満足度★★★★
祝・結成20 周年
今年で結成20年になるカンパニーの実力を見せつける、バラエティに富んだ作品でした。
舞台奥に赤いベルベットのカーテンが吊され、黒のリノリウムの床の上に大きな白いステージが設置された空間の中で、冒頭から無音で動きも少ないシーンが長く続き、作風を変えて実験的な感じの作品なのかと思っていたら、音楽が鳴り始まるといつも通りの緩急織り混ぜたダンスがノンストップで60分間続き、気持良い躍動感に引き込まれました。
最近のイデビアン作品で特徴的な、各ダンサーにキャラクターを与える演劇的手法が今回は控え目で、キャラクターの関係性から生じるドラマ性ではなく、ダンス自体を強く打ち出していました。特定のキャラクターが割り振られていなくても佇まいや動きに各ダンサーの個性が強く出ていて面白かったです。
様々なジャンルの音楽を用いるのもこのカンパニーの魅力ですが、今回はバッハの大曲、『ゴルトベルク変奏曲』丸々1曲のみを使用するという、大胆な構成でした。各変奏の雰囲気に合った振付が良かったです。特にテンポの早い変奏で全員がバラバラに踊ったり、またはユニゾンで踊るシーンはとてもダイナミックで爽快感がありました。
各自バラバラの稽古着風の衣装にイデビアンのロゴがプリント(刺繍?)されてあって、チャーミングでした。トレーニング音響や照明も遊び心があって楽しめました。