満足度★★★
芝居ならではの手法とこの小屋ならではの距離感・雰囲気
ホステスである母とはぐれた少年、交番勤務の警察官、売れない漫画家とその友人のロックシンガー、バーのママなどが織り成すドラマ、粗削りな部分や時として長く感ずる暗転などもありつつ、シンプルな装置でいくつもの場を表現したり、5人のキャストが複数の役を演じ分けたり、芝居ならではの手法と、このサイズの小屋ならではの距離感・雰囲気が○。
手法と言えば、死者(あるいは瀕死の者?)の魂がその「記号」として(死因不問で)首からハンギングロープを下げていて、その先をたどると肉体につながっているという発想が楽しい。
また、太宰治の「人間失格」にインスパイアされた作品とのことで、wikipedia で予習して行ったら確かに心中未遂(相手は死亡)後にさらに自殺未遂などという人物もいて、「あ、なるほどぉ」なんてこともアリ。キチンと読んでいたらもっと共通点も見出せたのかしら?
満足度★★★
シュール。
キテレツゥ版「人間失格」。シュールで不条理な世界が小さな空間で繰り広げられ、この手のじわじわ来る空気感が好きな人にはたまらないんだろうなぁ、と思いました。
しかし寒々としたシュールな笑いが持続するには刺激不足で、例えば平手打ちや、お腹をドツくシーンは本気でやっちゃって良かったような気がします。ロックミュージシャンがお婆さんをボコる不謹慎さはあるのに、本気で殴るくらいのキレ感がないと、なんだかアンバランスな感じがして全体的にお話の印象がボケてしまう。もっと抉るようなキレがないと、1時間半の上演時間は長くて辛い。
しかし5人の役者さんのバランス感はとてもよく、特に峯尾くんのシュールなはじけっぷりには目を引かれました。駅から遠い劇場でしたが、その道のりを経て峯尾くんの演技を観た価値は大アリでした。
独創的な色をつなぐものが欲しい
多少の荒さはあっても
ひとつずつのシーンには
それぞれに個性的なテイストがあって
観ていて飽きることはありませんでした。
でも、
ひとつのシーンやラインに
他のシーンと絡んで広がっていく力が
もっとあればとも感じて。
面白かったり観る者に沁み入っていくテイストを感じるがゆえに、
さらに絡まり合った広がりが欲しくなりました。
悪趣
露悪的なネタ…というか、人によってはお前なに考えてんだよ、なネタが多く、悪趣味を通り越して引いてしまう人も居るのではないか…好きになれるか嫌いになるかが、
楽しめるか、耐えられるかのワカレメなんだろうな…と。
で、自分は嫌いではないけど好きって程にはのめり込めないのでした。
ただ、何かギラッとした感じが綺麗だったなぁと思いました。