満足度★★★★
休憩挟んで2時間40分とのアナウンス。コロナ下では少人数、短時間に傾きそうな所「おーよくやるな」と思う。もっとも観客としてはディスタンス規制により座りやすく、荷物も置きやすく、2時間半超えでも乗り切れると思える。そして開幕以後はアナーキーな台詞や展開も空中分解せず、芝居はラストまで無事運行した。
以前俳優座5Fでの翻訳劇を(型どおりの外人演技の濫用で)忍耐で観た記憶があるが、今回は俳優がある微妙な線を出している。狂気や狂気に触れたリアクションを応酬しつつ正常に戻らぬまま飛行する劇の「正解」のない演技も、何かが狙われており、その結果「心の嘘」の一つのあり得る形が提示されたと見えた。演出がどんな言葉で何を俳優に要求したのか大変に興味がある(どんな舞台もだが)。
その問題のドラマ。後で調べると1985年初演とある。この劇が普遍的かという議論をすれば、「アメリカ社会と歴史」という要素を我々はカッコに入れて作品を見ており(見ることが許されており)、だから海外のものは何でも(特にアメリカ産と聞くだけで親近感を持つし)「普遍性のあるドラマ」と錯覚しそうだ。
だがこのドラマでは、人間の相互理解や関与し合う「力」が、機能不全となった悲劇が終始描かれる。悲劇は時代性と不可分である。彼らを包囲するものを告発する意志が作者の筆に宿っていると推察できるから。何に対する告発なのか、そこは分からないが。。
満足度★★★★★
鑑賞日2020/09/13 (日) 13:30
名前は知ってたんだけど、日本ではなかなか上演されない劇作家、サム・シェパードの作品をやっと見ることが出来て大感激。ベテランの役者勢による屈折していて一癖も二癖もあるステージを堪能しました。
満足度★★★
9月の8本目。
「これって面白いんですか?」と観客の皆さんに聞いて回りたいくらい見どころが分からなかった。
家族を思い、ぶつかり、すれ違う。そういう物語ではあるのだが「それがどうしたの?」と聞きたくなる。大げさな演技、思わせぶりな言葉はたっぷりあるが実質の中身がない。どうも私はアメリカの現代劇との相性が悪いみたいだ。
年配の俳優さんの演技が的確なことには感心した。
満足度★★★★
ひさしぶりに新劇らしい翻訳劇を見た。それも、アメリカンドリームの妄執の中に生きる人々群像の生粋のアメリカ演劇。1985年の作品というから、今のアメリカではないが、ギスギスが極まり始めたころの二組のホーム・ドラマが舞台で交錯する。トランプ社会の原点を見る感じがする。筋を追っても仕方がないところもあるので、感想を列記すると、
40年近く前といっても、アメリカの妄執のドライぶりは半端ない。下流社会で生きているだけのような人生に時代を重ねる物語だ。しかし、それを、日本語で日本の役者がやると、湿気が多くなってしまう。親子兄弟夫婦という日本的関係が抜きがたい。それが悪いか、と言うとそんなことはない。芝居は、そこで生きている役者しか登場できないし、差配する演出者も同じ環境にあるわけだから、もととは違うことを承知の上で見なければなるまい。それでもアメリカが透けて見えるし、翻ってわが姿も見える。痛烈な時代批評である。こういう芝居は公共劇場でやると、昨年の新国立の「1984」みたいに、文部省への恐れながらやらせていただきます的な過剰なヒラメの配慮が出て惨憺たることになるから、劇団主催のよさが出た。翻訳も演出もテンポがいい。
二つ目。俳優座は役者の層も厚いし、皆上手いという事がよく分かった。。
主演の志村史人も、飯見沙織も知らなかった。斎藤深雪は、地味な脇役で目立たない人だったのに、なんと、ものすごくうまいではないか。役の難しい安藤みどり。演出者が注文したことをちゃんと演じていることが分かる。
ことにみなセリフがいい。上手下手を言う前に、とにかくはっきり聞こえ、ニュアンスが受け取れるセリフになっている。
