テーマ 〜ブッフォン ワークショップvol.5 パロディとブッフォンの違い、ブッフォンの美しさ〜
ブッフォンという芸能は、ルコック演劇学校の授業でとりあげられ、その後ヨーロッパに広がり、ブッフォン専用の劇場もあるほどです。ルコック演劇学校で教師をしていたフィリップ・ゴーリエは自身の演劇学校では最終コースにブッフォンを学ぶようにしています。ここでは、フィリップ・ゴーリエ演劇学校でブッフォンを学んだ主宰者によるワークショップをします。
ブッフォンとはなんでしょうか。ブッフォンとは中世キリスト教社会において、悪魔の子として排除された人々、娼婦、身体障がい者、同性愛者、魔女(と見なされた人)、異教徒のことです。つまり、社会から排除された人々です。ブッフォンは自分たちを排除した価値観を冒涜したり、権力者たちのモノマネをすることで彼らを嘲笑い告発するのです。そのモノマネは、グロテスクで意地悪く激烈なパロディなのです。
クラウンとブッフォンはよく対比されます。クラウンが純朴な子供だとしたら、ブッフォンは頭のいい、意地悪な悪魔です。しかしブッフォンの表現にはユーモアがあり、権力者を告発し、「正しい」価値観を冒涜する喜びにあふれています。
このワークショップを通じて、告発し、冒涜する喜びを知ってほしいと思います。
ブッフォンは上記の通り、社会から排除された最も苦労した人々が元になっています。こうなると、たいていの日本人は(アジア人かもしれませんが)、同情し、涙を誘う表現になります。ブッフォンは同情を拒否しています。強烈な文化の違いを体験出来るワークショップでもあります。
身体の感受性、表現者としての批評精神、人間観察眼、想像力、他者の立場で感じること、繊細さ、ユーモア、美的感覚、観客の心をつかみ振り回す術、などなど、およそ表現者として必要なこと全てが問われます。登場人物の気持ちを理解し共感し、ある感受性で身体化すればいいという単純なものではありません
俳優はもちろんんこと、芸人やパフォーマーの方にもオススメのワークショップです。
2016年
4月4日(月)18:00〜22:00まで (17時45分開場。18時開始)
4月5日(火)18:00〜22:00まで (17時45分開場。18時開始)
場所:(両日とも)西戸山生涯学習館(視聴覚室)http://www.regasu-shinjuku.or.jp/?p=644
参加人数10人程度まで。
料金: 2日通しで、3000円 (1日は2500円・・・2日通した方が意味がわかります)
内容
ブッフォンの基本はパロディです。ですが、普通のパロディと違うのは、その表現に苦しんだ人の存在が感じられるかという点です。エクササイズとしては、嫌いな人のモノマネをして嫌いな人を嗤うことをします。この時点では、その人がいかに嫌な奴かははっきりしますが、ブッフォンの表現としては、苦しんだ人の存在が感じられることが重要になってきます。苦しんだ人の存在が感じられるからこそ、汚い身なりで歪んだ体にも関わらず、美しさが立ち上がってくるのです。ゴヤの絵のように。
身体の解放と他者とのコミュニケーション。二人組でからだを揺らし合う。自分の体のこわばり、身構えに気づき、他者にからだを委ねる感覚を感じる。
パロディの基本。ただ、漠然と相手の真似をしたり、動きを誇張するのではありません。相手の本質をついた表現をしますので、観察眼や想像力が必要になります。
様々な「醜い」体になる。「醜い」体だからこそ、「正しい」体の人々に対する強烈な風刺になります。体を歪めることによって得られる感覚や表現を楽しんで欲しいと思います。
ブッフォンの存在。世界で最も苦しんだ人々、アウトカーストとしてのブッフォンの視点を体感します。
二日目
体揺らし。下半身中心。(身体的なワークショップなので、自由にしておく必要があります)また、単に体を歪めるだけではなく、歪んだ体ならではの表現を見つけて欲しいので、自由な体にしておきたいのです。
ブッフォンの表現とは。権力者や「正しい価値観」を告発する表現を様々に発表します。これには、その「正しい価値観」によって苦しんだ人々の存在が感じられなければなりません。どういったものが、苦しんだ人々の存在が感じられるのかは、実際に表現してみないとわかりません。たくさん試して、たくさん失敗をして多くのものを学べる場にしていきたいと思います。
準備していただくもの:膝をつく動作があるので、膝が弱い方は膝あてをご用意ください。また、大きめのスカート、ニット帽、フードつきのジャージ、伸縮性のある上下(長袖長ズボン・・腹や背中、腕、お尻などに詰め物をします)、詰め物(になりそうな服)、紐(詰め物を縛るため)をご用意ください。顔を汚したり、お歯黒を塗ったりします。化粧落としと歯ブラシは各自でご用意ください。顔を汚すドーランやお歯黒はこちらで用意いたします。その他ありましたら、連絡しますので、ご参加くださる場合は、前もって必ず連絡してください。
*申し込みの際、お名前、連絡先(メールアドレス[日中も連絡が取れるもの])、演劇経験者かどうかは必ずお知らせください。(経験者でなくても構いません。)なお、よろしければ、性別、年齢(20代など大体で構いません)も教えてくだされば、細かいワークショップの計画を立てるのに役に立ちます。
詳しくは
演劇企画「ある」ホームページ
http://engekikikaku-aru.jimdo.com
ワークショップ
http://engekikikaku-aru.jimdo.com/ワークショップ/
お問い合わせ
engekikikaku.aruアットマークgmail.com
(アットマークを@に変えてお願いします。)
主宰 堀益和枝