虫たちの日 公演情報 虫たちの日」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    ゆるゆると貢がれる時
    説明では内発的不条理(老いの自覚、情緒の不安定、等の)との事だったけれど、日常のささやかな夕餉の風景を描写したものだと感じた。そこには長い年月をかけて構築された老夫婦の幸せの時なのだと・・。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    食卓での老夫婦の会話が主。その内容はなんら取り留めのないものだ。瓶詰めのウニの蓋が空かなかったり、一度持っていった箸を忘れてしまったり、ご飯粒を落としたかどうか・・、ご飯を何杯お替りしたか・・などなど。そして時折、夫婦の知り合いの噂話が話題になる。

    夫は、若くして社長になったけれど死んでしまった山田さんを例に挙げ、「社長になっても死んじゃったら終わりだよ。幸せってものはそんなもんじゃないよ。」と課長にもなれなかったけれど長生きしている自分の人生と比較して、幸せの価値観を確かめる。

    一方で、妻は「そうですよ。だって、私達、しあわせでした・・・。」とつぶやく。

    子供が出来なかった老夫婦の会話は、どう人生を生きてきたか、どう夫婦の関係を貢いできたが伺われ、若い夫婦のような濃密な空間はないけれど、同じ時を過ごしてきた温もりは確かにあって、心地よい距離感をも二人の間で確立してるように感じた。

    優しげで温かみがあって日向でうずくまる猫を思い起こされる。老夫婦ってこのくらいの年齢になると、「貴方だけ、君だけ」みたいな世界にもなるのかな?とも思う。自分の生きてる空間に相手しか居ないという背景がそうせざるを得ないとも考える。だから・・・、本当の夫婦とは年齢を経てから本物になるのかと・・・最近つくづく思うのだ。

    大きなうねりも壮絶なクライマックスもそこにはないが、確実に自分の人生を生きてきた夫婦の幸せがそこにあって、たぶん、幸せってのはこんな日常なんだろうな。と思わせる舞台。

    観劇後、いつものように飲み会が催される。「元祖演劇乃素いき座 」の毎回の恒例だ。公演中は毎日、飲み会がある。お好きな方は次回飲み会に参加されると楽しいよん♪

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