三つ目。自粛劇場警察も後二週間。あのイヤーな雰囲気は早く払しょくして芝居を観たい。「心の嘘」のような芝居は自粛劇場で公演成果50%引き。客も席を減らしてもいっぱいではなかった。しかし、苦しいのはわかるが、だからと言って来た客に寄付せよ、というのは観客の共感を呼ばないだろう。客はタニマチじゃない。
最後に、俳優座もようやく上演作品が意欲的になって文学座の後ろ姿が見えてきた。あと奮起を望むのはいつまでも低調の民藝。三劇団でなければ見られない芝居はあるのだから。
満足度★★★★★
こういう作品を取り上げて上演するのはなかなか意欲的と評価できる。
個人的には、父権社会どうこうより、心を病んでいるというか正気と狂気が入り交じった2家族それぞれの不条理な感情や話の展開に見ているこちらまで飲み込まれて頭がおかしくなりそうだった。シェパードの他の作品も観てみたい。
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4年以上前
俳優座「心の嘘」あっという間の2時間40分(休憩アリ)それぞれ滅茶苦茶なこと喋ってるんだけどコントか⁈あっコレ痛い!とかわからないなりに感じた。美術もおもしろかった。いろんなアメリカ。 サムシェパードは2度目。前作との共通点の気づ… https://t.co/PUqulH3SP5
4年以上前
俳優座「心の嘘」全日程終演いたしました。 いつ中止を決断することなるか不安を抱えながらの毎日でしたが、なんとか千秋楽まで辿り着けました。 ご来場くださいました皆様、 またコロナ禍での公演に際しご支援ご協力いただきました皆様… https://t.co/eOnJggZorR
4年以上前
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4年以上前
俳優座『心の嘘』①サム・シェパードの戯曲で、日本で上演されるのはこれが初めてとのこと(翻訳:田中壮太郎、演出:眞鍋卓嗣)。シェパードの作風をあれこれ言えるほどよくは知らないけれど、これ、良い意味でかなり変な話だと思う。自分ひとりの体には収めきれない感情を常に抱えている男と、
4年以上前
俳優座『心の嘘』サム・シェパード作・本邦初演。病んだ夫(志村史人)が妻(安藤みどり)の心身をズタズタに。だが互いの家族はさらに歪んでいた。85年の作品だがDV・横暴な老父(加藤佳男)の国家への執着・「良妻賢母」(松本潤子)の空洞等… https://t.co/TyF9iyVthR
4年以上前
劇団俳優座 「心の嘘」 嘘と言うよりも妄想だと思う。夫が妻を殴り脳挫傷になるが妻の兄も父も家父長制。夫の父もアル中で家父長制。母は両方とも共依存的な母親で、昔のアメリカの社会ではこうだったのだろうなと思った。最後に出て来る米国旗は父権制の象徴に見えました。
4年以上前
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4年以上前
俳優座「心の嘘」。コロナ対策は億劫でしたが、半年ぶりの観劇を楽しませていただきました。俳優とスタッフの皆さんのご尽力に感謝します。 サムシェパードの原作を読みたいと探してますが、電子書籍になく、意外と入手難。海外取り寄せで時間がかかりそう。舞台の記憶を忘れないようにしないと。
4年以上前
俳優座『心の嘘』家族みーんな自分の関心にしか目が向いてない〈父権〉の強い家族と、男(長男)が自分のことしか見てないことに向き合い家から出ていく家族と。アメリカの〈父権〉的家族って『セールスマンの死』もそうだけど、長男への期待が高く、次男の影が薄いよね。
4年以上前
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4年以上前
