チャイニーズスープ【作:平田オリザ×演出:柴幸男】 公演情報 チャイニーズスープ【作:平田オリザ×演出:柴幸男】」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 2.8
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  • 0911121500
    観劇

  • 満足度

    スパイに見えない。
    シンプルな言葉の交換は、見えないものをいかに妄想させるかが作品の出来を左右する。平田オリザさんの戯曲は、演者にとってそう容易くはない。それにしてもキャリアのある俳優陣が、あれだけ読めていないのは残酷なことだ。

    たとえばサイレント部分が毎回、その一瞬前と繋がっていないので、事前に演出されているのが伝わり興ざめしてしまう。初歩的な欠陥と言わざるを得ない。

    役作りもしかり。そもそもスパイに見えない。軽さがあってもよいが、それは裏打ちされたものだ。観客としてなんとかその世界に入ろうと試みたが、雑な空間に諦めた。1時間の辛抱だ。

    ネタバレBOX

    芝幸男さんが演出されている「ままごと」の評判を聞きつけて観劇。今回は演出だけの参加だが、その片鱗を期待していた。しかし、どこまでが演出家の仕事なのか。まさか戯曲の読み方を一(いち)から説明するわけではあるまい。
  • 満足度★★★

    スープの味付けは、ちょっと不条理
    先日観た『ヤルタ会談』もそうだったけど、今回もその設定だけで面白いって思ってしまう。
    シンプルな、あっさり風味なのに不思議な味わいがある。

    ネタバレBOX

    元スパイの老人(失礼・笑)2人が、話しながら、スープを作るという物語だが、一体ここはどんな場所なの? と思ってしまう。
    そしてさらに、一見、お料理番組のようにスープを丁寧に作っていくのかと思いきや、剥いたはずの皮や料理道具までもスープ鍋にぶち込んでしまう。
    それは、さながらスープに不条理のスパイスを利かせたような。
    その展開は、野菜や調理道具の配置も併せて、思わせぶりすぎたような気もしないでもない。

    2人の会話には終着点みたいなものはなく、そもそも会話していることには、積極的な理由があるわけでもない。単なる暇つぶしの会話で、内容もとりとめがない。
    だから会話が弾むわけもなく、間が空いて当然。
    そんなとりとめない会話だけど、見せてしまう巧みさ。

    ただ、年老いたスパイから見た、冷戦終結後の世界観みたいなものか、あるいは彼ら自身の生活感みたいなものかのどちらかが、もう少し浮かび上がってくるものかと思ったのだが、そういう話でもないような。
  • 満足度★★★

    企画自体に圧倒される
    20年という時間が込められた今回の上演。
    19年前に書かれた戯曲を、オリジナルキャストで再演。

    しかも戯曲を書いた平田オリザさんが改変して、演出するのは27歳の柴幸男さん。オリジナルの戯曲が書かれた時のオリザさんの年齢。
    演じる役者は50代と70代。
    ベルリンの壁崩壊から20年後の、旧東西のスパイがイスタンブールのレストランでスープが出てくるのを待つ話。
    ただそれだけなのだけど、やはり時間の重みというものを感じずにはいられないのでした。

    ネタバレBOX

    スープを実際に作りながら演じるのだけど、たまにセリフの間が長い部分なんて、セリフを忘れてしまったのかな?と思ってしまう。
    でも、そんな事許せてしまう暖かさがありました。

    どんなに才能がある若い役者でも、これだけ年齢を重ねて人生経験を積んだ役者の存在には敵わないですねえ。
    そこにいるだけで既に演劇なんだもの。

    60分のコンパクトなふたり芝居でした。
    この雰囲気、好きです。
  • 満足度★★★★

    老後の風景
    舞台は廃墟のような海辺のレストラン。そこに20年前に旧東側のスパイだった男と旧西側のスパイだった男がスープを作りながらの会話劇。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX


    見た目も実年齢も歳を喰ってる土井の方が演技も迫力も上をいく。決して龍昇が負けてる。というのではなくて、加齢してこそ、この味わいが身につくものなんだと感じるし、土井には独特のトボケタキャラが味方するのだと思う。

    お互いのスパイは定年後の時間つぶしに日向ぼっこでもしているかのごとく、緩やかな話に花が咲く。その内容はアニメ・ゴルゴだったり、題名の思い出せない映画の話だったり、ダヴィンチ・コードだったり・・。かつては危機迫るスパイの仕事なんかしていなかったような風景。だけど、よく解らない会話は成り立ってしまうから、可笑しい。笑

    「この20年で大抵の不自由なものを手に入れた。」なんていいながら、二人は浜辺に置かれた野菜で形作られた世界地図から人参やらじゃがいも、玉葱、葱、カブなどを細かく刻みスープの中に入れていく。スープに国境はない。だから彼らがベルリンの壁の崩壊の話をしている間にも、世界地図の日本に置かれた日本(人参)やら、ドイツやら、それぞれの国の野菜を刻んで入れていく。

    その間も彼らは年金の話になり、「共産主義はいいよなー。年金があって。資本主義だったから年金がないから、将来不安だよ・・。」なんつって年寄りじみた会話をしながら、滑稽にも将来を約束されてなかったスパイ達は将来を心配する。苦笑! 緩い喜劇ですね?そんな確認をしたくなる。笑

    そして、女の話やホモの話や、ゲイの話に及び、気が付くとそれらの話には男とか女とか性別を超えた、こちらも壁がない。そんな国境のない話をしながら、二人はスープの中に入れる野菜の刻み方が段々雑になって、そのうち、石油の話をしてるときに油のボトルを入れちゃったり、包丁を入れちゃったり、まな板も入れちゃったり、布巾も入れちゃう。

    つまり、スープは国境のない世界なのだ。

    旧西側のスパイだった男は「年金がないから、気が付いたら住宅ローンだけが残ってたよ。今じゃあ、月々の返済を支払うのに苦労してるよ。」なんて、こちらもローンに国境はない!笑

    土井の芝居は小刻みに観たいと考える。だってあと10年観られるかどうかも解らないでしょ?笑   それでも最後の最後まで頑張って芝居して欲しいと願う。そして、いつまでも人々の記憶に残る仕事って素晴らしいな。って、つくづく思う。



  • 観ました
    こんなに落ち着いて観られる芝居っていつ以来だろうか。

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