満足度★★★
右の翼と左の翼を手に入れて跳ぼうとした少年の身体は重かった...。
今日の公演だけ、公演前にプレトーク「作品としての見沢知廉」が行われた。
世間知らずなんでメンバーの鈴木邦男という人が
どんな人なんだか知らなかった。
一水会のトップだった人と言われてもピンとこない有様で...。
ちなみに前の席にはレイニン(椎野礼仁氏)だろう人だった。
2003年、PANTAと一緒に開戦前のイラクに行った人だ。
(「パンタとレイニンの反戦放浪記」、とても面白い本)
おそらく雨宮処凛は来てなかっただろうな。
実は、今日の公演は「天皇ごっこ」の舞台化だと
席に座るまで信じ込んでいた。
実際は違ってて、タイトルにもあるように、
1978年3月26日の成田空港管制塔占拠事件を
モチーフにしたものだった。
奇しくも一昨日のライヴでPANTAが成田の抗争に触れ、
「あん時ゃ絶対成田なんか、と思ってたけど
できちゃうと成田から飛行機乗っちゃうんだよなみんな」
って発言があったりして、
1978年っていうと中学の頃で電車好きだったから
スカイライナーは見切り発車だなー位しか覚えてないわけだ実際。
三里塚のイベントを収めた「幻野」も遠い昔の事のように見たし。
それが今日の舞台で少しわかるんじゃないかと思い直して臨んだ。
舞台といっても舞台全体を鉄パイプを天井まで組み上げた
バリケードが覆っている。
そこに張りめぐらされたロープに、時に宙吊りになりながら
芝居をするという凄まじさ。
どう見てもパティ・スミス「LAND」のジャケットから抜け出てきたような、
黒い布で目隠しされ拳銃を手にした役者が印象に残った。
冒頭から随所に亘り見沢知廉の略歴が台詞に登場する。
このバリケードは見沢知廉そのものを表現したものなのか?
右の翼と左の翼を手に入れて跳ぼうとした少年の身体は重かった...。
見沢知廉の外面と内面。
亡くなる前に、PANTAの公式サイトの掲示板に
見沢知廉の書き込みを見つけた。
---いろいろご心配おかけしましたけれど、
もう大丈夫なのでこれからもよろしくお願いします、みたいなことを
簡潔ながら実に丁寧な文章で綴られていたのを覚えている。
それからしばらく経っての訃報。
言葉が出なかった。
見沢知廉という作家が存在したということは決して忘れない。
満足度★★★★
情報量の多いことに圧倒される
見沢が高校生時代に参加した三里塚闘争を主軸に獄中や晩年(?)の見沢も併せて描き、含まれた情報量の多いことに圧倒される。
また、鉄パイプとロープで組み上げられた装置を文字通り縦横無尽に使いまくる演出も圧巻!