ヒマラヤと嘘 公演情報 ヒマラヤと嘘」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.2
1-4件 / 4件中
  • 満足度★★

    好みの作風ではなかった。
    ほんと、申し訳ないけれど、これを観ながら醒めてた自分がいて、どうしてかな~?と考えたら・・・、

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    考えたら、キャストに演技力のない方が目立ったのと、ストーリーに無理があったからだ。

    親子の間にはお互いに傷つけまいとする嘘があった。優しい嘘。相手の期待に答えようとする嘘。それらの嘘はいつしか大きな黒い塊となって自分自身を押しつぶしてしまう。母も娘も相手に嘘をついてることが良心の呵責となって、耐えられない状態になっていたのだ。
    物語は母が経営する食堂に勤めるアゲオ自身が作り上げた宗教の教祖として母の知らない間に祭り上げられてしまう。
    まず、この設定に無理があると感じた。
    そして、心無い近所の噂に対してイキナリ、ヒマラヤに登った母。物語を紡ぐにはこの設定自体ぎりぎりのバランスで危うい。
    ちっさい頃に亡くなったアイの姉が幽霊になってこの家に住み着いてる場面は良かったが、この親子の嘘の根源に、なぜ、ヒマラヤと宗教を出してしまったのかが、理解できない。
    嘘という身近な問題なら、世界がひっくりかえるような大きな嘘はないだろうし、およそ、家族の中だけのちっさい罪のない嘘のような気がする。

    ワタクシ的には家族のちっさい嘘は許容範囲だから、そんなこと、大したことないじゃん!って思ってしまって醒めたのだ。

  • 満足度★★★

    ブルの小島聡さん
    が客演だとどんな感じなのか興味があって行きました。身体の線が細いので少年のイメージでしたが嘘を纏った役も合いますね。セットの使い方がわかりやすく、何も動かしていないのに情景が浮かびます。人が丸まって岩石となりヒマラヤの頂上に見せるとか大人の芝居になるとあまりやらないせいか新鮮。図工の時間。
    「うちも今年も暮れてくよ」だったかな、定食屋に哀愁が漂った瞬間が良かった。年配の役者がいるといいなと。淡々とした印象が残る。

  • 満足度★★★★

    スモーク
    ステージ上は終始軽く霧がかかっていましたが、この作品のテーマであるウソの遍在を表しているものだったのでしょうか?最後のシーンでは母娘はウソを乗り越えたようですが、あの後、似非宗教団体のウソと警察のウソがヒマラヤのままなのか、それともいつか崩れて白日の下に晒されるのか気になるところです。

  • 満足度★★★★

    シンプルに面白かった
    前説で上演時間が約2時間と聞いたときには、ちょっと身構えたけど、まったくそんな長さを感じさせなかった。
    集中して、楽しく観劇。腰は少々痛くなったものの。

    物語が面白く、話の繋げ方や進行方法にもストレスを感じない。
    各キャラもデフォルメはあるものの、嫌味ではなく、それぞれがしっかりと立っていて、わかりやすい。

    セットの上下左右の使い方は、模範的とも言えるようなもので、無駄がなかった。
    つまり、演出も手際もよかったのだと思う。

    ネタバレBOX

    長女の死から、お互いにウソを言うことで、相手を安心させることしかできなくなってしまった母娘。
    しかも、互いにウソをついているであろうことは薄々感じているのに、なかなかウソであることを告白できないでいる。その告白は、ほんの紙1枚の薄い先にあるのに、それを破ることが互いにできないのだ。まるで自分のウソに溺れてしまいそうになっているのに。

    母ソウは、あまり流行らない食堂を切り盛りしている。母とヒマラヤ(!)を一緒に登山した男アゲオも食堂を手伝っている。
    そのアゲオはソウと一緒にヒマラヤに行った体験から、映画を撮っているとウソをつき、ソウを新興宗教の教祖に祭り上げている。
    娘アイは、大学の登山部に入り、母が何かを感じたらしい、ヒマラヤに自分も登りたいと密かに思っている。しかし、その登山部は、母が教祖となっている宗教の資金集め団体だった。
    母ソウは自分が教祖になっていることも、娘のアイが怪しい登山部に入っていることも知らない。もちろん、アイも自分が母が教祖の宗教に取り込まれていることは気がついていない。
    アゲオも、自分が仕掛けた宗教に関連した登山部にアイが入っていることは知らない。
    母と娘のウソの上に成り立つ危ういバランスは、そろそろ限界かもしれないと互いに思っている。
    宗教騒ぎとそれをかぎ回る刑事たち、そして、なぜか幽霊が見えちゃう(そのことは実に軽〜く出てくる)登山部の部員エガワが、絡まりあって、いろんなところにある、危ういバランスが崩れてきだし、ホンネや欲望が姿を見せ始める。
    ソウがウソをついていることをアイに告白しょうと思うことで、宗教も終わりだとアゲオは悟る。
    そして、(予定調和かもしれないけど)母と娘を取り巻く物語のエンディングを迎えるのだ。

    母と娘がついていたウソは、「冷やし中華の作り方を知らないけど、メニューに入れてしまった」「彼氏が出来ているのに教えなかった」「死んだと言っていた父親は実は女を作って家を出ていた」「黙ってバイトをしていた」と、実に他人からすればどうでもいいことなのだ。
    しかし、この親子にとっては、母に、娘に、ウソをついている、という状態が問題であるのだ。そんな、真っ当で真面目な家族の話が一番の軸になっているということは、ササクレ立っている私の心(笑)に沁みて、気持ちよかったのかもしれない。つまり、どことなくソフトな雰囲気(宗教がらみなのに変なダーク感もないし)が全体的にあったのが、心地よかったのだと思う。

    ラストにある「季節外れの初雪が降るときに和解する」という予言があったのだが、てっきり、「お互いのホンネを書いた紙(1枚1枚に書かれており、輪ゴムで止めてある)」がフリだと思ったので、それが都合良く(笑)地震で降ってきたときが、それかと思っていたら、本当に初雪が降ったのだ。これは紙が降っただけで、季節外れの初雪としたほうが、よかったのではないかと思った。

    細かい台詞で面白いことを言っているのだが、ことさらそれをクローズアップして「ここ笑ってください」という雰囲気がないのも好感が持てる。ただ、もう少し笑えてもよかったような気もするが(変なくすぐりみたいなものにはクスリ、ククスリとはしたけど)。

    セットはシンプルながら、舞台をうまく使っており、無駄がなかった。ネットカフェから食堂に、ヒマラヤまでになるんだから。

    狂言回し的なアゲオ位置づけの、宗教を仕掛けるのキャラクターは、ちょっと大げさで鬱陶しい(テンションが高い)のだけれども、この勢いがあるから物語が展開していくのだなと思えたし、自分のやっていることへの高揚感だと思えば、それほど違和感を感じなかった。また、娘のアイと母のソウキャラクターもなかなかいい。一番真っ当なキャラクターで真っ直ぐさが現れており、この物語の内容にふさわしかったと思う。一番素っ頓狂なエガワも、いい味を出していた。特にこの4人は印象に残った。

    それにつけても、母娘のウソは白日のもとに現れたのだが、アゲオのホンネはどこにあるのかがわからないままだったのは、少し残念。彼の心の中も見えるようになっていれば、かなり素晴らしいものになっていたように思えるのだ。

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