「ヒトココロ コイココロ」 公演情報 「ヒトココロ コイココロ」」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    役者の表情と本に満足!
    初見の劇団。
    新宿ゴールデン街劇場という極小の劇場の舞台ということで、キャパが狭い分、物語もこじんまりとしてるのではないか、ってそれ程の期待はしていなかった。

    そしたらよ?そしたらさ・・・(@@!)


    そんなことは全くないです。期待はずれ!いあいあ、想像ハズレ。
    素晴らしいです。


    以下はネタばれBOXにて。。




    ネタバレBOX


    花村光男(小説家)は3人の愛人がいた。
    一人は向島「春日」の女将、菊乃。
    一人は年増のモデルのしまこ。
    一人は秘書のしえ。

    一月前に花村は胸を刺されて亡くなっていた。妻の富江は愛人の3人を自宅に呼んで彼女たちと夫との関係性を問い詰めていく。

    この時点で狭い舞台の使い方がひじょうに上手い。
    何の変哲もない舞台を、「春日」の部屋にみせたり、モデルの自宅にみせたり、はたまた、花村の自宅に見せたりする。

    要するに観客に想像の呼び水をたっぷり与えて想像させるのだ。

    光男がそれぞれの愛人たちと逢瀬を繰り返し、どうしようもないクズのように見えるが、その後ろで糸を引いてたのが妻の富江だったという真相が解る。

    光男は過去に『恋』という小説を書いて人気を得た作家だった。恋話を書いて売れたとなると出版社は、また恋話を書いて欲しいと要求する。

    そんなに何回も書けないと愚痴る光男に妻の富江は女性と関係する事を薦める。作品を書く為に女を利用しようと仕向けるのだった。光男は富江の考えに押されるように愛人を作って遊び始めるが、一方で心は病んでいってしまう。
    光男はお遊びから帰ってくると妻に内容を説明し、妻は夫がお遊びで疲れて帰ってくる風情が好き、という。
    子供が遊んで帰ってくるその光景に似てると言う。

    そんな状況の中、光男は「僕はいったい何をやってるんだ。クソみたいに、ゴミみたいな人間だ。こんな人間にいい本が書けるわけがない。僕は何を探して歩き回っているんだろう?動けば動くほど心に隙間風が吹いて、すかすかになってしまう。隙間を埋めてくれよー。」そう苦悩しながら、何をやっても満たされない心を抱えて次第に死にたい。と考えるようになる。

    妻はそんな夫を見て刺し殺してしまう。

    殺してやるという行為、それは光男が抱えている苦悩からの開放だ。妻は夫に恋請うていた。夫も妻に恋請うていた。3人の愛人も光男に恋請うていた、という大人な恋の物語。


    恋に命をかけた濃密な人生なら、生きてる実感もあるというもの。

    3人の愛人の表情。妻の心理。夫の心理。絶妙に絡み合い、内容の濃い素晴らしい作品でした。
    やっぱり女心の細かい描写を書くなら女性脚本家。ということでしょうか?

    それぞれの役者の表情が巧みです。役者も素晴らしい!(大絶賛!)

    うーーーん、満足!(^0^)




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