満足度★★★
なかなか良かった。
4本ともしっかりとツボがあり、それぞれ良い感じでした。飛びぬけて凄い新人がいるわけでは無かったが、きちんとした作品になっているのは、流石ラフカット作者陣といった感じでした。行ける限りは、毎年観に行きたいです。
満足度★★★
笑いと涙の第4話がイイ
第一話「職員会議」 脚本:G2 演出:堤泰之
いわゆる職員会議ではなく劇中での呼称は「学年会」。生徒会執行部代表も出席する会議で、執行部代表の代理が緊急動議としてセクハラ教師を告発し…という内容は(最近の)G2らしからぬ作風がちょっと意外だが、ラフカットらしいニオイがして悪くない。
なお弁護士が教師を糾弾するシーンに『夜の来訪者(Inspector Calls)』を連想。
第二話「真夜中の太陽」 原案・音楽:谷山浩子 脚本・演出:工藤千夏
意図はよくわかるし、好きなタイプであるのに(と言うよりも「であるがゆえに」か?)「過去の友人たちと触れ合う生き残った女性」が今ひとつ活かされていないのがもどかしい。
第三話「アンデスの混乱」 脚本:鴻上尚史 演出:堤泰之
もしも日本人が「アンデスの聖餐」(映画『生きてこそ』を観て知っていた)の状況になったら、という着想に『12人の優しい日本人』を連想するもテーマとしては苦手。
そういえばこのテのハナシだと武田泰淳の「ひかりごけ」も思い出すが、アレに対してそんなに抵抗がないのは「食べること」そのものが主題なのではなく、その後に重点が置かれているからか?
第四話「父を叩く」 脚本・演出:堤泰之
うん、さすが名手堤泰之、文句ナシ。
入院している父を見舞った息子を中心にした笑いと涙の短編、的な。
息子がサインした色紙を見た父「何て書いてあるか読めんな」
息子「楷書だよ」
なんてところも上手い。
あと、「おっぱい~!」のシーンに映画『寝ずの番』を連想。
満足度★★★★★
お辞儀マニア必見!
演劇ってええですなあ、ということがよくわかる、ナイスな4本立て。
やっぱ、演劇ってラジオドラマでもなければバラエティでもないし、吉本でもなくて、乱暴にわかりやすく言ってしまえ、今、目の前にあるものからラジオドラマを引いて、バラエティも引いて、吉本も引いて何が残るか。さらに極端にいってしまえば戯曲・脚本さえも抜いてしまって何が残るかという見方が、貧乏くさいながらも、有効なんだなあと思った次第でありまして、その意味では、第二話の「空気」は演劇してましたねえ。濃密です! しかもあれだけの役者さんが出ていて30分であそこまでひとりひとりの「役」ではなくて「顔」と「姿態」を大事にするというのは、ちょっと感動もので、さらにおいうちをかけるように、ラストシーンのあの「お辞儀」! あの「お辞儀」はすごかった。涙が出てしまった。「リトル・ブッダ」のベルトリッチも真っ青のお辞儀で、あれは、やはり演劇でしかみられない瞬間でありました。第4話の上手のベッドにいたおじさんも、よかった。ポコンと劇に穴をあける存在感があって、「手堅さ」だけでは得られない、手触りをあのおじさん、あの芝居にもたらしていてくれました。
満足度★★★
知らない役者ばかり41名
久しぶりに見るラフカット。プラチナ・ペーパーズのホームページで過去公演の記録をちょっと覗いてみた。私が見たのは1995、1996、2000、2003年の4回。出演者の中には当時は全然知らなかったが、今なら知っているという名前がそこそこある。ハイバイの岩井秀人とヨーロッパ企画の土佐和成がG2の作品で共演していたり、ケラの作品に親族代表の竹井亮介が出ていたりする。もっとも竹井の場合は今も親族代表の公演でケラに脚本を書いてもらっている。私が見ていない回でも、あひるなんちゃらの黒岩三佳とかグリングの青木豪が役者で出ていたり。
どういうわけか私の場合、ラフカットの舞台で見た役者のことがほとんど記憶に残っていない。とくにスペースゼロのような大きな会場で座席が後方だったりすると、単純に役者の顔がよく見えないのだ。その意味では、東京芸術劇場の小ホールでやった1995年の第1回目は、舞台が近かったこともあり、印象に残った役者が二人いる。ラッパ屋の鈴木聡作品に出ていた佐藤奈美と堤泰之の一人芝居に出演したかないまりこ。残念ながら二人とも最近は消息を聞かない。
最初のころはケラやじんのひろあきも脚本を提供していて、当然ながら無名の役者よりは脚本家を目当てに出かけていた。
今回もひさしぶりに見る気になったのは、4本立てのうちの1本が青年団演出部の工藤千夏の作演出だったから。
満足度★★★★
時間の密度
ラフカット、初めて観ました。30分のお芝居って、どれほどのことができるんだろうと、ちょっと斜に構えてましたが、トータル2時間強、かなり濃密な時間が過ぎていきました。質の高い短編集やアンソロジーを読む喜びにも似た感覚。
演劇は何となく敷居が高いと感じる人には、こういう鑑賞の機会は貴重ですね。
「真夜中の太陽」の合唱が心に沁みました。可能なら、エピソードを膨らませた長いバージョンも見てみたいものです。