劇団俳優座「心の嘘」 今週末まで 演出も面白いが、役者陣も手練れぞろい 関係性、会話、感情表現...どれもがクオリティ高く個性も光る 表面化されていないものを色々と想像させられる物語 愛ってなんだろう? 夫婦愛、親子愛、兄弟愛、… https://t.co/Ry4STmMrmB
4年以上前
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4年以上前
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4年以上前
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4年以上前
俳優座「心の嘘」、優しい所も含めてジェイクのDV男ぷりが見てて痛々しかった。一見するとどうしようもなく破滅に向かう家族が踏みとどまれたのは愛があったからなんだなと。マイクがもう少し自分をコントロールできていたらもうちょっとだけなんとかなりそうだったような気が…。
4年以上前
劇団俳優座サム・シェパード「心の嘘」からの、オペラシアターこんにゃく座オペラ『末摘花』 2本続けて観たらまぁまぁヘロヘロだったけど、前半は芝居が誰も彼もぐっときて集中して観られたし、後半はとろけるピアノが幸せ過ぎた🍀 私のエネ… https://t.co/affBjzhbGu
4年以上前
劇団俳優座「心の嘘」加藤佳男さん松本潤子さん斉藤深雪さん安藤みどりさん志村史人さん千賀功嗣さん野々山貴之さん飯見沙織さん。どの役者さんも素晴らしい演技でした。舞台ってそこで観たモノが観る側からすれば全て。配信もいいけどやっぱナマは最高です。
4年以上前
劇団俳優座「心の嘘」休憩を挟んで2時間40分の公演ですが、最初から最後まで喰い入るように舞台にのめり込むことが出来ました。登場人物は皆、変人である意味不愉快な展開。誰にも救いが無い物語の中、僅かな愛の火が暗闇に灯るラスト。感動。
4年以上前
劇団俳優座「心の嘘」とにかく脚本が凄かったです。倒錯した家族、そしてアメリカの闇。ただ、これは日本でも本質としては同じと言える卓越した比喩。それを忠実に演じきる役者たち。もう、本当に素晴らしい舞台でした。
4年以上前
劇団俳優座「心の嘘」俳優座稽古場。観ました。感動の舞台でした。脚本はアメリカの作家サム・シェパード。演出眞鍋卓嗣さん。観たかった俳優座を初めて観れたので感激の観劇でした。
4年以上前
劇団俳優座「心の嘘」観劇 俳優座らしい骨太な作品でした 2つの家族間で展開し交錯する愛と暴力 そして飛び交う会話の妙 相手の話を聞いてない会話が逆にリアルだったり 難しく感じるかもしれないけど、後学のためにも見といた方がいいと思う 「心の嘘」が何を指してるのかが読解のヒントかなー
4年以上前
劇団俳優座「心の嘘」160分含休15分。 役者さん熱演も。サム・シェパード作の戯曲が、正直私には難解だ。表面は仲違いした夫婦とそれぞれの家族の狂気の物語。でも表面的な事実だけ追えばいい訳じゃないだろうな。社会的な隠喩とか皮肉が込め… https://t.co/ATXclEwm7F
4年以上前
俳優座『心の嘘』「つまらなかったらお金返すから!」と言って姉(芝居好き・経験者)にガン推しした。 帰宅後、美術家杉山さんのアフタートーク内容も含め感想を聞いていたら、さすがの視点で私が見落としてたポイントが多数発覚。また観に行き… https://t.co/sxB0I1QEn9
4年以上前
劇団俳優座『心の嘘』 9月20日までの公演期間、まだチケットがある公演もあるようなので、個々の心情が入り乱れる重めだけどちょっとほろりなお芝居に興味ある方、おすすめです( ˇωˇ )و https://t.co/w3rmqxClhm https://t.co/JjFiEnUR9b
