーモラスなシーンも挟み込まれている。達磨から指で胸をツンツンされる度に刑事の顔が強面からだらしない笑顔に変わる瞬間の可愛らしさや、プロデューサーや助監督がマンボウになって登場する(私はウルトラマンの怪獣ジャミラを思い出してしまったが)など、張り詰めた緊張感を和らげてくれる。
    こうした作劇の上手さが随所にみてとれる。

    それにしてもこの客席数の劇場で公演を続けるのは、運営的にはかなり苦しいだろう。内容のいい作品ばかりということに加え、その点でも頭が下がる。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2024/05/15 (水) 19:00

    初日を鑑賞したが、やはり村手龍太の描く舞台世界は(いい意味で)一癖も二癖も、と、そう思わせる作品だった。

    (以下、ネタバレBOXにて…)

    ネタバレBOX

    映画監督の金本達磨(女性)が5年ぶりの新作制作にあたり、スタッフやスポンサー等には相談もせず、独断でキャスト募集オーディションをSNSで告知した。スポンサーはこれでは金を出せないと騒ぐし、マスコミも密かに探りを入れている様子にプロデューサーや助監督は対応に走り回る。
    一方、選考されオーディションに集まったのは演技経験もなく、心に闇を抱えた8人の男女。そこで達磨は参加者たち応募書類に書かれていた彼らの経歴をほのめかしながら、それぞれが己を曝け出すことを要求する。刑事だという男も顔をみせ、達磨と思わせぶりにやりとりしている。

    劇中でも事実と真実の違いについて説明がなされるが、まさにどこまでが事実で、どこからが虚構かはっきりさせない展開が続く。そしてラストでのどんでん返しで、またさらにどこまでが事実なのか観客を煙に巻く。

    達磨役の上田愛がこのトンデモキャラクターを存在感たっぷりに演じている。
    刑事と思しき村手龍太やプロデューサー役として久々の舞台出演となった中村公隆は勿論のこと、ムショ帰りの男を演じた朝廣亮二(この役を以前龍門に客演した役者に演らせるとしたら和興あたりか…)など、年配の男優の演技は厚みが違う。若手役者もこうした演技を観ながら成長していくんだなあと実感した。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    達磨さんが転ばないどころか、輝いていました。

    ネタバレBOX

    重たい過去を抱えた人たちのオーディション、映画製作、詐欺事件、どこからが映画製作なのか、その意表を突く展開に圧巻されました。最初から最後まで役者の熱気か熱量が高く感じ、集中力が高まりました。それぞれの登場人物の暗い過去が少しずつあらわになる展開は絶妙です。心打たれる場面があるところに、笑いの瞬間がいいところでスパイスのように効くのが、とてもいいですね。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    面白かったです。迫力ある演技に圧倒されたマジどんやピンタ…痛そう
    クライマックスの展開がごちゃごちゃ面白かった

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    面白かったです。
    ストーリーは勿論、役者さん達の熱演が素晴らしかったです。
    映画やドラマ等の作品を作る際の問題について、人生どう生きていくか等、色々考えさせられました。
    観応えのある良い舞台でした。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    思った通り楽しい作品でした。最後まで二転三転有のストーリーは自分好みで楽しめました、また次回作を待ちましょう。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2024/05/17 (金) 14:00

    現場のドタバタを面白おかしく描いたコメディーかと思いながら劇場に向かったところ、私の勝手な先入観は大外れでした。我々の心の中にある扱いにくいこと、触れて欲しくないことを敢えて扱った重苦しい心理劇。見ているこちらも修行。しかし、どんでん返しがあるたびに(←何度もある)ステージに深く引き込まれていく、見応えのある作品でした。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    とても面白かったです。とにかくお芝居に迫力がありますね。現代の問題と言うかどうかなと思うところにもちょこちょこ切り込みながら、全編しっかり筋の通った内容で、最後まで一気に見られました。元気になるお話お芝居だったと思います。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い、お薦め。
    物語は、子供の頃の「だるまさんが転んだ」のように無邪気に遊ぶという訳ではなく、大人になることで色々な柵で己を見失ってしまう。よく言われる建前と本音を使い分けて うまく立ち回ろうとするが…。過去に縛られた人々の心の解放が描かれているような人生応援(歌)譚。人生再生という意味で「達磨さんは転ばない」は、登場人物全員に当てはまるもの。

    説明にある、映画監督の金本達磨がSNSでキャスト募集のオーディションで選考した人々との剣吞な会話が肝。そして 闇を抱えているのは、集まった人たちだけではないような展開へ。「だるまさんが転んだ」の遊びは、「一対多」で行うもので オーディションそのものの構図。監督(一)によって闇の過去が暴かれ、否応なく己と向き合わざるを得なくなった人々(多)の慟哭、同時に映画製作に係る現代的な問題、さらに政治問題へ間口を広げる。

