アイ・アム・マイ・オウン・ワイフ 公演情報 アイ・アム・マイ・オウン・ワイフ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 満足度★★★★★

    燐光群の面目躍如
    まず会場に入った瞬間、へえ!吉祥寺シアターってこんな使い方もできるんだ!と何だか秘密クラブに案内されたような高揚感。
    「ハシムラ東郷」の時のように、今回の芝居も、何人もが一人の人物を演じる形式ながら、実際何人もいた「ハシムラ東郷」と違って、一人のシャーロッテを16人が代わる代わる演じるこの形式は、今回は、シャーロッテの実像がわからないというこの作品のテーマとも重なって、秀逸な手法だったと思う。
    それに、久しぶりに、燐光群の役者さん達が、生き生きと役を演じている様が嬉しかった。
    時々、坂手さんのオリジナル脚本は、役者さんが、坂手さんのメッセージの代弁者に過ぎないと感じられて、演じ手としての達成感はあるだろうか?と、余計な心配が頭をかすめるけれど、今回は、同じ役やその他の役を、皆さんがそれぞれ工夫して役作りされている感じで、何やかや言いつつ燐光群ファンの私には、気持ちの良いステージでした。
    他の国の公演と比較できないけれど、、この舞台における坂手演出は、なかなか他にはないオリジナリテイを感じて、やはり坂手さんは、二人といない演劇界の異才かもしれないと、思いを新たにしました。

    ネタバレBOX

    最後に、16人のシャーロッテが、客席を回り、テーブルに置かれた、シャーロッテがまだ男の子だった当時の可愛らしい写真に自分の真珠のネックレスを掛けて行く。そうして、客席に写真への喚起を促した後、静かに語られる、写真のエピソードが、シャーロッテの人生を一気に私達に近づける、素敵な演出効果になっていました。
    結局、長年に亘ってインタビューしたダグ・フライト自身も、彼女が語った自伝が真実かどうかはわからなかったのでしょうけれど、でも、シャーロッテが、持てる力を最大限駆使して、激動のドイツを生き抜いたのだという事実は、巧みな演出により、「アバター」のような、実際には見えない3D眼鏡を、心に掛けて観たような感覚で、鮮明にシャーロッテの人生を追体験した気分になれました。
  • 満足度★★★★★

    刺激的で前衛的だが、格調も高い。
     吉祥寺シアターの会場に入った瞬間からこのドラマに魅せられた。ネタバレなのでここでは書かないが、こんな吉祥寺シアターの使い方観たことがないという見事なものだった。作品はオフ・ブロードウェイからブロードウェイに駆け上り、ロングランのあげくトニー賞からピュリッツァー賞まで受賞してしまったという作品。そう聞けば観ないわけにはいかない。こういう海外の話題作を燐光群がしっかりと紹介してくれることは大変うれしい。絶対に日本ではお目にかかることの出来ない芝居だ。

     オリジナルでは一人芝居だったものを、なんと16人で演ずるといったところも、面白い。と言っても登場人物は40人以上いて、16人でも足りないくらいなのだが。

     台詞がとても詩的なのだ。一人の台詞を何人もの登場人物で分散してしゃべるのだが、それが実に美しいのだ。

    古いレコードの音とともに、全編が美しく格調高い。

    ネタバレBOX

     あたかも秘密バーのような、あるいは公開番組の会場のような雰囲気の作り。それにより、劇場全体が舞台になっているところが見事。舞台の中にもうひとつステージがあるというそんな感じ。客席にあるテーブルもテーブルの上の写真もひとつひとつが凝っている。そして、開場した瞬間から役者が席に案内してくれる。ここら辺も秘密バーをイメージしているのだろう。とても素敵だ。

     役者の服装にも注目したい。全員が同じ黒っぽい衣裳なのだが、上は男性ぽく、下はスカートで、主人公のゲイを象徴している。

     随所に刺激的な仕掛けがあり、今まで観たことのない芝居を観たような喜びを与えてくれる。海外の現代劇に興味のあるひとは必見だ。
  • 満足度★★★★★

    派手さはないが分かりやすく、それでいて深く胸に迫るドキュメンタリー
    実在した人物のドキュメンタリーもので、しかも海外の作品…正直見る前は難しいのかなと不安でしたが、実際見てみたらすごく分かりやすくそれでいて胸に深く迫る作品でした。
    このお話は一人芝居として作られて大ヒットしたものなんだそうですが、他の国では大人数で上演されたこともあるそうで…この『アイ・アム・マイ・オウン・ワイフ』は特殊な形態の戯曲なんだそうです(←坂手洋二さんと常田景子さんのアフタートークより)。
    今回の日本版では出演している16人全員が主人公のシャーロッテ(の影)を演じていて、そのことによってシャーロッテの人物像が鮮明になっていました。
    またストーリーテラーとしてシャーロッテにインタビューするダグ・ライトを登場させたことも、シャーロッテの人物像と共にダク自身の心の動きもかい間見られてよかったと思います。
    お芝居としては派手さはないけれど、胸に迫るいい作品でした。
    客席も含めてシャーロッテが運営していた『ムラック・リッツェ』という秘密バーを思わせる舞台セットも雰囲気があってよかったです。

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