いってきますの、あと 公演情報 いってきますの、あと」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
1-2件 / 2件中
  • 満足度★★★

    姉と弟の会話が白眉
    弟と二人暮らしをしている姉のもとに、弟の勧めに従って家出した小学生の担任教師と父が押し掛け…という状況から始まる物語で、前半がコミカルで後半があたたかいという構造。
    娘を心配する父(上瀧昇一郎)の姿に、認知症となり田舎暮らしをしている父のかつての面影を見出した姉(岡部尚子)と弟(平本光司)の想いがにじみ出る会話が白眉。
    その前の会話で父は存命ということは薄々想像はついていて「あ、やっぱりそうか」と思わせるが、それを明かした後にこれ、という二段構えなのが巧み。
    また、最後の台詞が「いってきます」で、風鈴の音で全体を締めくくるのも巧い。

  • 満足度★★★

    大いには笑えなかったけれど、
    ハートフルな家族の物語。姉役の岡部尚子が大阪弁まるだしで好演でした。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    「行ってきます。」と書置きして出て行って1ヶ月も帰らない母を待ち焦がれた挙句、家出した少女まさみが同名の18歳まさみ(男)を頼って、かくまってもらった事から、舞台は始まる。まさみ(男)の姉と少女まさみの父親は蒲団に入って隠れてるのが、少女のほうかと勘違いしながら、物語は進みます。そこに少女まさみの先生役に仕立て上げられたまさみ(男)の友人が、どうにかつじつまを合わせながらのコメディ色の濃い前半。
    しかし、後半に入って「行ってきます。」と言って出て行ってしまった母の帰りを待ちわびた少女の心の情景に視点は注がれます。
    「行って来ます」の後には必ず「ただいま」の言葉があるように、少女まさみは見送りながらも、いい子でいようと頑張るのです。頑張って頑張って頑張ったのに、帰って来ない母にどうにか帰って欲しくて、少女は「自分が家出したら、心配して帰ってきてくれるんじゃないか?」と小さな胸で一生懸命考えた結果の家出でした。
    同時に、まさみ(男)と姉の若年性認知症で入院している父への想いもここで同時に進行させながら、観客を泣かせます。
    二人の兄弟の思い出の品を父に見せたら何かを思い出してくれるのではないか・・。そんな考えから、ダンボールに入った懐かしい姉のセーラー服や、まさみの帽子、風鈴などを手にとり、父が元気だった頃の懐かしい情景を思い出しながら家族とは、兄弟とは、親子とは、を否応がなしに観客に訴えます。
    故郷が遠くにあって、一人で東京で頑張っている観客は田舎の両親を想いながら泣けるのです。

    大爆笑はないけれど、大阪風の笑いは確実にあって、温かな物語でした。
    前半部分の蒲団の中から中々出てこない、不在の主役にちょっと苛々しました。「そこにはまさみ(少女)は居ないんじゃないの!(・・)」なんつって。

    もうちょっと笑わせて欲しかったけれど(大阪の劇団と聞くとどうしたって笑いに対する期待は高まるのです)、それでも大阪弁のポンポンと流れる言葉は楽しかったですね。
    また東京に来るということなので次回は更に期待大ですわ!


このページのQRコードです。

拡大