美しいヒポリタ

世田谷シルク（東京都）

公演に携わっているメンバー：18人

団体紹介

山の手事情社を母体に研修生4名で立ち上げ、2009年より主に活動。

「くすっと笑えるアート」を目標に、ダンスやムーブメントを使い、分かりやすいアートを掲げている。

現在はメンバーが代わり、脚本・演出・俳優を担当する堀川炎と、振付の下山マリナの二人体制。毎公演、プロデュース形式で上演している。

ムーブメントは、俳優が自ら動きを考えて踊る奇妙なダンス「フリスキー」や、ビデオの早送りのように高速で身体を動かす「スゴロク」、音楽とセリフ、ダンスを一つに合わせた「ホコリズム」など、ユニークな特徴をもつ。

2010年、「第4回公演 渡り鳥の信号待ち」にて世田谷区芸術アワード”飛翔”舞台芸術部門賞受賞。
2013年、利賀演劇人コンクールにて三好十郎「冒した者」にて奨励賞、観客賞受賞。

応募公演への意気込み

この公演は2010年1月に、第2回目として
小劇場楽園で行われたＷ・シェイクスピアの「夏の夜の夢」を題材にしたものだ。
内容は、ゲームアプリを製作している社内で、
恋人たちが相手を取りちがえハプニングが起こる、という話だった。

4年前の当時は、まだ脚本の書き方も、演出の仕方も、
今よりもっと分かっていなくて、非常に苦労したのを覚えている。
しかし、初日があいてからというもの、カーテンコールの拍手はとても大きく、
俳優が楽屋に下がってもずっと鳴りやまなかった。
そんな中、とても印象に残ったのは、キャストの大喜びした様子だった。
「今日見た友達がね、」そんな出だしで、毎日色んな人が私に報告してくれた。

あれから4年。あれほどの喜び方は、いまだお目にかかれていない。
手前みそだけど、脚本も演出のクオリティも、以前よりずいぶん上がったはずだ。
駄作もとばしてるけど、あれ以上のヒットもきっとある。

だけどお客さんの拍手が長くても、
いまだにあの時のキャストの反応を毎回期待してしまう。
それはどうも自分が、人のために何かできた、ということが、
間近に分かって嬉しかったんじゃないかなと、この頃思うようになった。

だったら自分は座席に座って、
お客さんに、笑って、驚いて、ドキドキしてもらう様子を間近で見ていたい。

当時は一月。
とにかく新年だからと「明るい話」。見た人が陽気になれる、
笑える話がコンセプトだった。
今回は三月末、新年度が始まる。やはりコンセプトは変わっていない。

第9回目の公演は、そんな意気込みで、おります。

将来のビジョン

今年は吉祥寺シアターと、座・高円寺１の2本立てです。

来年以降は海外を視野に入れ、
より高い芸術レベルを目指して、
国内外で活躍できるカンパニーになりたいと考えています。

そのためにもレパートリーは、
持ち運びのしやすい少人数のものと、
セットが組める大がかりで大人数なものに、分けていく予定です。

そして、再演を積極的に行い、作品をブラシュアップしてクオリティを高めます。
というのも、海外や古典戯曲は何度も再演される一方で、
日本では現代劇の再演はなかなかありません。

これは日本独自の新作をどんどん上演するシステムですが、
私はこのやり方が合わないというか、どうも苦手です。
年に何本も書けるほどの、不変的テーマが私には見当たらないのです。

なので自分の場合は、たくさんの新作を発表するより、
一つ一つを丁寧に作り、
生涯の作品とするようにしていきたいと考えています。



もう一つは、演劇という分野にもっとお客さんが入るように、
作品を上演する場所を劇場から、歩行者の目に触れるところにするや、
演劇をしたことがない人が参加できるような芸術プログラムを考えるなど、
日本の演劇自体を盛り上げる工夫をしていけたらと考えています。

このように国内外での公演と、演劇に興味の目が注がれるよう、
舞台創作を通して活動していきたい所存です。