昨年、東京芸術劇場と三鷹の星のホールという、大きな劇場主催の公演に呼んでいただき、嬉しさと気負いから真面目になってしまった部分があるので、鳥公園としては初のツアー公演である今回は、いい意味でいい加減に大らかに、思いきりよく楽しんで攻め込む公演にしたいと思っています。大阪公演は芸創セレクション、東京公演は「おどりのば」スカラシップというサポート体制の整った条件で創作できる機会の下、前回公演『カンロ』に続いての気心知れた俳優三人とともに、ミステリー(風味)に挑戦します。伏線がもれなく回収されることに貧乏臭さを感じるので、おそらく、延々とスローテンポで続く宙吊り感・・・というような感じになるのではないでしょうか。 真っ黒で大きな芸術創造館と、真っ白で小さな3331 Arts Chiyodaという対照的な空間で、作品がいかに変化するかも見所にしていきたいと思っています。また大阪公演のみの特別企画として、「鳥公園のジコショウカイ展」も行います。これは、過去の公演の戯曲、舞台写真、創作ノートの展示や映像上映、今公演『緑子の部屋』の創作過程を体感できるワークショップなど、作品を、上演とはまた別のテンポ、角度で味わっていただくためのチャレンジです。観客に作品をより豊かに手渡すために、作り手側からできるコミュニケーションがまだあるはず、という試みの第一歩です。