有馬の家のじごろう 公演情報 有馬の家のじごろう」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.7
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  • 満足度★★★★★

    レベル高っ!(@@!)
    すんごくびっくり!初見の劇団だったから知らなかったとはいえ・・。
    当時の重厚な舞台セット(こんな家に住みたいなぁ・・)といい、障子を開け放った外に舞い振る細雪の風景。かと思えば季節は変わってはらはらと桜吹雪が舞うシーン。月見酒の情景。演出が美しい。
    よくよく見ると桜の舞い方がくるくるとちっさく回転して舞い落ちてくる。その落ち方がなんとも可愛らしいので、花びらを見ると歌舞伎で使われる花吹雪で、そのまんま桜の形をしている。こんなところにも凝った演出で、流石。
    そんなだから、衣装、徳利、花瓶など小道具も凝ってる。

    視覚でも満たされ、物語でも満足、演技力も唸るほどで誰一人として大根役者が居ない!素晴らしい舞台。
    2時間20分の舞台があっというまに終わった。という見事な芝居!
    そのまま、映画になりそうな完璧な舞台でした。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX



    じごろうとは『田舎者』を意味する方言です。

    有馬家の子孫・新三郎は有馬酒造社長として登場するが彼の祖父から聞いた話として物語を追っていく。

    九州田舎町で仕出し屋『有馬亭』を営む有馬家には、父母と4人の姉兄弟がおりました。同じく兄弟のようにして育った飯山家の藤太とちよ。
    そこへ松山信吾という二等警部が訪れたことで、静かだった有馬家にも変革があった。それは、東京の様子や大日本帝国陸軍(官軍)と旧薩摩藩士の話を聞いた藤太と有馬信吾(三男)は熊本へ行く事に。同じく長男の有馬新一郎も「生きる道は自分で決める。初めから向き不向きに囚われていたらどーにもならん。」と家を出る。じごろうと呼ばれていた彼らにも夢と志を持つが故に時代に巻き込まれていく。
    有馬家の留守を守る女4人と家長・新五郎と次男・伸次。
    新五郎が作った酒が仕出し屋『有馬亭』に訪れた人たちに振舞われ、また、新五郎自信もよく酒を飲む。息子たちを見送った新五郎の寂しさとそれを支える伸治と家族の姿が美しい。新五郎は終盤、ボケてしまうシーンもあり、新一郎と信吾が死んだ描写もあり・・。それも家族の情景のひとこまとしての演出は流石。西南戦争の翻弄された家族の物語。

    昭和19年8月19日に伸次の孫・新三郎に召集令状が届く。
    こうして有馬酒造社長としての新三郎は有馬酒を休業することになる。。


    ひじょうに素晴らしい舞台でした。
    筆舌に尽しがたい。一度ご賞味あれ!(^0^)



  • 満足度★★★★

    圧倒されました
    すばらしい完成度の2時間半。正直驚き増した。詳しくはネタバレ。

    ネタバレBOX

    薩摩弁がまずすごい。最初、ついていけるかなと思っていたら、最後には自分もすっかり薩摩の人(笑)のごとく理解できてしまった。その台詞の力強さとテンポのよさ、笑いとシリアスとのバランス、久しぶりに本格的なお芝居を堪能できました。セットもかなりきれいに作られていて、SEとともに、地下の劇場が完全に薩摩の仕出し屋になってる。音楽・照明のタイミングもとても丁寧で、導入の和やかで静かな幸せのシーンから、後半の激動にいたるまで、すべての流れを見守っているように調和していた。ここちよかった。

    途中休憩10分の2時間半ですが、ちっとも長さを感じない。むしろ、後半はもっと続いてほしいと思ったほど。いとおしい登場人物と、ずっと一緒にいたい、なんて思わせられました。・・ほめすぎか。ボクはこういう時代物って大好きなもので。
  • 満足度★★★★★

    映画にしたいような
    毎公演なにかしらの感動をくれるBOTTOM-9ですが、脚本の市村氏が自己の新境地、と語られている通り、今作品は今までの最高品質かも。
    集めた素材(題材・役者)のアレンジ(ストーリー構成・配置・道具・セリフ)がピッタリはまっていてすっかり引き込まれてしまいました。
    途中10分休憩の2時間半と長めですが、集中力が途切れることはありませんでした。
    派手じゃないのにドラマチックで、細かいピースを丁寧に描き出しているので邦画の良品を観ているよう。てゆーか、映画にしたいシーンがいくつかあった……。
    舞台装置もなにげに注目。サンモールスタジオの小さな空間に、リアルな民家が真面目に建っています。あの床が手書きって絶対信じられない。
    奇をてらわず、真面目にこだわりぬいて丹念に作られた舞台でした。

    ネタバレBOX

    舞台は昭和初期の鹿児島の造り酒屋主人が、じいさまに聞いた明治の話をする形で始まります。
    まず真面目なこだわりポイント。セリフがすべて薩摩のお国言葉。(もちろんカンペキに本格的に再現されたら関東モンには外国語ですので、そこはわかるくらいに抑えてくれています。)
    それでも正直最初は「わ、わからない…」とびびりましたが、単語の意味とか上手いこと理解できるように導いてくれるし、ストーリーにのめり込むのと一緒にいつの間にかすっかり心地よく聞けるようになっていました。人間慣れるもんですねぇ。

    ゆっくりと加速した蒸気機関車が、簡単には止まれないスピードに到達していくように、最初は小さく静かに、そしてだんだんと重量感のあるストーリーが転がってゆきます。
    戦争という時代の大きなシチュエーションと、家族という普遍的な題材を組み合わせた作品はたくさんありますが、この劇はその組み合わせ方のバランスがすごくいい!

    あと、劇中でみんな焼酎を飲むんですが、呑み方が各人各様で、皆とにかくおいしそーーーっ!!!
    酒と肴が欲しくなりましたよ。下戸なのに。

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