H・アール・カオス×大友直人×東京シティ・フィル 公演情報 H・アール・カオス×大友直人×東京シティ・フィル」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
1-2件 / 2件中
  •   
    2010.0130.1700

  • 満足度★★★★★

    あまりにも美しく、あまりにも強い舞台に、圧倒されるのみ
    「中国の不思議な役人」の幕が開いた瞬間から、「ボレロ」 で幕が閉じられるまで、息をするのを忘れそうなほど、気持ちが持っていかれ、見入った。
    そんな生やさしいコトバでは表現できない存在感がそこにある。

    私は、それを観るだけである。

    ネタバレBOX

    「中国の不思議な役人」
    空中までも使い(宙づり)、舞台装置や照明がとにかく美しい。
    どのパート、どの場所、どの踊り手を観ても、影までも計算されたような整然さと、肉体の存在感を強く示す溢れんばかりの躍動感がある。しかもそれは一瞬でも途切れることがない。
    不気味さと不安と耽美的な美しさが同居する「中国の不思議な役人」がそこにあった。

    「瀕死の白鳥」
    白河さんのソロ。
    舞台裏や袖を隠している覆いをすべて外し、裸になった舞台の中央にはイスがただ1つあるだけ。
    オープニングは、その舞台を無音で踊る。観客は息をのむのみ。ぴりぴりした緊張感の中、しなやかに舞う。
    そこへ「瀕死の白鳥」の旋律が優しく重なる瞬間は鳥肌モノだ。
    曲と合わせて踊る姿には、ダンスというカタチではなく、音楽が見えているようにしか思えない。音と肉体が融合していくような感覚だ。
    音楽が終わった後の余韻のような無音の中の踊りは、最初のような緊張感ではなく、静寂が広がる。
    白河さん1人だけしか舞台の上にいないのに、舞台の広さはまったく感じない。

    「ボレロ」
    曲の高まりとともに舞台の上が朱色に染まっていく。曲のボルテージの上がり方と踊り手たちのシナジーが生み出す、美しさは圧巻! 震えるほどの感動が身体を走った。
    強靭な肉体たちがボレロの強い曲を軽々と乗り越え、さらに天上へ突き抜けていく。

    それにしても、なんというダンスの存在感。
    H・アール・カオスというカンパニーの全員がそれを持っているということが素晴らしい。奇跡のようなことなのかもしれない。

    上手いとか何とか、軽々しく口にできないほどの存在感と確かさがある。
    東京文化会館大ホールの広い舞台が、彼女たちの存在で溢れるようだ。
    そして観客を虜にさせてしまう。
    次回も必ず観なければならない、と心に誓った。



    「瀕死の白鳥」と「ボレロ」の間には、白河さんが息を整えたり、セットの設置などのため、対談が行われたが、申し訳ないが、やはり間つなぎにしか見えず、せっかくの余韻が分断されてしまうようだ。
    「瀕死の白鳥」は短い曲なのだが、休憩を入れたほうがよかったように思う。
    演目ごとに休憩を入れても、問題はないと思うのだが。

    それと、「ボレロ」。演奏にミスがあったように聞こえたのだが(管楽器で)、それは私の聞き違いだったのだろうか。

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