    物語は、オーディションで集まった人々の過去や苦悩、その理由や原因とは? そして個性豊かなキャラクターが ぶつかった丁々発止が面白い。一人ひとりの見せ場があるため、人物像は分かり易い。そして最大の関心ごと…本当に映画を撮るのか、配役はどうするのかといった結末へ興味を持たせる。人間ドラマであり、点描する時事ネタによって社会ドラマの様相も帯びる。見応え十分。
    (上演時間1時間50分 途中休憩なし) 

    ネタバレBOX

    舞台美術は、中央に板網状の衝立、その前に黒ソフと脇に片目が入ったダルマ。両側が門柱のようで、上手は「燃やせ闘魂」そして壺が置かれ、下手は「達磨」と書かれた掛け軸。そして観葉植物、微妙に異なるが左右対称の造作。

    冒頭、子供時代に遊んだ<だるまさんが転んだ>、それが大人になると純真、無邪気ではいられない。一癖も二癖もあるような人間が或る仕事に応募してくる。キャバ嬢、女優志望、刑務所帰り、フリーライター、元中学教師、引き籠り等で、何らかの理由で 過去を詮索されたくない人々。一方、求人をしたのは有名映画監督で、次回作のオーディションという名目である。求人の条件は、経歴に噓偽りなく詳細を書くこと。これによって個々人の過去が知れ、監督との面接(問答)で自分自身を曝け出すことになる。潜在意識のように閉じ込めていた感情、それが溢れ出ることで己を解放していく。生きるためには目標を持つことーこれが自己啓発セミナー的な時間潰しの説明かなぁ。

    監督の名は<金本達磨>、その男か女か判然としない名前に戸惑い。過去に何度も映画賞を受賞しているが、自分が目指す作品(内容)でないことに苛立っていた。次回も芸能事務所やスポンサーの意向が…。そこで映画界の柵のようなルールを逸脱してでも、自分のやり方で制作する。監督自身もある呪縛から解放されたいと思っていた。

    物語は、この監督と応募してきた人々、その立場を超えての自己解放と自己(夢)実現を描いている。それぞれの過去の出来事、性格の弱さなど汚点・欠点を洗い浚い喋る場面が圧巻。そして職業人である監督は、ある思惑 仕掛けを考えているよう。それによって映画の撮影中 劇(物語)のようにも思える。オーディション自体を隠し撮りし ドキュメンタリー風にした斬新な映画制作か。そして時々姿を現すプロデューサーor刑事?(村手龍太サン)の謎めいた存在も妙。この二転三転したような展開、そして心情吐露という重苦しい場面と面白可笑しい場面、この真逆のような観せ方も巧い。監督の強かな企み…<達磨>さんは転ばない、だろう。

    舞台技術は勇壮な音楽、そして照明は 情景変化を表す全体的な諧調、心情を効果的に表すスポットライトなど、巧みな変化で印象付ける。
    次回公演も楽しみにしております。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     初日を拝見。作・演は村手 龍太さん。如何にも村手さんらしい味のある深く而も観る者に勇気を与えてくれる作品。華5つ☆。ロンモチ、ベシミル!

    ネタバレBOX

     金本 達磨は映画監督。名前からは想像するのが難しいが女性である。年1本のペースで作品を発表。数々の賞を受賞後、この5年間作品発表は無い。そんな彼女がキャスト募集オーディションをSNSで発信。応募者三千名を超える中から選ばれたのは僅か8名。共通項は1つの例外もなく闇を抱えた人々であった。応募の履歴書には、これ迄過ごしてきた人生を詳細に赤裸々に書くことが義務付けられていた。
     監督の5年もの沈黙は、表現ではなく利潤で差配される映画の製作過程で内容がスポイルされていることに対する挑戦があった。然しプロデューサーやスタッフからも著名俳優等を中心にキャスティングしなければ製作費が出ない、との反対意見が相次ぐ。当然、スポンサーやメディア報道等の動向も緻密にチェックしつつ、要所、要所に攻勢をも掛ける。こんな状況下、愈々オーディション当日に集められた志願者に対応した監督の為したことは? 通常のオーディションでは全く考えられない破天荒な内容であった。言ってみれば、それは各々の生き方そのものを問う、否根底から問い直す修羅場であった。集められた者全員と監督の面前で各々がありきたりの仮面、偽装、表の顔を剥がされ剥き出しの自分自身と対峙してゆく。そしてそのことを通してハッキリ己自身の位置と裸の己を正確に把握してゆく。即ち世間体等という表層を脱し己自身を確立してゆくのである。
     この過程が、監督の新たな作品だと分かる迄に二転、三転・・・と物事の本質と表現行為、皮相でしかない「現実」との対比、葛藤、止揚が行われる。この間の丁々発止が見ものだ。而も警察の者だと登場する人物による社会戯評が的を射ている。脚本、演出、演技も良く、先にも書いたように兎に角観る者に元気を与えてくれる作品である。

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