4年以上前
間違えました! ベスのお母さん!メグ!メグが松本潤子さん! 見返して気づく失態…。 大変失礼いたしました! グレイヘアフェチのみんな、松本潤子さん演じるメグを見に行って! 俳優座『心の嘘』は9月20日(日)まで! https://t.co/KzJnNMm26A
4年以上前
劇団俳優座『心の嘘』S・シェパード、眞鍋卓嗣。妻(安藤みどり)に障害を与えた夫(志村史人)とそれぞれの家族。夫の母(斉藤深雪)妻の両親(加藤佳男、松本潤子)。家父長制度と国家体制が安定をもたらしていた古き良き時代。リアル。情熱的な… https://t.co/OoHsoe7csQ
4年以上前
★ 9月公演「心の嘘」好評公演中! ステージナタリーへ、公演レポートが掲載されました! 〜演出・眞鍋卓嗣が“演劇行為が成立することの奇跡性”に感慨、劇団俳優座「心の嘘」〜 ▼ https://t.co/YQgkAKUf9b
4年以上前
【公演レポート】演出・眞鍋卓嗣が“演劇行為が成立することの奇跡性”に感慨、劇団俳優座「心の嘘」(コメントあり) https://t.co/vn5KfV3VYm https://t.co/Wa5PZX7aPD
4年以上前
劇団俳優座「心の嘘」 あのアメリカの翻訳劇の感じ。ズッタズタのメンタルぶっ飛んでる人たちが各々愛を求めてグジャグジャになるお話。 テネシーとか『ダニーと紺碧の海』とかの匂いを感じながら。 アメリカ文化ってなんなんや?ってすごい考え… https://t.co/sBXdG1c4pb
4年以上前
俳優座『心の嘘』コロナ対策もしっかりでした。 観劇中のお茶、水、飴も可でした。舞台から目を離せる人に限りでしたが! あと換気の頑張ってるせいか半袖だと少し寒いかも。「毛布」欲しくなります。 観劇後のチケットは3週間取っておいてくだ… https://t.co/d36OBtkzrq
4年以上前
劇団俳優座「心の嘘」マチネ@稽古場。サム・シェパードの1985年初演戯曲。家族の物語といえば洋の東西・時代を問わず遠心力と求心力の変奏の感があるが、今作の描く相は父権と国家に押し潰されてズタズタ。それでも仄見える絆らしきものが救い… https://t.co/TVzkQhz3Td
4年以上前
俳優座『心の嘘』観劇。 電話でチケットお願いしたら最前列だった。 通常ステージに近すぎると緊張で死ぬのだが、今回は推しが演出家だから死なない。 舞台美術から格好良くて震える。
4年以上前
俳優座「心の嘘」観てきました。 難しいテーマです。普遍的な要素がたっぷりと詰まってる。パッと観ただけで何処まで理解出来るか?帰って飲みながら、パンフレットを読みかえし、役者さんのコメントを読んだら、なるほどスッキリ。パンフレットは… https://t.co/PaduWpwdXR
4年以上前
4月に俳優座有志公演「声の絵」が公演延期になってから6ヶ月。ようやく俳優座公演が再開しました。サム・シェパード「心の嘘」初日。5階まで上がるエレベーター内には👣マークで3人まで。座席も離れてゆったりです。 https://t.co/KIbGHOtdbn
4年以上前
俳優座「心の嘘」 物語に1つか2つで十分な「家族間で想定される問題」が全部てんこ盛りで、「暴力」が飽和していました。全員悪人だと悪の湿度が下がって滑稽にすら見えるのだなぁと変なところで感心。逆説的に「家族とは」を問いかける、チャレ… https://t.co/wg0r7LxIth
4年以上前
研究生枠でサム・シェパード「心の嘘」のゲネを見学。妄想から妻を手に掛けた夫、実は生きていたが脳に障害を負ったその妻。この事件にそれぞれの家族が巻き込まれていく話。チラチラと姿を現す狂気の中の正気、そして正気の中の狂気の表現がすごか… https://t.co/QNIWldyRQe
4年以上前