運転免許わたしの場合 公演情報 運転免許わたしの場合」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    きっついなぁ。こういうの。
    一人の女性の一生を断片的に見せた芝居。

    以下はネタバレBOXにて。。

    ネタバレBOX

    11歳のときに叔父から性的虐待を受けた女性の半生を、自動車運転のルールと重ね合わせて描き出した作品。

    チビちゃんと呼ばれていた少女はある日、運転を教えてくれるという叔父さんの膝の上に乗って練習をしていたが、突然その格好で悪戯をされる。11歳の時。それ以降、何かにつけて18歳まで悪戯をされ続ける。
    だけれどその行為は決して強制的なものではなく叔父さんの吐く巧みな言葉によってチビちゃんが流されてしまう心情や、時にはチビちゃんの方から曖昧に誘う心理などを繊細に描写する。「お前が望まなきゃ何も起きやしないんだ。」とあくまでもチビちゃんの同意を求める情景も注入しながら、男女間の性差についても描いた作品でした。

    やがてチビちゃんは18歳で叔父(この時45歳)さんと別れる事を決意する。その後、叔父さんは深酒をするようになり、職も妻も運転免許も失って、ますます酒びたりのあげく7年後に階段から落ちて亡くなる。
    あれから・・40歳になったチビちゃんは独身のまま、静かに時を過ごしています。公園のベンチに座りながら、走り去るランナーに「頑張れ!」と心で応援しながら・・。

    一人の女性の生き様を描いた作品だったけれど、最後のシーンは映画を観てるようなイメージを植えつける言葉はやはり素晴らしいです。そして、この女性は一生独身を貫くのだろうな・・と感じさせる内容。
    見えない十字架を背負って生きていかなければならない心情を思うと本当に重いテーマです。

    彼女の心には、小さかった自分を理解して深いところまで受け入れてくれたのは叔父さんだけという思いと、その優しさに自分に出来る形で答えたい。と揺れる心情。

    記憶の断片は夜空のように暗かったり、あるいはキラキラと輝いて眩しかったり、苦い水も、あまやかな水もあるけれど、成熟した彼女が11歳の頃に経験したそれは、熱い手で心臓を掴まれたような恐怖だったのではなかろうか。そうしてそれがその後の彼女に深く影響しているとしたら、あまりにも人生は残酷なのだ。


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