リンカク 公演情報 リンカク」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.4
1-10件 / 10件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    複雑な環境、なにを言いたいかの明確な答えは見つからないですが、面白かったです!

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    書きかけては中断する事いく度かで延び延びとなったが、その都度書き始めの文言、というか視野が変わっている。実際この芝居はシンプルではなく、時間を経て繋がって来るものもあるんだろう。
    曰くありの設定の家族の物語が綴られる。その中心に立つ「本妻」(松岡洋子)は世間的には理不尽な境遇にあるが、彼女特有の感性が終盤でクリアに顕現して溜飲を下げる。この本筋の幹に、ここに絡む周辺の人物らの感性がまた光る。YouTube動画を上げて視聴数を稼いでる長男の打算の産物のように見えた「こだわり」に、共鳴を吐露した女性は、舞踏を踊る人物(今回登場の無かった明樹女史の振付か)。人に見てもらう事を目的としない踊りとは一体何であるか。場から立ち上るもの、人の生きた痕跡が凝縮するその場所で自分は踊りたい、と彼女は言う。自分の生の意味は月や樹木や自然の声を聞く事のためにある、と「あん」のお婆さんは言ったが、踊る事が即ち生の告白であり証明だと言うように踊る彼女の呼吸に、主人公の夫の愛人の娘である大学の後輩は共鳴し共振して行く。一度身投げを考えた主人公をたまたま助ける事となったホームレス女性が、「輪郭とは現実には存在しない」と弁舌を繰る。「それ」は人の想念の中にしか存在しない・・。
    作者西山水木は現世界の表層を形作るものの裏側から、言葉を投げる。世界に亀裂が入る。世界が今「そのようにしかあり得ないもの」ではない事に気づかせる幾つもの言葉があった。書き溜めたかったが今は記憶に留まってはいない。しかし作者が周到に水面下から転覆せぬよう浮力を与えて断面を人の眼前に出現させようとした「世界の秘密」に、少なからず触れた気がした。それは希望を掴み取ろうとする一つの形。
    多様なイメージを駆使した作劇。満を持してのスズナリ公演を寿ぎたい。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    皆さんも言っているようにセットと客席の位置がよく考えられているなぁと。
    真横を演者さんが移動するのがライブ感ありでよかったです。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    やはり場内に入って目を奪われたのはこのセット。とはいえ、本編でのセットの使い方は、始まる前から過剰に肥大していた期待感を上回るとまではいかなかったのだが、決して分かりやすい展開とは言えないこのお話のリンカクが、ラストに向かって段々定まってくるのは、なかなかスリリング。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    スズナリお似合いの80年代懐かし小劇場の舞台である。
    劇団の「下北沢姉妹」の表記のいまならシモキタだろう。主宰者は当時、青年座の一点美女の娘役であった西山水木、演出は懐かしの離風霊船(劇団名だぞ!リブレセンと読む。)の伊東由美子。舞台は当時はやった舞台なしの構成舞台スタイル。物語は唐十郎ばりの謎の母子、父子関係に日々の生計のつながるレストランの経営の師匠、弟子関係、今時はどこをとっても、畏れながらと、訴え出られそうな関係で、主人公の女性が生きていくドラマが演じられる。筋立てにはあまりこだわらず、女性ならではの視点からの印象スケッチもあり、当時はやった舞踏も取り入れられていて、いまのチェルフィッチュ風なシーンもある。あれこれ取り入れられ消化されているが、今の人たちはもうこの手は使わない。
    西山も伊東もそろそろ70歳が見えてくる頃ではないか、人生でも舞台でも苦労したなぁ、という実感がしみじみと感じられる舞台である。つかとか鴻上とか如月とか、一世を風靡した人たちを支えた、時流に僅かに乗り損ね、生きそびれた人たちを優しく包むような舞台であった。1時間50分。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    皆さんセットにコメントしていますが、本当にこういうのもできるんだというセットでしたね。素晴らしかったです。内容はなかなか複雑な事情の登場人物でそれぞれの心情は推し量りきれませんが、皆さん表現されていたと思います。終演後優しい気持ちになれるそんなお芝居でした。良い時間を過ごせました。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い、お薦め。
    当日パンフに作 西山水木さんが「不思議な客席に驚かれたことでしょう…」とあるが、自分も こんなザ・ズズナリは初めて。スタッフに たまたま空いていた席に案内されたが、まさかの正面ど真ん中。俯瞰するような感覚で観た。

    梗概は それほど難しくはないが、そこに登場する人物の性格や情況、気持を推し量ることは容易でない。人物像の輪郭がハッキリしない、もっと言えば 自分がどうしたいのかといったことが自身で分かっていない。それが、色々な人と関わりあうことで自分の意思を持つ、そんな自覚していく様子が描かれている。

