満足度★★★★
史実ベースとフィクション部分のハーモニーが絶妙
後にいわゆる「津山事件」を起こすことになる少年・睦雄の前に「お前に幸せな道を歩ませてやる」という3人の人物が現われる一方、軍服姿の一団が彼らを邪魔し…な物語。
横溝正史の「八つ村墓」の冒頭部分の元ネタにもなった昭和13年の「津山事件」の犯人・都井睦雄の半生を中心に、彼が異常な関心を抱いていたという阿部定事件(昭和11年)や二・二六事件を絡め、さらに突拍子もない要素(笑)も加えた作品、事前に wikipedia で睦雄の生涯を調べて臨んだこともあり非常にわかりやすく、かなり史実に忠実な部分とトンデモ系なフィクション部分のハーモニーが絶妙でかなり楽しむ。やはり元ネタを知っている方が楽しめる。
津山事件を防ごうとする3人組が式神で、彼らを邪魔する軍人たちは大量殺人者たちを集めて戦争用人間兵器にしようとしている(当然その両者は未来から来ている)なんて発想、イイよなぁ。
で、帰宅後に阿部定事件について wikipedia で復習したのは言うまでもない。(笑)
満足度★★★★
泣かせる
時空を飛び越えたトンデモ展開ですが、ムツオの生涯のくだりはかなりまっとうな物語。希望に満ちた少年時代、家庭の事情で進学を断念、肋膜炎で兵役につけず非国民扱い...ムツオの人生、彼の心の叫びが泣かせますね。
ムツオを救うために、小説の登場人物が抜け出てくるのはファンタジックで、これも泣かせる要因。
役者さんのレベルの差が激しいのはデフォルトで、もう慣れましたが、せめて月蝕踊りだけは、全員かっこよく踊って欲しいな。
満足度★★★
スッキリ
『夢野久作 少女地獄』に比べると、キャストの数も減って、空間的にも物語的にも観劇後の後味もスッキリしたイメージ。
着想・構想は面白いと思う。多少動きや声に不揃いなところもあるけれど、役者も頑張っていると思う。
役者が自分の力で100まで持ってきたものを200にも300にも引き揚げるような、演出家のこだわりと言うか熱意というか情熱が込められるともっとのめりこめるのでは。
観劇したのは「あおい未央」さんの少年ムツオver.だけだけれど、最後はちょいとゾクッと背筋が震えるような、きれいな余韻を残す終わり方でよかった。