満足度★★★
見せたいものがハッキリしすぎの、荒唐無稽のぶっちゃけ話
内容は陽の目を見ない作家の物語に対する自己満足をぶつけたような作品なんですが、実際の作家の内心がこれでもかというほどに赤裸々に、そして堂々と展開されていきます。
ストーリー的には、多少無理な展開が見受けられるが、そこはあまり気にせずにキャラで巻き込んでいくパワープレイ。なので、普通はとっつきにくいはずの脚本ですが荒唐無稽な世界観が妙にマッチしていて最後まで飽きずに見続けられる力があります。
さらに、主人公の設定が、作家といっても舞台の脚本などを手がける劇作家なので小説などとは違う独特の心理描写を展開させていて非常に興味深い。
この作品の脚本家の本音のようなネタもばんばん出てくるのは内輪ネタ気味だが、"作家"という設定にしてしまえば、リアル描写として全然あり。
なによりキャストの演技に説得力があったので、随所に挿入される多少ふざけたギャグシーンもすんなり世界観を壊さずに見ることができた (絶対に必要かどうか、面白いかどうかは別問題)。
いい意味でバランスがとれているのか、芝居の完成度は高い。嫌味なく見せきることが出来るキャラクター作りはとてもうまいと思う。
満足度★★★★★
何かを作る人に見て欲しい
面白かったよ!
本当に何かを必死に創作しようとしてもがきながら作り上げた後、結局他人の評価はどうでもいいのだ。
ただ、心残りとか満足感とか、実現出来なかったアイディアとか、実現させなかったアイディアとか、そういうものの渦が心の中にのこるだけなのだ。
その渦は時と共に小さくなるかもしれないし、何かのきっかけで再び大きくなるかもしれない。その渦はただ存在し続ける。
一つのモノをつくるということは、その渦を心の中に一つ作ること。
そういう感覚を思い出させてくれた作品。
必死に何かをつくりあげるときの苦悩、その制作が終ったあとの苦悩。そういうことを体験したことがある人に見て欲しい話でした。