    登場するのは一家族だと思うが、その人達の関係も歪というか不思議で、自分の狭い常識の中では考え難い 不可解なこと。そこに他人が関わることで分かってくる事実が、この物語の妙。そして、一見 不思議な舞台美術(客席配置含む)だが、物語を紡ぐ上では理に適っている。
    (上演時間2時間 途中休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台美術は、中央に花道のような長い舞台。いつもの座席位置を正面とすれば、花道の両側にも客席を設えている。花道の中央に窪み、そこに主人公 華子が入り天井から水が流れ びしょ濡れになる。このためだけの穴のようで、以降の場面では閉じてしまう。

    本筋--これが説明にある投身自殺を思わせるシーンであろう。そこで謎の女に助けられ、彼女を連れて自宅へ帰る。この家族、同じ敷地内に夫の愛人とその娘が一緒に住んでいる。そして愛人に家事をさせ 対価を支払っている。華子には息子がおり、娘は幼い時に交通事故で亡くしていた(時々 マリオネットで登場)。息子は、娘(姉)の死は自分のせいだと思い、心を病んでいる。自室に籠もり動画配信をしている。そして愛人とその娘(異母妹)を甚振ることで平静を保とうとしている。夫は愛人とその娘に介護してもらっているという歪さ。

    脇筋--愛人の娘が 通う大学のダンス部 先輩の話、これを別の心の病として描く。ダンスに情熱を注いでいるが、それだけに他の部員に厳しい言葉で指導してしまう。それがパワハラと誤解され、離れて行ってしまう。そんな苦悩を抱え、今では一人でダンスをしている。

    心を病み、苦悩を抱えた人々、そして複雑な家族関係の中で平静を装った暮らし。そのため自己主張せず、淡々と無難にやり過ごすこと。そんな諦念とも言える感情が、自分というリンカクを暈けさしている。ちなみに 家族の複雑さは、引き籠りの息子の出生にまで係る。その対比として脇筋のダンス部女子大生は、自己主張の強さが災いし 人間関係を築けない。そして同じように心を病んでいる。

    謎の女は、人は己の愚かさには無自覚。その目覚めさせるような道化師(愚者)として登場させているようだ。そして<家><家族>といった枠から感情を解放させ自由になる。それが謎の女との旅へ…。
    次回公演も楽しみにしております。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2024/05/16 (木) 14:00

    こんなスズナリ初めて観た!
    舞台奥から太い花道が伸びている。
    三方に客席が作られ、花道の途中には四角い穴があいている。深さは不明。
    気が付くと水が流れるような、雨のような音が聞こえてくる。
    開演前からホームレス風に厚着をした女性が登場、舞台上の石を床に投げたりしている。
    雨が降って来たのにはびっくりした。

    ネタバレBOX

    着物姿の女性が腰ひもで首を吊ろうとして失敗、ホームレスの女性に助けられて
    一緒に自分の家へ帰って来る。
    このホームレスの女性が、複雑な家族をシンプルにほぐしていく。

    別居中の夫婦、夫は要介護状態で内縁の妻と娘が献身的に世話をしている。
    着物の妻と息子は少し離れてそれを見守っている。
    だがそこには実に複雑な事情があった・・・。

    当日パンフに書かれた作・西山水木さんの言葉の中に
    「私はほとんど他人でできています」という一文があった。
    優しい人に囲まれてその気持ちがわかるから、自分と他人の境界が曖昧になって
    本当は自分がどうしたいのか、わからなくなってしまう。
    ”誰かの望んでいることが、自分の望んだことになってしまう” ということだと思う。
    自分が望んで選択したのだと思い込んでいる。

    謎のホームレス女性は、「それは本当にあなたがやりたいことではない」と強く促す。
    そして登場人物は皆真実に向き合い、自分自身を見つめて変化していく。
    ラストは、長いことリンカクが定まらずに苦しんできた者だけが得られる
    爽快感に満ちている。

    登場人物の住まいや、息子のネット配信などが、もう少し解りやすく描かれたら
    観客はもっと早く登場人物に寄り添えると思う。
    内容の普遍性、表現のイマドキ感がとても素晴らしいだけに
    チラシデザインなどに内容の深みが反映されていないように感じられて惜しい。

    作者の真摯な姿勢が随所に感じられる意欲作。
    役者陣のひたむきさが伝わって来る作品だ。
    ホームレス女性(倉品淳子)の力強さが作品の推進力のひとつになっている。
    言葉によって人間関係を失い、舞踏によって自己表現を得た
    リョウマ(永田涼香)の喜びが美しい。
    ラスト、感情を取り戻した麗羅(あさ朝子)の号泣に思わず私も泣いてしまった。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2024/05/16 (木) 19:00

    120分。休憩なし。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    素晴らしかったです。舞台があのようなセットになっているとは…です。スズナリは何度も足を運んでいる劇場ですが、あそこまで舞台を作り変えた観劇は今回がはじめてです。最初の雨に濡れるシーンのためだけにあのセットをつくるのもすごいなーと思いました。

このページのQRコードです。

拡大