そしてナイチンゲールは歌う… 公演情報 そしてナイチンゲールは歌う…」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    戦争の悲惨さは余りなく
    むしろコミカルでポップな作品だった。ミュージカル風にジョイス(桜井明美)とエリック(吉田正朗)が歌うシーンがあるのだが、これが素人以下の下手さ。いくらなんでもあれはマズイ。特に歌を入れなくてもよかったような気がするのだが・・・。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    戦時中の家族の生活を中心に描いた作品だが、戦時中の香りはあまりない。外では空襲警報がなったりするのだが、なにせこの家族ら自身がみな、楽天家なのだ。生まれつき足が不自由な長女ヘレンを中地美佐子が演じ、一方で節目節目にふっと芝居から抜け出してナビ役も務めていたが、案外それらに違和感はなくむしろすんなりと溶け込んでいた。

    ストット家の人々は戦争が始まったというのに祖父(里居正美)はペットの葬儀に腐心し、炭坑労働者の父(杉本孝次)はピアノに夢中。母(日色ともゑ)は教会を解雇されそうな神父のことで胸を痛める一方、妹(桜井明美)は恋人からのプロポーズの返答に悩んでいた。そんなバラバラな家族をどこか遠巻きに眺めていたヘレンは、やがて軍人と恋に落ちていく。

    誰かに抱かれてるって、それで眠るって、それで目を覚ますって素敵!なんて夢見心地だったのもつかの間、軍人・ノーマンは既婚者だったことから、ヘレンの恋は転げ落ちるようにぬかるみにはまっていく。それでもヘレンは自分の運命を受け入れノーマンと暮らしたいと母・ペギーに相談するもペギーが納得するはずもなく家族は一時的にバラバラになりかける。そしてヘレンは家を出てしまう。

    至福な時は長く続かないもので、やがて・・・、戦争が終わるとノーマンはヘレンから去って妻の元へ帰ってしまう。こうしてヘレンはストット家に戻り一家は相変わらず、それぞれが勝手なことばかり話し、その内容はかみ合わないが賑やかな家族の風景を描写し幕を閉じる。

    舞台はごくごく普通の家族を描写しているようだが、楽天家の母・ペギーがこの家族の代表格でもあるかのように家族を仕切り、家族というカラーはつくづく妻が作り出すものだと実感させられる。だから・・、それぞれの悲哀を包み込むようにいつも家族は暖かいのだ。と納得させられる舞台だった。健気なヘレンの吐くセリフにほろっとさせられて、愛とか家族とか、当たり前にそこにあるものじゃなくて積み重ねなんだな、ってしみじみ思う。勇気をもらった作品といえる。

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