満足度★★★
罪を作るのも許すのも人の心
中国残留孤児の帰還事業が最も活発だった1980年代初頭、巷では、帰国、肉親との再会を称揚するニュースばかりが流れていた。しかし帰国者たちの言葉も通じぬ日本での生活の苦しさはなかなか報道されなかった。問題が顕在化してくるのは80年代も後半になってからだった。
物語は、福岡で吉林料理屋を営む元残留孤児の一家を通して、「あの時、何が行われたのか」を浮き彫りにしていく。深刻な問題だが、それを鬱々と描くのではなく、すれ違い・勘違い・その場しのぎのウソによるシチュエーションコメディとして構成したことには好感が持てる。深刻なものを深刻に描くのは簡単なことだが、人間はもう少し複雑なものだろう。最も悲惨な目に遭った時に笑いもする。そうした要素が随所に散りばめられていて、むりやり作られたわざとらしい笑いも少ない。おかげで全編を微笑ましく観ることができた。
しかし、反面、喜劇としての構造が弱く、俳優の演技にもやや難があるために、クライマックスに向けてのドラマが生まれ損なっていることも否めない。
満足度★★★
普通に観れた
中国残留孤児の問題を、声高に叫ぶことなく演じられていて悪くなかった。
役者の大仰な演技も、最初こそウンザリしたが観進めるうちにそれほどは気にならなくなった。
しかし、後半まで引いた、「母と妹を会わせないようにするネタ」にほとんど意味がなかったことは評価できない。