緻密な
照明変化は転換時のみ。曲の使用はラストのみ。男七人役者で見せる硬派なストレートプレイ。史上の事件を絡ませて作る物語が興味深い。観る人は選ぶが、確かに観客の心にズシリと重い碇を残していく一時間半。
青山円形はでかい、というのは確かにあるかもしれない。演劇の良さとして、「逃げられない」というのがある。目の前で生身の人間が汗や唾を飛ばしながら演じている。観客席は所狭しと敷き詰められている。途中で逃げさせる隙間を持たない。映画ならまだ席を立ちやすい。しかし演劇は違う。どれだけ作品で恐怖や悪夢を観たとしても、劇場というのは実に逃げにくい機構をしているである。
この作品には、「逃げたい」と思わせる力がある。目を閉じ、耳を塞ぎたくなる。ただしそうさせてはいけない。真実は突き付けなくては、生温い日常に遊ぶ観客たちに直視させなくては。そういう意味で、もっと小空間だったら、集中力もより高まり、さらに観客の心を凍り付かせられただろうと思う。
満足度★★★
役者の鎬の削り合い
役者の技量が試されるような非常に緊迫した会話劇で、見応えがありました。セットもシンプルで、より演技を引き立たせていたと思います。
満足度★★★★
役者同士の火花を見る!
この作品を観ながら、野木萌葱の「東京裁判」を見たときの感動を想い出した。ストーリーの重厚さとか、脚本の質の高さという前に、野木萌葱の作品は役者の演技力を最大限に引き出す芝居であり、観客に役者を堪能させる作りだと思う。
有馬自由の里中少将にしびれた。
満足度★★★★★
重苦しすぎるテーマ
異常と正常、狂気と正気、悪と正義、本音と建前、戦争と平和、金と愛、信頼と裏切り、責任と無実----どちらか100%ということはあり得ない状況で価値観がぐちゃぐちゃになり、胃が重くなりました。帰る時には皆、無口に。エレベーターの中がシーン。
満足度★★★★★
確かに異種格闘技戦でした。
第二次大戦時、満州に実在した「731部隊」の生き残りと、戦後未解決事件としても有名な「帝銀事件」を絶妙に絡ませた物語。キャストの演技は非の打ちどころがなく完璧!
以下はネタばれBOXにて。。
満足度★★★★★
全てがハイクオリティながら…
野木さんの脚本、やはり高レベル。ノゾエさんの演出、まるで、図案を見るような計算された人物配置が、作品の重さを生えさせて、秀逸。先日のハエギワ公演でも思いましたが、ノゾエさん、椅子と無地の親友かと思う程、椅子の使い方が絶妙でした。役者さんも、それぞれの役どころをしっかり理解し、体に落とした演技で、文句なし。特に、衛星兵を演じた清水優さんの名演には、心が震える思いでした。扉座の有馬自由さんも、扉座の舞台とは全く異質なキャラクターを見事に演じられて、感服。佐藤誓さんの存在感もさすがで、本当に、私個人には、完璧な舞台を堪能させて頂きました。
ただ、全く予備知識のない若い世代の観客には、この芝居、どんな風に見えるのだろうという幾分の心配はありました。
帝銀事件や、中野陸軍仕官学校や、731部隊とかに関して、何の知識もない人がこの芝居を観て、内容をしっかり理解できるだろうかと。
「丸太」の真の意味も、台詞だけで、想像できるだろうかとか。
ましてや、後年の非加熱製剤による事件とか、予備知識を補う、語句の説明文などが、当パンに記載されていた方が親切なのではとちょっと、思いました。
満足度★★★
うーん、青山円形劇場では広すぎ
今回の作品で改めて
パラドックス定数の作品は、限られた空間・状況の中で
輝くことを再確認。
そういった意味では、青山円形劇場は広すぎ。
緊張感は伝わってきたが、熱気は逃げていっている様に感じた。
そして、改めてパラドックス定数のメンバーの演技のうまさ
(というか脚本の世界観に合っている?)ことを確認。
こないだ
パラドックス定数の超傑作!「東京裁判」を観たので
見る目が厳しくなったが、この舞台も結構いいと思います。