満足度★★★★
「一炊の夢」は長かった?
辰巳満次郎はちょうど50歳なのだそうだ。50歳で初めて
自分の会を開くことを許されるということは年功序列の
厳しい能楽界でも珍しく感じるが、宝生流は特にそういう
ことに厳しい流派なのだそうだ。
観世流もいくつか会派に分かれているが、30-40代でも
自分の会を開いている人は何人もいる。
そろそろ、そういう因習から抜け出したらどうだろう。
ただでさえ能楽は地味な芸能で、「秘すれば花」なんて
言ってたら、このパフォーマンス時代に埋没し、観客が
つかなくなってしまう。頼みのお弟子さんたちもどこも
年々高齢化が進み、若いお弟子さんはなかなか集まらない
のが現状なのだ。
満次郎は「マクベス」などの新作能にも積極的に挑戦してお
り、演劇的な才能が高い人である。
もっと多くの広い層に彼のお能を観てもらいたいと思ってい
たので、「人間五十年から」をモットーとし、会を開いたこと
は喜ばしい限りだ。
予定終演時刻が1時間30分近くオーバーしたのには閉口した。「小書」演出のため、フライヤーを刷った時点では上演時間が読めなかったのだろうが、一考を要す。